ブックキュレーター有斐閣 書籍編集第二部 四竈佑介
あなた自身をうまく本棚におさめる極意を教えます
今回はからだを柔らかくする方法を教えましょう。というのは冗談で、ここでは読書とはどういう行為なのか、本と人間との関係について考えさせる本を紹介します。読書というのはある意味で「自分(の考えや知識)自身が、どんな本棚にささるのか」を考えることに近しい、あるいはそう考えると読書はさらに楽しい。そんなことが伝わる本たちです。
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不真面目そうな書名ですが、著者は権威ある大学で文学を教える教授です。彼いわく、本について気軽に語ることを恐れてはならない。本の読み方が自由なのと同じく、語り方だって自由なはず。しかし本について語ると、逆説的にその本と自分自身との関係(不自由さ)が露わになる。それは自分という人間を表現する創造的な行為なのです。
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知識の社会史 1 知と情報はいかにして商品化したか
ピーター・バーク(著) , 井山 弘幸(訳) , 城戸 淳(訳)
P.バークのこの本は、フーコーに続く優れた仕事の一つといっていいでしょう。本の中身、すなわち知識がどのように社会に位置づけられてきたのか、彼独特の手触りで紹介します。博覧強記の手は16世紀の長崎にまで伸び、知識とはどのようなものかをスマートに論じています。知の海の深みへ比較的手軽に誘ってくれる良書です。
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本を読むときに何が起きているのか ことばとビジュアルの間、目と頭の間
ピーター・メンデルサンド(著・デザイン) , 細谷 由依子(訳)
なにも内側に深く潜るだけが読書ではないだろう。そう思った方にはこの本を。書物というのはまず物質的な存在であり、私たちの目に入り、触ることができて、そして一人ひとりにとって全く違う体験の道具になりうる。いや道具ではなくそれは体験そのものかもしれない。そんなことをフィジカルに考えさせる刺激的でクールな本です。
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わたしの名前は「本」
ジョン・アガード(作) , ニール・パッカー(画) , 金原 瑞人(訳)
もし大事にしている本が、あなたに肉声で語りかけてきたら・・・?この本は、本についての歴史(メディア史)を、本自身の「わたし」という一人称を通して語っていく、少し変わった趣向の一冊です。口調はどこかノスタルジックで、誇らしげなのに寂しげ。告白すると、僕は最後のページで泣きました。すべての本好きにお勧め。
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ブックキュレーター
有斐閣 書籍編集第二部 四竈佑介編集者(学術書)。法律書で有名な有斐閣の「法律書以外」の編集部で仕事をしています。おもな担当分野は社会学。担当書に『質的社会調査の方法』『ファッションで社会学する』『社会学入門』『現代日本の「社会の心」』『ボランティアを生みだすもの』など。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了(相関社会科学)。1984年生。https://twitter.com/RyShikama
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