ブックキュレーター京都府立大学文学部教授 岡本隆司
中国の歴史から「今」を知る
中国に関わる書物は良書が少ない。全体的な俯瞰と長期的な視野に欠けるからである。それなら来し方からみるのも一法で、めまぐるしい目前の転変も、実は既成のパターンをなぞっていることも多い。温故知新、中国・世界の「今」を学べる歴史書を選んでみた。
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転変する世界史との関連で、政治・経済・社会の動態から古代から現代までの中国史を通観。細かい人物名や年号には立ち入らず、大局をみる。中国社会の多元化とその政治的な統合が、現代まで通じる中国史最大のモチーフ。
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君主の称号とその翻訳で世界史を一望する。東西の国制・政体・外交・社会のありようは、中国の「皇帝」はじめ、史上の主権者たちが自らをいかに名乗ってきたかに如実にあらわれてきた。その翻訳とあわせみることで、現代までの内政外交が把握できる。
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中国史 上
宮崎 市定(著)
往年の名著にして今や古典となった中国通史。時系列のオーソドックスな歴史書ながら、時代区分をはじめ、社会経済史的な視点から独創的な史実解釈を交えて、1970年代までの中国史を一気呵成に語る。現代的な課題についても示唆が得られるはず。
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天下と天朝の中国史
檀上寛(著)
世界観と国際秩序体系でたどった中国通史。歴代の中国の政権がいかに外向きかがよくわかるし、その拠りどころも世界との関係から明らかになった。現代中国がなぜ国際関係になじまないのか、もかいま見ることが可能である。
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世界史の分水嶺になったモンゴル帝国の歴史を、13世紀の後半に君臨したクビライの事蹟でたどった画期的な書物。首都の北京・多元一体の国家構造をはじめとして、現代中国の実質的な出発点がクビライの時代にあったことがよくわかる。
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東アジアの王権と思想 増補新装版
渡辺浩(著)
日本思想史の書物ながら、東アジア全体を照射し、日本がやはり東アジアに位置していたこと、つまり中国のありようと無縁では存在できないことを解明。西洋との関係で中国とどう向き合うのか、は今昔かわらぬ日本人の課題なのである。
ブックキュレーター
京都府立大学文学部教授 岡本隆司1965年京都市生まれ。神戸大学文学部卒業、京都大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。宮崎大学教育学部講師・教育文化学部助教授、京都府立大学文学部准教授を経て、現職。専攻は東洋史・近代アジア史。
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