ブックキュレーター朝日新聞「好書好日」編集部
面白うてやがて・・・笑いを追求した芸人たちの群像本
ブックサイト「好書好日」では、「笑う・泣く」をキーワードに感情をゆさぶる多くの本を紹介しています。笑いは動物のなかでも人間独特の感情と言われます。人を笑わせることにしのぎを削る芸人の苦労は推して知るべしですが、それゆえ表舞台ではみせない素顔にも人間的な魅力を秘めています。そんな芸人たちをまとめて紹介した本を集めました。
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定本 日本の喜劇人 全2冊 喜劇人篇・エ
小林 信彦(著)
戦後喜劇史を語るうえで、基礎文献と言っていい本です。戦前から活躍したロッパ、エノケンから、テレビ時代の欽ちゃん、たけしまで、大物芸人の芸の本質を素顔とともに鮮やかに描き出していきます。舞台、映画、テレビという異なるメディアで笑いがどう機能するかを押さえた喜劇論は優れたメディア論にもなっています。
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あちゃらかぱいッ
色川 武大(著)
『日本の喜劇人』の新潮文庫解説は直木賞作家の色川武大でした。戦前の浅草喜劇黄金時代、小学校をさぼって通いつめた実体験をもとに、彼が愛した芸人たちが戦中戦後をもがくように生きた姿が描かれます。登場人物の多くはいまとなっては、名も伝わっていない芸人ばかり。たんたんとした筆致ゆえに哀切感が漂います。
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誰も書けなかった「笑芸論」 森繁久彌からビートたけしまで
高田文夫(著)
売れっ子放送作家だった高田文夫が、幼少期から接してきた芸人の肖像を、体験とともに描いた自伝的喜劇史です。のっけから、森繁久彌の豪邸から柿を盗んで追っかけられたエピソードが出てくるあたりが強烈。ビートたけしとの交流をはじめ、山の手のボンボンから芸能界の奥深くに入り込んだ著者しか知り得ない話が満載です。
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上方芸人自分史秘録
古川 綾子(著)
「お笑いといえば大阪」と言われるわりに少ない関西芸人群像本です。横山やすしも出てきますが、戦後の上方落語の復興に尽力した六代目笑福亭松鶴(仁鶴の師匠)や松竹新喜劇の藤山寛美(直美の父)ら、東西の人気差が甚だしい芸人が次々と登場。自伝などの文献をもとに、彼らの素顔をまとめて紹介しています。
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面白うてやがて悲しき・・・を地でいく芸人の系譜は現代にも受け継がれています。その代表が「一発屋」。「ルネッサーンス!」で知られる著者が、一発屋芸人の「その後」を聞き書きしたノンフィクションです。波田陽区らのぶっちゃけ話にせつなくなる一方、不器用でもどっこい生きてる彼らの姿に励まされる人も多いはずです。
ブックキュレーター
朝日新聞「好書好日」編集部朝日新聞社が2018年6月にオープンしたブックサイト(https://book.asahi.com/)。朝日新聞読書面の書評をはじめとした新聞記事や、ライフ&カルチャーにひもづけて本を紹介するウェブオリジナル記事を掲載。
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