ブックキュレーター哲学読書室
「日本」と「近代」を考えるのにガッツリ読みたい5冊
近代‐現代について考えることはもちろん生半可なことではない。だが、「まとめてみた」類の概説書や「教養」のための読書を通してではなく、ひとまず日本において、とりわけ「文学」やその近傍から、それを一度“ガッツリ”考えてみたい貴方には次の5冊をお薦めする。【選者:長濱一眞(ながはま・かずま:1983-:批評家)】
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近代のはずみ、ひずみ 深田康算と中井正一
長濱 一眞(著)
近代を思考するうえで恐らく欠くべからざるは批評なるものであって、それを日本において考えるとき、本書はその一助となるだろう。天皇制から国家‐市民社会、資本主義に至るまで、深田と中井が生きた歴史的境遇を確かめながら、文学や映画を論じたふたりがこれらの問題構制のなかでいかに闘ったのかを批評する。
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アナキスト民俗学 尊皇の官僚・柳田国男
絓 秀実(著) , 木藤 亮太(著)
日本近代を再考し、その「やり直し」を考える際、種々の立場を超えて依拠されること最もしばしばなのは、柳田国男だろう。だが、この「国民的」支持を疑わずしていまや批評‐再考は始まらない。興奮を禁じえない「山の人生」論をはじめ、柳田から汲まれる数々の論点を、膨大な資料にあたりつつ批判的に剔抉した本書は必読。
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カントの人間学
ミシェル・フーコー(著) , 王寺 賢太(訳)
日本への言及はなく、もとは日本語で書かれたテキストでもないからといって、本書が論じる「人間学」は到底無視しえない。「大衆的」な性格を帯びた「人間学の観点からすると、モデルとなる集団は家族でも国家でもなく、「食卓を囲む集い」なのである」。例えばこれを「同じ釜の飯を食った仲」との視差において考えること。
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いまどき大江健三郎が書いたあの傑作やかの問題作やら等々すら読まずにおめおめと日本語で小説を書き、小説とはなにかなどと云々していられることこそ「平和ボケ」と呼んで然るべきだろう。なんやかやいっても、大半の学生が大江に触れぬまま卒業してしまえる文学部に「これから」があろうはずもないのでは? もちろん対象は第1巻に限らない。全巻どれからでも読むべし。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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