ブックキュレーター作家 渡辺裕之
世界は混沌とし、誰もが不安を感じている。信じるべきものは何か
世界各地でテロが勃発し、欧米は保護主義に走り、中国は核心的利益を追求し、周辺国を恫喝する。また隣国の北朝鮮はいつ暴発か分からない。危機的状況であるが、世の乱れは今にはじまったことではない。
いつの時代も世の中の矛盾と戦ってきた強者の生き様を知ることで、人々は勇気をもらう。ハードボイルドは、世界を救う。けっして大袈裟な話ではない。
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ブロッケンの悪魔 南アルプス山岳救助隊K−9
樋口 明雄(著)
南アルプス山岳救助隊K9シリーズは、山岳小説の中でも秀逸である。なぜなら著者は南アルプスに居住し、山を知り尽くした人物だからだ。その中でも『ブロッケンの悪魔』は、同シリーズの中でも異色である。
南アルプスに国家を揺るがすテロが勃発。その時、山岳救助隊は?
山といえば男と捉えがちだが、このシリーズでは女性の隊員の活躍がめざましい。また、山岳救助犬たちの活躍も見逃せない。美しい南アルプスを舞台にしているだけにハードボイルドでありながら、女性にもお勧めできる作品である。 -
ブラックホーク・ダウン アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録 上
マーク・ボウデン(著) , 伏見 威蕃(訳)
1993年無政府状態のソマリアの首都モガディッシュに、米軍特殊部隊が派遣される。彼らは武装組織アイディッド派幹部の拉致という危険な任務を帯び、作戦は緻密に立案されていた。ターゲットの位置を確認し、部隊を乗せたブラックホーク(戦術ヘリ)は所定の位置に就く。だが、作戦初期の些細なミスが連鎖反応を起こし、彼らを窮地に追い詰める。米国の運命を大きく変えたと言っても過言でない戦闘のノンフィクションだけに、戦場の地獄を目の当たりにすることになるだろう。
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池波正太郎は『鬼平犯科帳』『仕掛人・藤枝梅安』などの傑作があり、どのシリーズを推しても間違いなく大一級の時代小説である。残念なことは、作者の死去により未完になっていることだろう。
『剣客商売』は、主人公の老剣客秋山小兵衞を中心に、江戸を舞台にした活劇で、テレビドラマにもなっているためよく知られているが、原作を読めばテレビ映像では得られない江戸の情緒や小兵衞の含蓄ある言葉を楽しむことができる。時代小説ファンならずとも楽しめるエンターテイメントであることは間違いない。 -
北方氏の時代小説といえば、『水滸伝』を代表とする中国の歴史的英雄の生き様を描いた作品がまず浮かぶであろう。だが、日本の歴史小説として、また安土桃山や戦国時代ではなく、あえて南北朝時代を舞台にした作家の着眼点に敬意を表して『破軍の星』を選んでみた。
主人公である南朝の若き名将である北畠顕家と北朝の足利尊氏との壮絶な戦いを通じ、天皇に仕える公卿としての苦悩や多勢の敵に果敢に挑む武将としての姿に人間としの魅力がある。また合戦の描写の迫力はまさに北方謙三ワールド。存分にハードボイルドの世界を味わえることは折り紙付き。同じく南朝を舞台にした『武王の門』(上)、(下)と併せて読みたい一冊だ。
ブックキュレーター
作家 渡辺裕之1957年生まれ。2007年、『傭兵代理店』(祥伝社)で鮮烈デビューを飾り、本シリーズは新しいアクション小説として注目を集め、累計80万部を突破した。主な著書に「暗殺者メギド」シリーズ、「シックスコイン」シリーズ(以上角川文庫)、「オッドアイ」シリーズ(中央公論新社)など。
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