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物悲しいのになぜか惹かれてしまう。はじめてのポール・オースター
現代アメリカを代表する作家であるポール・オースターの小説は、孤独や喪失をテーマにした悲壮感あふれるものが多いのですが、それでも読まずにはいられない不思議な魅力に満ち満ちています。ここでは、その魅力に触れることができる代表的な本を紹介します。彼の小説にはハッピーエンドはありません。しかし、読んで良かったと必ず思えるはずです。
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孤独の発明
ポール・オースター(著) , 柴田 元幸(訳)
ひとり孤独に亡くなってしまった父親の思い出と、徐々に明らかになる父親の抱えていた虚無感を豊かな表現で綴った自伝的小説。「孤独」についてのネガティブな心情吐露が延々と続くのですが、冗長さを感じさせないのが本書の不思議なところであり、最大の魅力といえるでしょう。オースター名義での処女作で、その人並外れた洞察力に驚かされます。
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1本の間違い電話がきっかけで始まる人探し、というスリリングな探偵小説のような出だしで始まりますが、その後の展開は不条理そのもの。予測のつかない斬新なプロットが、主人公とともに読み手までも幻想的な世界へと誘います。人間のアイデンティティーの脆さがクールに描かれていて、想像力が激しく刺激されるはずです。
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心優しき友人たちの助けによって絶望の淵から逃れることができた若者が、己の奇妙な出生のルーツをたどっていく青春小説。エンターテインメント性が高く、オースターの小説としては比較的すんなりと感情移入できます。大団円で終わる後味すっきりの小説ではないですが、深い余韻がしみじみと心に残り、読後は充実感に満ちているはずです。
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つらい記憶に苛まれ続け、眠れぬ夜に耐えるために老人が紡ぎだした空想の世界は、9・11の同時多発テロが起きなかったアメリカでした。しかし、なぜかその世界も安息の地とは程遠い厳しい日常で・・・。深い喪失感を抱えた者の作り出すパラレルワールドという体で世に蔓延している闇を鋭く描いた、メッセージ性の高い長編小説です。
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