ブックキュレーター障害福祉NPO法人スウィング主宰 木ノ戸昌幸
彼らの冒険はファンタジーのふりをして、今もリアルに挑みかかってくる
常に「生き切れていない」という感覚がある。だからだろうか、子どもの頃から冒険譚を読むのが好きだ。主人公や仲間たちが繰り広げる生死を賭したチャレンジと命の輝きに、ときを忘れて魅了される。そして問う。お前にこれができるか。命は限られている。お前の生き方は、本当に、本当に、これでいいのか。
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ちびっこカムのぼうけん
神沢 利子(作) , 山田 三郎(絵)
小学1年生の頃、この物語の最初のページを開いたその瞬間が、読書という生涯の友との出会いだったのだと思う。「ちびっこ」の響きと壮大な冒険とのギャップがすごすぎる。北斗七星のひしゃくにロープをかけるってどういうことだ?それはちびっこがすることじゃないぞ。世界にはすごいちびっこがいる。冒険ってすごい。
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脳裏に焼き付いて離れない、絵と文章の見事なコラボレーション。勇敢なエルマーは強い「龍」ではなく、恐ろしい動物たちに捕らえられた、かわいそうな「りゅう」を助けに行く。心地よいイメージの破壊。エルマーが黄色と青の縞模様の愛らしいりゅうに出会うとき、彼は同時に読者の、宝物のような友となる。
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人力飛行機の魅力にとりつかれた高校生・浮田康介。周囲に馬鹿にされながら、失敗を繰り返しながら、遂に大空を舞った彼の笑顔に清々しく心震えるのは、誰かとの競争に勝利した者のそれとは決定的に異なるからだろう。人生は短い。他人の言うことや世間に合わせる必要はない。自分が信じた道をただひたすら行けばいいのだ。
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羊をめぐる冒険 上
村上 春樹(著)
てっきり羊が冒険する話だと思って読んでみたら、その未知なる、圧倒的な世界観に引きずりこまれる。文字の、文学の、想像力の、芸術の限界が無限に拡張される至福。映像よりも映像が目に浮かび、救われなさに救われ、自分の奥底にはっきりと手触りが残される。多大なる敬意を込めて「頭がどうかしている」と思った。
ブックキュレーター
障害福祉NPO法人スウィング主宰 木ノ戸昌幸1977 年生まれ、愛媛県出身。スウィング理事長。演劇、祇園のスナック、遺跡発掘などを経て2006年にNPO 法人スウィングを立ち上げ、「障害福祉」の枠を超えた創造的な取り組みを行う。初の単著『まともがゆれるー常識をやめる「スウィング」の実験』(朝日出版社)が2019年1月に発売。
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