ブックキュレーターフォトグラファー・記者 長塚奈央
短くて果てしない言葉の世界。心の中を覗くような「短歌」を他者の解説で
たくさん聞いた話をぎゅっと凝縮して人となりが伝わるような「濃さ」も「リズム」もあるインタビュー記事にする(したい)と日々思っている中で興味が湧いた短歌。膨大な時間の流れや思いをたった31文字にのせるのこともあるのでは。歌人本人でなく他者がその歌について語った本は、自分と違う感情や一人では気づき得ない視点が得られそう。
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世界中が夕焼け 穂村弘の短歌の秘密
穂村 弘(著) , 山田 航(著)
インパクトある斬新な言葉の組み合わせで短歌を詠む穂村弘を、著者で歌人の山田航は「穂村弘以前・以後」とすら分けられるほど、平成最大の歌人という。山田さんが120首を選び、歌の意味やイメージを解説。それに感心したり真相を述べたりする穂村さんのコメントが続く。短歌の生まれる瞬間のようなものが垣間見れる。
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ダイオウイカは知らないでしょう
西 加奈子(著) , せきしろ(著)
短歌初心者の小説家・西加奈子さんと、文筆家・せきしろさんが歌人のほか、山崎ナオコーラさん、南海キャンディーズの山ちゃん、星野源さんら様々なゲストを迎え、出されたお題で短歌を読み合った一冊。同じお題だからこそ歌を通して鮮明に読み手の個性や生きてきた時間が浮かび上がり、それを喋り合う二人の様子も楽しい。
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共に歌人として大学で出会った瞬間から、夫婦になり、そして妻の病気がわかり旅立つその時まで、互いのことを膨大な歌に詠んできた河野裕子さんと永田和宏さん。永田さんがまとめた一冊、互いを想い良く理解しながらも、詠んだ歌からこそまだ「こんな人だったと気づきがある」という言葉が短歌とは何かを伝えてくれる。
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サキサキ オノマトペの短歌
穂村 弘(編) , 高畠 那生(絵)
前述の河野さんの代表作「たとえば君 ガサッと落ち葉をすくふやうに 私をさらって行ってはくれぬか」を知ったのが、このオノマトペにまつわる短歌だけを穂村さんがセレクトした一冊。動物園を舞台に、絵本作家・高畠那生さんの独特な絵の世界観の中にそれぞれ別の歌人の歌が連なり、本来の歌とはまた違った想像が広がる。
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千年後の百人一首
清川 あさみ(著) , 最果 タヒ(著)
最果タヒが百人一首を現代語に訳して綴り、清川あさみが糸や布、ビーズで描いた一冊。千年も昔に生きた人の感情が「言葉」があることで現代に伝わり残っているのもすごいが、言葉そのものは刻々と変化していく。似た思いながらも同時代を生きるフレッシュでリアルな言葉を通して新たに短歌を受け取れるのは楽しい。
ブックキュレーター
フォトグラファー・記者 長塚奈央1973年東京生まれ。学習院大学文学部フランス文学科卒業ののち、パルコブックセンター本部勤務を経てカメラマンに転身。書籍や雑誌を中心に料理や雑貨、インテリアの撮影を多数手掛けるほか、カメラ学校の講師などもつとめる。著書に自ら旅し、食のシーンから街の空気を写真と文章で綴った『上海口福案内』がある。近年は撮影の傍ら、地域に密着したWebニュースの記者として積極的な取材活動も行っている。日常からあっという間に非日常へとワープできる本と映画、舞台が生活に必要不可欠。
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