ブックキュレーター文芸評論家、多摩美術大学美術学部教授 安藤礼二
「迷宮と宇宙」をめぐる物語
世界が文字通り一つになった時代の文学の課題とは、一体どのようなものでしょうか? 時間と空間の隔たり、リアルとフィクションの差異を乗り越え、「翻訳」を介してさまざまなモチーフが一つに結ばれ合い、交響し合う。そこから、固有であることと普遍であることを架け橋する、宇宙と意識の根源を探究する特異な物語の群れが立ち上がってきます。
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三島由紀夫の盟友であった澁澤龍彦もまた、自身の生涯と作品の完成を一致させてしまった希有な作家です。しかし、両者の有り様は正反対でした。澁澤が最後に自らを重ね合わせた高丘親王は、現実と虚構が入り混じる博物学的な世界への幸福な旅に出ます。「迷宮と宇宙」を経めぐる、ポオ、ヴェルヌ、ルーセルの系譜に連なる空想旅行記の傑作です。
ブックキュレーター
文芸評論家、多摩美術大学美術学部教授 安藤礼二1967年、東京都生まれ。文芸評論家、多摩美術大学美術学部教授。[主要著書]『神々の闘争 折口信夫論』(講談社)芸術選奨文部科学大臣新人賞、『近代論 危機の時代のアルシーヴ』(NTT出版)、『光の曼陀羅 日本文学論』(講談社)大江健三郎賞・伊藤整文学賞、『霊獣「死者の書」完結篇』(新潮社)、『場所と産霊近代日本思想史』(講談社)、『たそがれの国』(筑摩書房)、『祝祭の書物 表現のゼロをめぐって』(文藝春秋)、『折口信夫』(講談社)角川財団学芸賞・サントリー学芸賞、『大拙』(講談社)、『列島祝祭論』(作品社)、『迷宮と宇宙』(羽鳥書店)、『吉本隆明 思想家にとって戦争とは何か』(NHK出版)。
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