ブックキュレーターhonto編集員
そのリアリティに圧倒される。戦争の本質が描かれた本
戦時下の人々がどのように暮らし、どのように戦い、どのように死んでいったか。その薄れゆく戦争の記憶は、事実を羅列するだけの歴史のなかよりも、本の中により具体的に描かれ、見事に保存されています。著者のなかには戦争未体験者もいます。しかし丹念な調査により、圧倒的なリアリティをもって戦争の本質を浮かび上がらせています。
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水木しげるのラバウル戦記
水木 しげる(著)
水木しげるが戦地パプアニューギニアでの体験をスケッチと文章で綴った記録です。片腕を失うという過酷な体験をしながらも、一方で原住民の部族たちと仲良くなり、そこでの生活に理想の天国を見いだしてしまう著者の特異な性格がなんともおかしい。単なる暗澹たる記録となっていないところが、本書を豊かにしているといえるでしょう。
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