ブックキュレーター社会学者 古市憲寿
優しい平成
テロ、凶悪犯罪、相次ぐ自然災害・・・。平成は殺伐とした時代と顧みられることがあります。しかし本当に「平成」はそれだけなんでしょうか。殺人で死ぬ人の数は減り続け、昭和と比べれば自然災害への対応も格段に進みました。そして何より昭和のような大戦争が起きていません。社会は平和になり、僕たちは優しくなったはずなんです。素直にはそう信じられないあなたのために、こんな本を選んでみました。
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「反社会学」を銘打っていますが、実際にはかなり「社会学」な本。データを元に、「少年犯罪の増加」や「勤勉だった日本人」といった常識を軽やかに批判していきます。皮肉たっぷりの口ぶりも、まさに「社会学者」そのものです。最近ヒットしている『ファクトフルネス』の日本版といってもいいでしょう。
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僕たちは、たまたま「この時」を生きているに過ぎない。本当は世界には無数の可能性があったはずなのに。「もしも」という視点を持つことで、僕たちはもっと優しくなれる。たとえば著者は、「未来」にいる僕たちの連携の可能性さえも説く。久しぶりにスケールの大きな社会学の本に出会えました。
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平和な平成を支えてきたのは、先行世代の作り上げてきた知識やテクノロジーです。この本では、コンクリートの作り方から、疫学、料理法まで異世界で役立つ現代の知識が列挙されています。読み通して感じるのは、僕たちがいかに豊かな社会に暮らしているのかということ。当たり前の日常が、貴重に思えてくる一冊です。
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なんと言っても主人公が魅力的。博学であり、飄々としていながら、目の前の人物にいつも向き合う。冷酷に真実を突きつけるようでいて、実は他者にとって救いとなるようなことを、さらっと言う。これが平成流の「優しさ」なのかも知れません。
ブックキュレーター
社会学者 古市憲寿1985年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」委員、内閣府「クールジャパン推進会議」メンバーなどを務める。日本学術振興会「育志賞」受賞。他の著書に『だから日本はズレている』(新潮新書)、『保育園義務教育化』(小学館)などがある。慶応義塾大学SFC研究所上席所員。
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