ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
ヴォーリズの遺産をたどる
関西学院校舎、京都・東華菜館、軽井沢教会、東京・山の上ホテルなど、落ち着いた雰囲気をたたえる建築で知られるヴォーリズ。キリスト教伝道の使命を胸にアメリカを発ち、滋賀県近江八幡の簡素な駅にひとり降り立った時、彼は24歳でした。83歳で亡くなるまで、この地に根を下ろし活躍したヴォーリズとは、どんな人だったのでしょうか。
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メレル・ヴォーリズと一柳満喜子 愛が架ける橋
Grace Nies Fletcher(著) , 平松 隆円(監訳)
明治38年の日本の保守的な小さな町で青年ヴォーリズがたったひとりで始めた活動が、教会や伝道所、建築、教育、医療や薬の形で今に残されるようにまでなったのは、篤い信仰と、妻満喜子の働きを抜きに語れません。アメリカ人ジャーナリストがふたりに直接取材して書いた評伝。彼らの人生は情熱と勇気に溢れています。
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ヴォーリズ建築の100年 恵みの居場所をつくる
ヴォーリズ(作) , 山形 政昭(監修)
監修者の山形氏はヴォーリズ建築研究の第一人者。この大型本は写真も豊富、執筆者も多彩、建築の細部を紹介するコラムも充実しています。キリスト教信仰を土台とし正しく善く生きることをすべての中心に置くヴォーリズの建築は、彼のヒューマニズム的思想の発露であり、だからこそ時を超えた美を保っているのでしょう。
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ヴォーリズの建築の半数以上は住宅。住む人の身心の健康を第一義とし、依頼者に奉仕する設計をポリシーとしていました。この本は今なお住宅設計の名著のひとつに数えられるヴォーリズ自身の著書の復刊。講演をもとにしていて、その肉声が聞こえてくるかのようです。同時に復刊された『吾家の設備』と併せてどうぞ。
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近江兄弟社学園をつくった女性 一柳満喜子
木村 晟(著)
アメリカ留学で福祉を教育を学んだ満喜子が自宅で始めた学童保育は、自由、自立をうたう先進的な教育観のもと、幼稚園から高校までの学校へと育っていきます。著者は、ヴォーリズらがつくった学校、近江兄弟社学園の卒業生で、満喜子の謦咳に触れた経験をもち、深い尊敬が感じられる一書です。
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高橋虔と近江兄弟社学園
木村 晟(著)
高橋虔がヴォーリズとの決定的な出会いを果たしたのは17歳の時でした。ヴォーリズが展開した「近江ミッション」の奨学生として米国に留学、その卓越した語学力をもって、日本の聖書を語るとき欠かせない人物となっていったのです。同志社大学神学部教授、そして近江兄弟社学園の教師として長く活躍した高橋の人生を紹介。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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