ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
地球のあちこちにある「書店」という空間が教えてくれること
書物の要塞のような大書店でも、よろず屋を兼ねた村の小さな書店でも、棚に本が並べば人が集まり、そこに物語が生まれます。本のある空間が呼び起こすさまざまな記憶、もたらす奇跡、あたたかい友情。たとえ店が閉じてしまったとしても、いい本屋さんはずっと人々の心に棲んで、本の楽しさを伝え続けてくれるのですね。
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世界各国の作家たちが語る本屋は、こんなにもドラマチック。作家たちの心の奥には、本と本屋への思いが大切にしまわれていて、それが執筆の原動力になっているのですね。2011年エジプト革命時の書店、1980年代のインドの書店、イスタンブールの市場の片隅の古本屋街など、色々な書店の色々な顔に出会えます。
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『世界の夢の本屋さん』という人気の写真集のハンディなサイズのダイジェスト版。かつて劇場やダンスホールだったという大きくて立派な本屋さんから街角のこぢんまりとした本屋さんまで。写真に添えられた店主の短いインタビューも、お店の日々の空気を伝えていて、あたたかい気持ちになります。
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パリ、オデオン座に通じる狭い通りにある「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」は、数々のエッセイや小説、映画に登場する、今も有名な書店。1919年にアメリカ人の若い女性が開いたこの店は、そうそうたる作家たちに愛され、20年代パリの文化の拠点となり、文字通り伝説の書店となったのです。
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「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」の向かいにあり、ともに文化を下支えした書店「本の友の家」。ひとりのフランス人女性が第一次大戦の最中に開き、36年間守り続けた店です。本はこの世でもっとも美しいものだという彼女の愛と信念は、本の未来を思って不安になりがちな私たちを強く励ましてくれます。
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トンガ、ドミニカ、インド、オーストラリアなど、辺境の書店を訪ねる文化人類学者。言葉の概念からしてそもそもまったく違う歴史と文化をもつ土地の本屋さんは、一体どんな店なのでしょう。植民地、移民、グローバル化など、人と情報の往来をめぐるさまざまな感慨が、にぎやかな音楽のように聞こえてくる本です。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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