ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
人生は記憶の積み重ね?人が「その人」で在ること、をふと考えてみる
自分との出会いや結婚生活の部分だけ記憶を失った妻と、記憶(と妻)を取り戻したい夫を描いた映画「君への誓い」を観ました。積み重なる記憶は、やがて時系列が曖昧になったり思い違えたりすることもあるけれど、自分が「自分である」ことを形作っているのかなと思います。シンクロするように読んだ「記憶と人」にまつわる本を紹介します。
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映画の後に偶然読んだこの本はすでにシロクマが絶滅した未来、動物の「レプリカ工場」が舞台。主人公が生きたシロクマを見かけるところから徐々に不思議な現象やドッペルゲンガーと思しき自体に巻き込まれる。安部公房的な奇妙な展開の中、「記憶の積み重ねがあるからその人として存在していられるのでは」の一節も。
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「身体が徐々に何らかの動植物に変わり、最終的には人格が失われ完全に変身する」病気にかかる人々を描いたコミック。ジャイアントパンダ(まだ耳と目だけ)に変わりつつある主人公は、やがて人として「自分(の記憶)」を失うのかと不安を抱えつつ、探偵として同じ病の人(時に変身後の生き物)に向き合う。次巻が楽しみ。
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演劇部の男子レゴシを主役にした学園もの、と言いつつ彼はハイイロオオカミで高校は肉食と草食共学。肉を食べるのはご法度だがいつ肉食が草食を襲ってもおかしくない、それぞれの野生さや緊張が漂う。繊細で優しいレゴシは肉食獣としての在り方に悩みながら小さなウサギの女子に恋をする。この上ない「ヒューマン」ドラマ。
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タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る
ジェイムズ・グリック(著) , 夏目 大(訳)
過去の記憶を変えようとタイムトラベルしたり、過去を変えたばかりに記憶どころか現在の自分の存在が危うくなったり「記憶」と親和性が高いタイムマシン。初めてその概念が登場したウェルズの小説『タイムマシン』、「物語はそれ自体がタイムマシンで、記憶はその燃料」と読み解くプルーストの名作など多方面から検証する。
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風に吹かれて
パトリシア・ハイスミス(著) , 小尾 芙佐(ほか訳)
以前ある画家が「頭の中に思い浮かんだイメージが完全、描き出すと何かが違う」と話すのを読んだけれど、12章の短編が収録されたハイスミス著のこの本には、62歳で死ぬまでに14冊の小説を書いた男が登場する。それも決して紙には書かず頭の中だけで。ヒッチコック「見知らぬ乗客」や「キャロル」などの原作者でも。
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ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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