ブックキュレーターライター・編集者・映像制作者 品川亮
「ちょっとかわったファンタジー」に持っていかれてみる
ジャンルとしてのファンタジーの枠組みにはないけれど、あきらかに私たちが生きているこの世界とは異なった法則で動いている宇宙を舞台にしていたり、そういう場所に読者を連れて行く物語を、「ちょっとかわったファンタジー」と呼んでおきます。物語のストレートな力に翻弄される楽しみが味わえます。
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【アウトレットブック】ロック&キー VOL.01
ジョー・ヒル
古い屋敷に散らばっている不思議な鍵。それを使えば人の頭の中が覗けたり、なんでもない扉を「どこでもドア」化できたりといろんなことができる。中には、邪悪な存在に渡してはいけない究極の鍵もある。これを読んだら最後、鍵を回したり扉を開けるたんびに「なにが起こるかな」とちょっと身構えるようになるはず。
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ゼロヴィル
スティーヴ・エリクソン(著) , 柴田 元幸(訳)
映画を介することでしか人と交われない、というか世界と関われない主人公の青年。というようなことよりもなによりも、映画編集に関する特殊な才能を持つ主人公がどんどん出世していくピカレスク・ロマンとして単純にとても楽しい。でもやはり、読み終えたらあの映画もこの映画も以前とは違った見え方をし始めるという小説。
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LAヴァイス
トマス・ピンチョン(著) , 栩木 玲子(訳) , 佐藤 良明(訳)
60年代の狂騒が終わった直後の1970年。ハッパ漬けの私立探偵が、奇妙な出来事と奇妙な連中ばっかりのLAを彷徨う。どこまでいっても「どこかがヘン」。でもほんとうはそう感じないほうがヘンということであって、しかもそう感じさせる世界のあり方の本質は今に至るまで変わっていないという、実はコワイお話。
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日々の光
ジェイ・ルービン(著) , 柴田 元幸(訳) , 平塚 隼介(訳)
戦前のアメリカに生きた日系人たちと、彼らのなめた戦中の苦難、そして東京オリンピック直前の昭和30年代の東京の景色が交錯しながら、上質なメロドラマがどんどん加速してゆき、歴史的事実を再構成する小説であるにもかかわらず、最後にはリアリズムすら突き抜ける。読後には、山田太一の『あめりか物語』も見たくなる。
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「生きた時代も違えば性格も真逆なふたりがもし対話したら」という、分類としては箴言集に入る一冊。だが対照的なふたりの言葉とその解説を読み進めると徐々に力強い物語が立ち上がり、やがてはふたりの言葉が反転するクライマックスまでもが訪れて、巻を閉じるころには魅力的な小説を読んだ後のような満足感を残す。
ブックキュレーター
ライター・編集者・映像制作者 品川亮ライター・編集者・映像制作者。SPLEEN FILMS代表。出版社などの勤務を経て、2016年フリーランスに。カルチャー情報サイト「HarmlessUntruths.net」(http://harmlessuntruths.net)主宰。月刊誌「STUDIO VOICE」元編集長。共編著に『ゼロ年代+の映画』。
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