ブックキュレーター山岳ライター 樋口一郎
ちょこっと地質学を学んで、山歩きに楽しさと充実感をプラスしよう
山歩きの楽しみは「学んで登る」ことで倍加します。では何を学ぶか?植物や歴史などのジャンルは結構聞くのですが、地質学となると少数派でしょう。しかし今歩いている山の成り立ちや、さらには日本全体における位置付けを理解することで、山の遠い過去が現在にリンクしてきます。山の地質は「山を知る」上での「基本のき」なのです。
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山の成り立ちを知る上で、まずは日本列島がどのようにして成り立ったのかを知る必要があります。そんな「日本地質総論」を理解するのに格好の本です。「絵でわかる」を売りにするだけあって、この手の本には珍しく写真はゼロ、明朗な色彩でアイコン調に簡略化された「絵」が実にビジュアルで理解が進みます。
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日本の山と高山植物
小泉 武栄(著)
筆者の専門は山の地質による植生の違いを明らかにすることにあり、前段はそのお話です。一方、後段は山の成り立ちについての概説ですが、これが無駄なく具体的、各種関連本の中でも地質初心者に最もわかりやすい構成となっています。なまじ専門書よりも寄り道ついでの方が好適なのは、結構ありがちですが。
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日本の火山ウォーキングガイド 魅力と脅威が伝わる22スポット
火山防災推進機構(編)
「地質ファースト」で展開する山歩き紹介、あまり類例のない視点でのガイド本です。日本の北から南まで、22座のビジュアルな火山が次々と紹介されていきます。幸いというか物足りないというか、山歩きのグレードはやさしいものばかり。地図は概念図だけなので、別途用意したほうがいいです。
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視覚でとらえるフォトサイエンス地学図録 改訂版
数研出版編集部(編)
地質にとどまらず、宇宙から気象・防災に至るまでオールラウンドに地学全体を網羅しているので、「木を見て森を見ず」状態の防止に好適です。もちろん地質の基本を知るのにも好適。写真と図面がオールカラーで内容もてんこ盛り、それでいて格安なのは教材にも使われているからでしょうか。
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鎌倉&三浦半島 山から海へ30コース
樋口 一郎(著)
この本は、いわば番外です。地域限定のハイクガイド本ですが、歴史や自然に別稿を設けてエリア学習に役立つ構成になっています。そしてほんの触りながら三浦半島一帯の地質の成り立ちの紹介があり、索引によって該当するコースにリンクしています。他のガイド本にもこんな蘊蓄があれば、との希望込みでのお勧めです。
ブックキュレーター
山岳ライター 樋口一郎山歩き歴は30年余り、いろんな山に親しむうちに、山を中心とした関連分野にも関心が向くようになる。幾多の山を、ある意味人格化して優劣を競わせたり、人気のブランド『日本百名山』を、通常の山知識では思いもよらないような視点から分析を試みたり。結果、山周辺の知識を身に付けて山に望めば、山歩きの楽しみが大いに広がることを知る。それが高じて、最近では名山探しと探した名山の体系化に熱中。ただし「登った山から名山を選ぶ」のではなく「名山探しのために山に登る」段階になってしまっている観があり、本末転倒ではないかといささか複雑な心境。
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