ブックキュレーター中国哲学研究者 中島隆博
文学と社会的想像力
3.11から6年経った。その翌年の2月に台北で拙作『悪の哲学――中国哲学の想像力』のあとがきを書いたときに、わたしたちの社会が有している想像力の形をつきとめ、それを何とか変容させるよすがになればという思いに突き動かされていた。その時に確信していたのは、それは哲学よりもむしろ文学であるということだ。この確信はますます深まっている。
※本ブックツリーの内容は、執筆時点(2017年4月3日)の情報に基づいております。
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悪とは何かは哲学にとって一つの根本問題である。しかし、それを中国哲学から考えるというのは容易ではなかった。3.11に直面して、心を決めて書き抜いたもの。
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それでも三月は、また
谷川 俊太郎(著) , 角田 光代(著) , 古川 日出男(著) , 明川 哲也(著) , バリー・ユアグロー(著) , 佐伯 一麦(著) , 阿部 和重(著) , 村上 龍(著) , デイヴィッド・ピース(著) , 多和田 葉子(著) , 重松 清(著) , 小川 洋子(著) , 川上 弘美(著) , 川上 未映子(著) , いしい しんじ(著) , J.D.マクラッチー(著) , 池澤 夏樹(著)
3.11の後の文学をどう考えるのか。それに応えるこの本は、飯田橋文学会の辛島デイヴィッドさんの企画・編集によって、日本語版と英語版が同時に出版された。その英語版から、川上弘美・多和田葉子・古川日出男・佐伯一麦を取りあげて授業で読み解いたところ、学生から強い反響があった。
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コレクション中国同時代小説 6 富萍
王 安憶(著) , 飯塚 容(訳) , 宮入 いずみ(訳)
上海を舞台に作品を書き続けている王安憶は、『長恨歌』でよく知られている。日本語訳で読むことのできるこの作品は、文革以前の社会的想像力を描き出し、文革そしてその後の中国が取りこぼしたものを静かに示している。
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死者たちの七日間
余 華(著) , 飯塚 容(訳)
『活きる』において、革命後の中国社会の変貌を描いた後、長い沈黙を経て世に問うた『兄弟』において、血のつながりのない兄弟の転変を描くことで、文化大革命とその後の中国社会のあり方を問うた。その余華が創世記に想を得ながらも、魯迅を思わせるように、死後の七日間を描いたのがこの作品である。
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阿Q正伝・狂人日記 他十二篇 吶喊
魯迅(作) , 竹内 好(訳)
近代西洋の啓蒙が東アジアの社会を変えていく中で、医学を棄て文学によって社会を救済しようとした魯迅の最初の小説を集めたもの。声を失わせられた中国の人々に声を返すために、亡霊のように取り憑くかつての社会的想像力をどう打ち破るのかに取り組んだ。
ブックキュレーター
中国哲学研究者 中島隆博東京大学東洋文化研究所准教授。中国の哲学や文学そして批評理論を研究してきました。最近の中国の学問的熱気には目を見張るものがあり、日本の文学や哲学への関心は極めて高いものがあります。それに比べて、日本の側では中国の現代文学や哲学への関心がずいぶん低いように思われます。最近は、中国における普遍論争(中国的普遍とは何か)を紹介したり、平野啓一郎さんや武田将明さんそして北京大学の人々と一緒に、文学・批評・哲学をめぐる集中セミナーを行ったりしています。また飯田橋文学会と東京大学が共同して行っている文学アーカイブのプロジェクトのお手伝いもしていて、日本文学の世界への発信がもう少し増えないかなと思っています。
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