ブックキュレーター東京大学教授 池上俊一
ラテンな気分を掘り下げてみよう
毎日の生活が音楽と切り離せず、職場で、学校で、近隣の付き合いで、歌い踊り楽器を奏でる中南米の人々。しかしその音楽は陽気で快活なだけではなく、喜怒哀楽、恋愛・友情、夢と希望、不正の告発・・・といった深さと広がりがあります。こうした音楽はどんな人生観や世界観と結びついているのでしょうか。ラテンな気分をもっと掘り下げて探ってみましょう。
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歌って踊ることの大好きな女の子がサルサと出会い「オルケスタ・デ・ラ・ルス」を結成、ニューヨーク、中南米、スペインでも認められて大ブレークする半生記。家族・友人を大切にし、何事もくよくよせずに笑顔で乗り切るラテンの人の生き方を学んでいった著者の体験が、「日本ラテン化計画」へと発展します。
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熱帯の祭りと宴 カリブ海域音楽紀行
石橋 純(著)
著者がカリブ海域6ヵ国を旅して出会った音楽と芸能、およびそれらと分かちがたく結びついている祭り・宴・呪法や第一級の音楽家の人生やバンドの紹介ですが、ラテンな気分を醸し出す音楽が、いかに現地の人々にとって意味があるかを丁寧に教えてくれます。
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中南米諸国にラテンな気分を浸透させた、スペイン人。彼ら彼女らの「全体的な生の流れとの一致の感情としての情熱」の多様な現れに着目して、古代から現代までのスペイン史をたどった著作。闘牛やフラメンコにとどまらず、政治・社会・文化・宗教全体にこの情熱は滲み渡っています。
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ローマの1200年の歴史を7つの「なぜ」に答える形で非常に分りやすく説いている本。ラテンな気分の根本の洞察はローマ史の理解なしにはありえませんが、本書ではローマ史を特徴づける保護者と被保護者の関係、快活で享楽的な生き様の傍ら人生への諦観と虚無を抱えた意識、何よりも大切な名誉への執着などが、歴史の流れに的確に位置づけられています。
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弓と竪琴
オクタビオ・パス(著) , 牛島 信明(訳)
「人生をポエジーに変える」ことを祈念するメキシコ出身の詩人オクタビオ・パスによる壮大な詩論。中南米の土俗的文化とヨーロッパ流シュルレアリスムによって連帯を導く祝祭=詩的体験の世界大の「総合」を成し遂げたパスの偉大な思想は、ラテンの世界だからこそ生まれたのだと思います。
ブックキュレーター
東京大学教授 池上俊一東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は西洋中世・ルネサンス史。父親(現代中国政治研究者)の仕事柄、中国漬けだった幼少時代の家庭への反動でヨーロッパ史に興味をもち、フランスとドイツの中世文化史・宗教史を研究。旅行で訪れたイタリアで気の良い人々と美味しい料理に魅了されてイタリア研究にのめりこむ。その国を象徴するものでヨーロッパの国の歴史をたどる『パスタでたどるイタリア史』『お菓子でたどるフランス史』をはじめとした岩波ジュニア新書の「たどる史」シリーズは、同レーベルを代表する人気シリーズとなっている。
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