ブックキュレーターhonto編集員
伝説からファンタジーへ。西欧の竜の系譜をたどる本
実際には存在しない伝説の生き物でありながら、昔から多くの物語に登場してきた竜。狡猾で強欲、時には人語を操り、人の知らない知識を有する彼らはいつから存在し、その描かれ方はどう変化してきたのでしょうか。時代の異なる物語の竜の姿を比べるなかで、その本質に迫ります。
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ベーオウルフ 妖怪と竜と英雄の物語
ローズマリ・サトクリフ(著) , 井辻 朱美(訳)
本書は古英語と呼ばれる英語とドイツ語のもととなった言語で書かれた最古の文学であり、英文学の祖とも言われている物語です。怪物退治で名を上げた英雄ベーオウルフは故国で王となった後、竜と相打ちとなって死を迎えます。死を避けられぬものとする価値観や、悪の象徴である竜の元型ともいえる姿が描かれています。
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ラインの黄金 ニーベルングの指環
リヒャルト・ワーグナー(原作) , 高橋 康也(訳) , 高橋 宣也(訳)
19世紀になり、ヨーロッパで民族意識が高まると同時に脚光を浴びたのが古来の神話や伝説でした。北欧神話の伝説を基にしたこのワーグナーの歌曲には、魔法の指輪を守る竜ファーフナーが登場します。英雄ジークフリートは自らの出自を知るため竜退治を成功させるも、呪いがかけられた指輪のため死を迎えることになるのです。
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ホビットの冒険 オリジナル版
J.R.R.トールキン(作) , 瀬田 貞二(訳)
20世紀に入りファンタジーの世界に伝統的な竜の姿を取り込んだのがトールキンでした。北欧神話やベーオウルフに着想を得た本作では、主人公のビルボがドワーフたちの故国奪還の旅に力を貸します。彼らが遭遇する竜のスマウグは宝を守る狡猾な存在であり、その強欲さは竜の爪や牙以上に他者の心に悪い影響を及ぼします。
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ファンタジーの旗手として名高いグウィンはトールキンと同様に伝統的なファンタジーの流れを組み、20世紀に活躍した作家。若き魔法使いゲドは誤って恐ろしい「影」を呼び出し、長年その追跡に費やすことになります。旅半ばに登場する竜イエボーは、太古の知恵と言葉を保持する存在。あくどくも、人智を超えた偉大さを感じさせます。
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