ブックキュレーター哲学読書室
「偶然」にかけられた魔術を解く
「偶然」という言葉は、とかくマジック・ワードになりやすい。流行語をこしらえて、なにかを語った気になる不毛から抜け出したいのならば、まずはその言葉の使用に伴いやすい文法のパターンや隣接するテーマを学ぶことにしよう。言葉の魔法使いは魔術の解き方も知っておくべきだ。【選者:荒木優太(あらき・ゆうた:1987-:在野研究者)】
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仮説的偶然文学論 〈触れ−合うこと〉の主題系
荒木優太(著)
フィクションのなかで偶然を描こうとすると、大体、作者の意図通りのご都合主義になって〈リアリズム〉を損なう。だから手放しに扱えない。では、どうやって偶然を表象のシステムのなかに組み込めばいいのか。この本ではその方法を批判的に「偶然のフィルタリング」と呼んでいる。
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偶然の日本文学 小説の面白さの復権
真銅 正宏(著)
中河与一や横光利一を筆頭にした昭和10年前後の偶然文学論を初めてつまびらかにした記念碑的労作。参考文献一覧が圧巻。賭け事、押韻、株式相場、犯罪小説など様々な視角から偶然的主題の豊かさを掬い上げてくれたことも特筆に値し、後続する研究を激励している。
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客観的知識 進化論的アプローチ
カール・R・ポパー(著) , 森 博(訳)
この著作でポパーは決定論でも非決定論でもない偶然の安定的な取り扱い方を「柔軟制御」と命名している(と私は読んだ)。偶然を制御するという語義矛盾のような発想を、この書の膜と空気からなる「シャボン玉」から学んだ。第六章「雲と時計」という小題名はあまりに美しい。
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「偶然」の統計学
デイヴィッド・J・ハンド(著) , 松井信彦(訳)
サイコロを振ったら6回連続で1の目が出た、奇跡だ!・・・ただし、10万回は振ったのだけども。トライアルの回数を桁違いに増やせば、起こりそうでないことも確実に起こる。これが超大数の法則。さて、君の出会った偶然は本当に偶然といえるかな?
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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