ブックキュレーター会社経営者&編集者 藤岡比左志
隣国でありながら未知の部分の多い国ロシア。ロシア旅行に持って行きたい本
歴史的な関係も深く、地理的にも近い国ロシア。しかし、日本人にはまだまだ知らない部分の多い不思議な国であることは間違いありません。今回はそんなロシアについて、面白く読みながら知識が身につく本を5冊セレクト。歴史小説、推理小説からエッセイ、歴史書まで、ロシア旅行に連れて行き、現地で読むのも楽しいですよ!
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おろしや国酔夢譚 新装版
井上 靖(著)
江戸時代の実話を井上靖が小説化。緒形拳主演で映画にもなりました。嵐で遭難した船頭・大黒屋光大夫は、漂流の末に帝政時代のロシアへ。暮らすこと10年。時の女王に帰国を直訴するため、極寒のシベリアを横断、首都ペテルブルグに向かいます。物語としての面白さだけでなく、当時のロシア社会の様子も描かれる傑作です。
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ソ連崩壊前の時代、司馬遼太郎が歴史を探索し、この巨大な国の実相に迫ったエッセイ的な評論です。最初に出版されたのは1986年と30年以上前になりますが、本書の価値はまったく減じていません。それだけロシアという国の国民性や本質が変わっていないとも言えるでしょう。現代ロシアを理解するためにも必読です。
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ロシア通といえば、通訳・翻訳家・作家の米原万里は外せないでしょう。練達のロシア語使いである米原が、ロシア人や80年代旧ソ連社会の内幕や実態をユーモアのあるエピソードで紹介したエッセイです。ゴルバチョフやエリツィンの知られざる素顔がうかがえ、ロシア人に対する見方がまた少し変わるかもしれません。
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ロシア革命 破局の8か月
池田 嘉郎(著)
2017年はロシア革命100周年。この国を語るうえで、やはりロシア革命は避けて通れません。しかし、ロシア革命史は実に複雑。なかなかコンパクトに紹介する本がありません。その中でも比較的読みやすいのが本書。二月革命から十月革命までの激動の8か月間をスリリングに描きます。知識を整理するのに好適な一冊です。
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ゴーリキー・パーク 新装版 上
マーティン・クルーズ・スミス(著) , 中野 圭二(訳)
冷戦時代の旧ソ連を舞台にした本格的な警察推理小説。作者はアメリカ人ですが、本書で英国推理作家協会賞を受賞しています。ペレストロイカ以前の東西冷戦まっただ中で、謎の殺人を追う捜査官。自由を束縛された暗い時代風景が真冬のモスクワを背景に描かれます。上下2冊の大著ですが、重厚で読み応え十分の作品です。
ブックキュレーター
会社経営者&編集者 藤岡比左志ダイヤモンド社にて、雑誌編集者として約10年、書籍編集者として約8年ほど従事する。マネー誌「ダイヤモンドZAi」創刊編集長などを経て、「地球の歩き方」発行元のダイヤモンド・ビッグ社代表取締役を務める。趣味は旅と投資(笑)。飛行機の中で、ビールやウイスキーを飲みながら、ひたすら読書に没頭している時間が至福の時。読書の大半は電車やバスの中、あるいはクルーズ船の中など乗り物内。または酒場の片隅。読書傾向はノンフィクション、小説、エッセイなど多岐にわたるが、日本や中国などの歴史関係の書籍や山岳遭難、漂流、天変地異、犯罪、事件などを扱った本を好む。好きな作家は、吉村昭、陳舜臣、中村彰彦、佐木隆三など。
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