ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
絵本の言葉を支えるもの
すぐれた絵本は、繰り返し読まれ、一生の宝物になり、世代をこえて手渡されていきます。極限まで削ぎ落とされたその文章は、単純なのに豊かで、何千回、何万回読まれても決してすり減ることなく、ますます耀きを増していく魔法のようです。絵本の言葉の裏側にある、知性や哲学や感受性の深さに触れられる絵本作家たちの本を紹介します。
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惑星
片山 令子(著)
『たのしいふゆごもり』や『もりのてがみ』など、夫・片山健との共作、その他多くの絵本を書いた片山令子。彼女ほど、ひとつの言葉に多くの表情を含ませて語れる書き手はいない。喜び、驚き、愛と信頼、そして、不条理や悲しみや切なさも全部のみこんだ上で、暖かい言葉を紡ぎ続けた人。そのエッセンスを集めた一冊。
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同じうたをうたい続けて
神沢 利子(著)
『くまの子ウーフ』『ふらいぱんじいさん』などで知られる神沢利子の物語小品とエッセイなどを集めた本。どれをとっても、きりりとした文体に、いのちへの優しい眼差しが一貫して注がれている。「人間の内には愚かさも高貴さもある、そしてそれは全部、わたしの内にもあるのだ」と語る言葉が、深く響いてくる。
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石井桃子のことば
中川 李枝子(ほか著) , 松居 直(ほか著) , 松岡 享子(ほか著) , 若菜 晃子(ほか著)
石井桃子は、文字通り日本の絵本の礎を築いた人。この人なしに語れないし、この人であったことが私たちにとって、どんなに大きな恵みだったことかと思う。石井の絵本への態度は毅然としていて、すべての言葉が徹底して磨かれた玉のように光っている。そんな石井桃子の仕事と人生をビジュアルとともに一望できる本。
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現代の民話 あなたも語り手、わたしも語り手
松谷 みよ子(著)
「あかちゃんの本」「ちいさいモモちゃん」シリーズや『龍の子太郎』などで知られる松谷みよ子は、各地を訪ね歩き数多くの民話を集めた。人々は「おはなし」という形で、さまざまな感情や奥深い知恵を伝えてきたのだ。この本は、民話の壮大な世界を、噂話や怪談も含め、現代に引き寄せてわかりやすく紹介している。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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