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サバイバル状況下で垣間見える「生」への執着心に、背筋がゾクリとする小説
不運なアクシデントをきっかけに、サバイバル生活を余儀なくされた主人公たち。「死」が迫る極限状況で過ごすうち、彼らの心に「狂気」が芽生えてきます。かつて励ましあった「仲間」も、いつ食事を奪い合う「敵」やルールを乱す「邪魔者」になるかわかりません。過酷な環境で垣間見える人間の「生」への執着心に背筋が凍る小説を集めました。
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疎開先へ向かう途中で飛行機が墜落し、無人島で過ごす少年たち。協力して暮らしていた彼らは、やがて「食」と「救援」のどちらを優先するかをめぐり分裂していきます。「食」を求める少年たちが動物の命を狩ることに興奮し、野蛮な歌で自分たちを鼓舞しながら「狩り」にのめり込んでいく情景が、とても不気味です。
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不慮の事故による火災で航行不能となった帆船。船員と乗客は筏で脱出し陸への生還をめざしますが、しだいに食料がつきてきます。食料の配分を増やすべく病気の仲間に「死んでほしい」と願う者。死んだ仲間の遺体を餌に、魚を求めて釣りをする者。「飢え」が呼び覚ます、「生」に執着する人間たちの非情な行動に戦慄します。
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ひかりごけ 改版
武田 泰淳(著)
真冬の北海道で難破した船の船長が、船員の遺体を食料として生還したという事件を題材とした小説です。死んだ部下を大泣きして弔った後、その遺体をまるでアザラシを相手にするような気持ちで解体する船長は、恐ろしいほどに落ち着いています。「生きる」ため、「冷静に」栄養源となる肉を食べる情景にゾクリとします。
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東京島
桐野 夏生(著)
クルーザー旅行中の嵐で孤島に流れ着いた、隆と清子。その後、日本の若者と中国人が漂着し住民が増えた島で唯一の「女」である清子は「性」で男性たちと仲を深めていきます。衰弱する夫の隆よりも、若く生命力にあふれる男に惹かれる清子の心情が生々しく、「生」のために夫を見捨てる清子の非情な生きざまに背筋が震えます。
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