ブックキュレーターhonto編集員
昔はどんな1日だった?大晦日が舞台となったストーリー
多くの人が「今年も無事に年を越せる」という安堵感を覚える大晦日ですが、かつてその日は掛け取りが集金に回る日ということもあり、日本の時代小説や古典ではお金にまつわるテーマが多く見られます。それに加えて、殺し屋がたぐる年越しそばが印象的な話やアンデルセンの童話など、大晦日を舞台とした小説をセレクトしました。
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お伽草紙・新釈諸国噺
太宰 治(作)
井原西鶴『西鶴諸国ばなし』などを、太宰治が鮮やかな筆さばきでアレンジした短編集です。収録作の「貧の意地」は西鶴の「大晦日は合はぬ算用」が原作で、貧しい武士が大晦日に客を招き、妻の兄から用立てられた十両の小判を回し見せ・・・。武士ならではのふるまいが切なく、おかしく、ほのぼのとしたエンディングに和まされます。
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大つごもり他
樋口 一葉(原作) , 島田 雅彦(現代語訳)
収録された2編のうち「大つごもり」は、両親と早くに死に別れて叔父夫婦に引き取られたお峰の物語です。病に倒れた叔父から奉公先への借金を頼まれたお峰ですが、大晦日の日にわずか2円の借金を断られ・・・。樋口一葉の原作を島田雅彦が繊細な表現で現代語訳しており、登場人物の心情などが胸に迫ります。ぜひ、大晦日に読みたい一冊です。
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日本の古典をよむ 18 世間胸算用
井原 西鶴(作) , 神保 五彌(校訂・訳) , 十返舎 一九(作) , 中村 幸彦(校訂・訳) , 棚橋 正博(校訂・訳)
古典3編が収録された一冊です。井原西鶴による「世間胸算用」の副題は「大晦日は一日千金」であり、大晦日が1年分の収支決算をする日だったかつての重みと慌ただしさが伝わってきます。掛け取りをする商人や金貸しと掛け取りされる庶民を、当時の風俗を織り交ぜながら活写。掛け取りから逃れようとする庶民のドタバタぶりをお楽しみください。
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収録作の「梅安晦日蕎麦」では、金で殺しを請け負う仕掛け人である藤枝梅安と友人でやはり仕掛け人の彦次郎が共同で「仕掛け」をします。しかし、その対象は依頼された相手に加え・・・。首尾よく仕掛けを終えた2人が、年越しそばをたぐりつつ交わす会話が秀逸です。江戸情緒とともに仕掛け人の迫力と渋さをご堪能ください。
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アンデルセン傑作集 マッチ売りの少女/人魚姫
アンデルセン(著) , 天沼 春樹(訳)
ヒロインが活躍するアンデルセンの物語15編を収録した一冊です。「マッチ売りの少女」の舞台は、雪が降りしきる大晦日。極寒の中で少女がマッチを売るのですが、寒さのあまり売り物のマッチに火をつけるとストーブやご馳走などの幻影が現れ・・・。あまりにも有名かつ哀切な童話ですが、改めて大晦日に読み直してみてはいかがでしょう。
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