ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
世界に色って何色あるの?文学、絵画に見る色、言葉に色が見える共感覚まで
今回のテーマは「色」。きっかけは「言葉」からでした。「真っ赤な嘘」「赤の他人」や「黄色い声」「青二才」などなど色がつく言い回しはたくさんあるけれど、ふと、その語源はどこにあるのだろうと気になったのです。色が持つ意味や文化、文学、絵画にみる色、そして言葉そのものに「色」をみる「共感覚」について、色とりどりに紹介します。
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色の名前はどこからきたか その意味と文化
福田 邦夫(著)
色ごとにその語源や、歴史の中で人々が各色に対してどのような概念を抱いてきたか、生活の中でどう用いてきたかなどを研究しまとめた一冊。現代のピンクは「幸福な生活や快楽追求の象徴」だが、本来の日本的なピンクは「どこか屈折した複雑な感情の陰りがある」と言ったような解説が興味を惹く。まず最初に読みたい一冊。
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色で読み解く名画の歴史
城 一夫(著) , 橋本 実千代(著)
現存する最古の色彩絵画は「6万年前のブラジルの遺跡における3万点に及ぶ動物画」だそうで、人類が描いてきた絵画の色の歴史を紐解きつつ、特徴のある作家の絵を取り上げる。右ページに作品、左には解説とともに色見本、色名などのデータを記す。ゴッホの青、藤田嗣治の乳白色、ウォーホルのポップカラーなどが楽しめる。
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文学にみる日本の色
伊原 昭(著)
文学作品を題材に、上代から平安、中世、近世と時代別に日本の色について解説する。著者曰く「気候、風土、社会、文化、そこに生きる人々の生の営みの諸相を如実に表現する文学作品は、色研究に最適な資料なのでは」。古事記や日本書紀、源氏物語などに登場する色から当時の人々の色彩観や、色の流行などが見えてくる。
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共感覚という神秘的な世界 言葉に色を見る人、音楽に虹を見る人
モリーン・シーバーグ(著) , 和田 美樹(訳)
初めて「共感覚」という言葉を知ったのは、『味の形 迫川尚子インタビュー』という本。彼女は食べ物の味が「形」として見える共感覚の持ち主。マリリン・モンローやビリー・ジョエルなど芸術ジャンルに多い共感覚者は、それぞれに言葉や文字、音に決まった色が見えるそう。自身も色が見える著者、理解が深まる一冊。
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こっきのえほん 完全版
戸田 やすし(企画・編集・制作)
『あいうえおえほん』や『22の色』といった、色鮮やかで美しいデザインの本を手がける戸田デザインによる本。全世界197の旗が1ページに1カ国づつページいっぱいに描かれていて、その旗にある色がどんな意味を持つのかについても触れています。日本と同じ赤と白のインドネシア、赤は勇気、白は正直な心の意だそう。
ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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