ブックキュレーター小説家・翻訳家 立原透耶
今が旬!?傑作華文SF&ファンタジー5冊
中国語で書かれた作品、あるいは華人による作品のSFやファンタジー、幻想小説から、絶賛お勧めするのはこの五冊!中華文明に詳しい方もそうでない方も、様々な角度から楽しめる小説ばかりです。それぞれ雰囲気の異なる作品をピックアップしました。
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紙の動物園
ケン・リュウ(著) , 古沢嘉通(訳)
世界中で大ベストセラーとなり、数々の受賞を誇る名作短編集。がっつりSFと言うよりもファンタジックな設定も多く、非常に読みやすく、そして「泣かせる」。叙情的で繊細、それでいて芯の通った作風はなんとも読み返したくなる深みを帯びている。
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台湾セクシュアル・マイノリティ文学 2 紀大偉作品集『膜』
黄 英哲(編集委員) , 白水 紀子(編集委員/訳) , 垂水 千恵(編集委員) , 紀 大偉(著)
表題作は人間の改造、変貌をテーマとする、ジェンダーSFの傑作。読み進めていくうちにめくるめく世界に幻惑され、結末では「えっ」と息を呑むことになるだろう。美とは何か。性とは何か。これほどまでに優れたジェンダーSFが、広く知られていないのはあまりにも惜しい。マイノリティ文学として非常に優れた作品集である。
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鏡の国の孫悟空 西遊補
董 若雨(著) , 荒井 健(訳) , 大平 桂一(訳)
『不思議の国のアリス』よりもずっと前に中国に存在していた言葉遊び、迷宮、鏡の世界。『西遊記』の外伝として、自身の夢を元に記した小説は、稀代の奇想小説。複雑な入れ子型になっている多重構造の世界観の中、時空を飛び越え、内面と外側が曖昧になっていく。悟空とはそもそも「空を悟る」者なのだ。
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黄泥街
残雪(著) , 近藤直子(訳)
残雪を未読の人は幸せだ。これから初めて残雪の作品を読むという知的興奮を味わえることができるからだ。マジックリアリズムの名手、悪夢のような世界、リアルと幻想が混ざり合って、独特の空間を生み出している。特にカフカを好きな人にはぜひお勧めしたい。
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折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー
陳 楸帆(ほか著) , ケン・リュウ(編) , 中原 尚哉(ほか訳)
現代中国SFアンソロジー。ハードな世界観や美しくきらびやかな世界観など作風に応じて様々だが、SFは世界に共通する「言語表現」なのだと思い知らされる一冊である。それでいて非常に「中国らしい」諷刺も垣間見えるあたり、これからもチェックが必要だろう。
ブックキュレーター
小説家・翻訳家 立原透耶「夢売りのたまご」にて1991年下期コバルト読者大賞受賞。ファンタジー、SF、ホラーなどを執筆。主な著作に『立原透耶著作集』(彩流社/既刊四冊)など。熱烈な中華SF愛好家。
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