ブックキュレーター作家 陳浩基
変化球としてのミステリ
「直球勝負」ともいえる本格ミステリや社会派ミステリ作品とは別に、そうしたジャンルにおさまりきらない作品がある。とうてい考えもつかないような仕掛けを添えて読者をあっといわせる作品など──ここではそうした変化球としてのミステリを挙げてみた。読めば語らずにはいられないこの五冊に、果たして皆さんはどのような感想を持たれるだろう?
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まさに読者をあっといわせる一冊。筋運びにまったく隙がなく、人物描写もまた印象的。読者はこの物語が現実社会を映し出したものであることに気がつき、そこに自分たちの生きる日常や他者への偏見を見出す──そしてそれらは鮮やかなトリックとなって読者に深い印象を残す。まさに希有な作品といえよう。
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「変化球」というよりは「魔球」。民俗学、科学、人間心理、犯罪といったすべてを巧みに織り交ぜながらも、抜群のリーダビリティと面白さを誇る一冊。謎解きを終えたあと、賢明な読者は物語の中に鏤められた様々な要素に重層的な意味が隠されていることに気がつくだろう(例えば「魍魎」「匣」)。全シリーズを通じて感じられる彫刻芸術のごとき緻密に構成されたストーリーにも注目だ。
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密室蒐集家
大山 誠一郎(著)
収録されている五編はいずれも密室をテーマに据えた短編で、五つの異なる趣向とストーリー仕立てで構成されている。いずれも謎そのものはシンプルながら、その謎解きは一筋縄ではいかないものばかり。いくつかのトリックを組み合わせ、読者をあっといわせるその仕掛けは、本格ミステリのマニアもビギナーも見事に騙されてしまう。どんな者でも満足すること間違いないという一冊である。
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SFにジャンル分けされる作品だが、本格ミステリとしての美しいロジックが際だった一冊。すべての仮説が伏線となって、誰もがあっと驚く真相へと収束していく面白さと、誰も思いつかないような時空を超えた大がかりな謎。フィクションでありながら、もしかするとここに描かれている真相こそが真実なのではないかと考えてしまう。
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ブックキュレーター
作家 陳浩基1975年生まれ。香港中文大学計算機学科卒。台湾推理作家協会の海外会員。2009年「藍鬍子的密室(青髭公の密室)」で第7回台湾推理作家協会賞を受賞。2011年『遺忘・刑警』で第2回島田荘司推理小説賞を受賞し、2012年に『世界を売った男』のタイトルで邦訳版が小社から刊行された。2014年、『13・67』が刊行されると同時に大きな話題を呼び、香港・台湾で三つの文学賞を獲得。世界十数カ国で翻訳され、ウォン・カーウァイ監督が映画化権を取得した。
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