短編も長編も大長編も傑作揃い！初心者でも楽しめる小川一水のSF

さまざまな「愛」がテーマになった短編集です。オートバイAIのオーナーに対する忠実さに感動し、火星と木星間の小惑星で管制官をする女性の奮闘に笑い、AI搭載自動車の挙動に考えさせられる、5編を収録した短編集です。SFっぽさがあまりないのでSF初心者にもオススメです。

地下迷宮に閉じ込められた人びとのクロニクル「ギャルナフカの迷宮」、海しかない惑星で漂流し続ける男を描き第37回星雲賞・日本短編部門賞を受賞した傑作「漂った男」など、SFが持つセンス・オブ・ワンダーをたっぷり堪能できる4つの短編を収録した作品集です。

月に結婚式場を建設するという途方もないチャレンジを描いた、一部で「土木SF」といわれている作品です。緻密な考証と考察に基づいた描写はハードSFでありながら、筆致はエンタメそのもので読後感も非常に爽やか。第35回星雲賞・日本長編部門を受賞しました。

惑星国家の首都を大災害が襲い、すべての都市・政府機能がマヒしてしまいます。そのなかで国家を再建しようと奮闘する主人公をはじめとする熱き人たちの群像劇で、災害スペクタクル小説でもあり、ガッツリSFでもあります。著者の良さがすべて詰まったようなシリーズで、長さを感じない感動的な物語です。

壮大なスケールの時間と空間を舞台にしたスペースオペラで、2019年に全10巻、文庫17冊にて完結した、著者の集大成ともいえる大作です。1巻ごとに舞台設定が違うので別の話として読むこともできますが、巻を追うごとに少しずつ全容が明かされていきます。日本SF史上に残る傑作です。