ブックキュレーター東欧文学者・翻訳家 阿部賢一
旅を描く5冊
旅をする人はそれこそ星の数ほどいるだろうが、旅について書く人はどれくらいいるだろう。さらに、自分が知っている風景とは異なる視線や香りをもたらす文章を書いた人は何人いるだろう。ここに挙げた本は、旅の名人になるための手引きの書ではない。けれども、それぞれの書物は、旅を描く、書くとはどういうことか、しっかりとした答えを与えてくれるにちがいない。
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逃亡派
オルガ・トカルチュク(著) , 小椋 彩(訳)
ポーランド出身の作家による116の断章は、極地探検といった大仰なものことだけでなく、地下鉄への乗車もまた旅だと教えてくれる。そう、「どこにいようと、関係ない。わたしはここにいる」ということも。
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悲しき熱帯 1
レヴィ=ストロース(著) , 川田 順造(訳)
旅を書くということは、自分を書くということ。自分を書くということは、他者を書くということ。それがこの書物の源泉だろう。
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黄金時代
ミハル・アイヴァス(著) , 阿部 賢一(訳)
虚構の島をめぐる幻想的な紀行文学(いや、旅行記の体裁をした幻想文学)。これほど想像力を増幅させなければ、人や土地を描くことはできないのかと教えてくれる一冊。
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ブックキュレーター
東欧文学者・翻訳家 阿部賢一1972年、東京生まれ。東京大学准教授、翻訳家。著書に『イジー・コラーシュの詩学』、『複数形のプラハ』、『バッカナリア 酒と文学の饗宴』(共編)、訳書にアイヴァス『もうひとつの街』『黄金時代』、クラトフヴィル『約束』、フクス『火葬人』、フラバル『わたしは英国王に給仕した』『剃髪式』、ブリッチ『夜な夜な天使は舞い降りる』、オウジェドニーク『エウロペアナ 20世紀史概説』(共訳、第一回日本翻訳大賞受賞)など。メンバーの一員である「飯田橋文学」のサイトでは対談インタビュー等の様々なコンテンツを配信中(https://note.mu/iibungaku/)。
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