ブックキュレーター野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英
日本と世界の金融最前線
リーマンショック後、世界の金融機関は国際金融規制、非伝統的金融政策、フィンテック企業台頭と3つの大きな逆風にさらされました。これら3要素が絡みあう形で、金融危機が再燃するリスクもあります。以下で紹介する本は、いずれも金融機関の現状とその将来を考える上で示唆に富んだものです。
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日本はなぜキャッシュレス化で遅れてしまったのか。豊富な資料に基づいてその答えが示されています。また、その処方箋として、民間銀行に頼るのではなく政府、中央銀行が関与する形でキャッシュレス化を進めることが重要だ、と提言されています。
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著者は元IMFのチーフエコノミスト。高額紙幣を廃止することは犯罪防止に役立つとともに、それによって中央銀行が本格的なマイナス金利政策を実施できるようになる、というのが主張点です。近年、多くの支持を集め始めている紙幣廃止論の代表的な本です。
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大不況下の世界 1929−1939 改訂増補版
チャールズ P.キンドルバーガー(著) , 石崎 昭彦(訳) , 木村 一朗(訳)
著名な国際経済学者で歴史学者のキンドルバーガーの古典的名著。将来の金融危機再来のリスクを考える手がかりとしたいところです。また、覇権国不在が金融危機の原因ともなるという彼の歴史観は、米国第一主義が進む現在に大きな示唆となります。
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著者は前イングランド銀行総裁で、金融危機への対応を指揮した豊富な実務経験も持つ経済学者です。著者は、量的緩和のような小手先の対応では、金融危機再来を防ぐことはできないとし、中央銀行の新たな役割や強固な銀行システムの構築を提案をしています。
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現代の金融政策 理論と実際
白川 方明(著)
著者は前日本銀行総裁。異次元緩和の限界と問題点が次々と露呈していくなか、そうした政策と距離をとっていた著者が記す金融政策論を振り返ってみる価値は大きいでしょう。精緻な論理展開と格調高い文章にも注目したいところです。
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キャッシュフリー経済 日本活性化のFinTech戦略
淵田 康之(著)
本書では、近年のフィンテック、キャッシュレス化の進展を、グローバルな視点から包括的に分析されています。各国での銀行業務に対する概念の違いやそれに基づく法体系の違いから、現在のグローバルな金融情勢を読み解く手法は秀逸です。
ブックキュレーター
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英1987年早稲田大学政治経済学部卒業、同年野村総合研究所入社。一貫して経済調査畑を歩む。欧米駐在を経て2004年野村證券に転籍し、2007年経済調査部長。2012年7月~2017年7月、日本銀行政策委員会審議委員を務めた。
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