ブックキュレーター主婦の友社 石井美奈子
あの名優たちの芝居と生きざまを知るための5冊
長年遠ざかっていた芝居見物を最近復活させた。きっかけは堤真一が主演したイプセンの『民衆の敵』。直後にTVで風間杜夫の『セールスマンの死』も見て、芝居熱が戻ってきた。舞台は見たい時に見ておかないと、もう一度見ることは難しい。ましてや名優が平成の終わりに間に合わせるようにどんどん鬼籍に入っていった。今回は舞台・映画・そしてテレビで活躍した(している)、タイプの異なる5人の本を紹介したい。
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市原悦子ことばの宝物
市原悦子(著)
生きる、戦争、演じる、男と女、本当の美しさ、死ぬことなどのテーマ別名言集。どの言葉も耳元で市原さんが語ってくださっているような気持ちになるのが不思議。やまんばや家政婦などの当たり役が実は世間から虐げられている人に向けた気持ちで演じられていたこと、非戦への思いなど、市原さんの核になる部分にふれられる。
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複雑な家庭環境にありながら、天才子役の名を欲しいままにした幼少時代からずっと演じることを続けてきた高峰秀子の自伝。後に養女となった斉藤明美さんの講演を聞く機会があり、それをきっかけに高峰さんの本は相当読み、どれも満足しているが、この本が一番ビビッドでおもしろい。上巻は昭和・戦前の芸能史でもある。
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俳優のノート 新装版
山崎 努(著)
『モリのいる場所』では樹木希林と夫婦役、『長いお別れ』では認知症の父親役。どれも唯一無二の俳優・山﨑努。これは舞台『リア王』の準備段階から本番の最終日までの記録である。一つの芝居、言葉の解釈がどれだけ考え、苦しみ抜いて表現しているのかに心底驚かされる。惜しむらくは『リア王』後、舞台に立っていない事。
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有馬稲子 わが愛と残酷の映画史
有馬稲子(著) , 樋口尚文(著)
日経新聞「私の履歴書」連載時、芸能界、自身の不倫と中絶の過去を赤裸々に、しかも軽やかに綴った文章がとても楽しみだった。この本は銀幕の有馬稲子をインタビューで紹介。小津安二郎・今井正・市川崑などの名監督、佐田啓二・夫となる中村(萬屋)錦之助のエピソードや映画の現場が生き生きと伝わってくる。
ブックキュレーター
主婦の友社 石井美奈子主婦の友社(http://www.shufunotomo.co.jp/)で編集の仕事をしています。根っからの本好き、そして、本屋さんが好きで、この業界に飛び込みました。好きな旅・食についてや、女性の視点での健康や老後について本を広く紹介していきます。
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