ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
画家・牧野伊三夫を味わう
雑誌や広告のイラスト、文章を書いたり、故郷のコミュニティ雑誌を作ったり、同人誌を運営したり・・・画家・牧野伊三夫さんの多彩な仕事に触れられる本を選びました。何をやっても、空間全体を自分の色で染めてしまうような牧野さん。自由気ままなようでいて、その自由を守り抜く胆力と鍛錬が奥にあるのだと思います。
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僕は、太陽をのむ
牧野 伊三夫(著)
牧野さんが主宰する美術同人誌『四月と十月』から生まれたシリーズ「四月と十月文庫」の1冊で、牧野さんの初めての画文集。普通の文庫本よりひとまわり大きいサイズで、表紙が柔らかく開き、しっくりとてのひらに収まります。画家になる前の不安な気持ちも率直に記されていて、ちょっとやるせなくて、あたたかい。
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窓辺のこと
石田 千(著)
石田千さんのエッセイ集ですが、牧野さんの挿画もたっぷり収められています。50歳という節目を迎え、父の死に直面して静かに揺れる石田さんの文章を、牧野さんの絵がそっと支え、励ましているようにも見えます。雑誌なども含め、おふたりでいくつもの仕事を重ねてきた、その信頼感が生んだ幸福な本。
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画家のむだ歩き
牧野伊三夫(著)
エッセイと絵でつづる旅日記。旅先のおいしいものや酒や銭湯も多く登場しますが、何よりいいのは人との出会い。酒場の女将さん、立ち寄った銭湯の常連さんなど、短い会話をかわしただけの人にも、それぞれの人生が感じられます。人間への興味と愛情が、画家・牧野の主成分なのかもしれません。
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牧野伊三夫イラストレーションの仕事と体験記1987−2019 椰子の木とウィスキー、郷愁
牧野伊三夫(著)
厚さ5センチもあってずっしりと重いけれど、ページを開くと圧迫感は皆無。下描きのラフスケッチやボツになった作品もあり、舞台裏も覗き見できます。「体験記」20本余に、ともに仕事したデザイナーや作家による寄稿も。満漢全席的なのに、するするとお腹に収まって、まだまだ食べたくなる、これが牧野さんの魅力。
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ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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