夏の情景、海の情景

お母さんと一緒に海にやってきた女の子は、波と追いかけっこを始めます。寄せては返す大小の波、カモメの鳴き声、そして夏の光―。文字がいっさいなく、青と白、黒のみで描かれたイラストだけで進んでいく海辺のストーリー。近年世界的に高い評価を得ている気鋭の絵本作家による、想像しながら読む醍醐味が味わえる一冊。

船乗りを夢見る少年チムの冒険を描いたロングセラー。作家の北杜夫が「全てのページから潮の香りがする」と絶賛した一冊で、まるで長編映画を観たかのような臨場感が味わえます。チムを子ども扱いせず対等に接する船員たちの描写も魅力的。終盤で嵐の海を前に船長が放つ言葉は、「絵本史上最も格好いい台詞」の一つです！

『リンドバーグ』、『アームストロング』に続く、勇気と知恵を持ったネズミの冒険を描いたシリーズの3作目。今回は先祖が遺したある「宝もの」を探す小ネズミとネズミ大学の教授が、大西洋の海底に沈む沈没船を目指します。多彩な海の生き物など、緻密に描きこまれた海の情景がとにかく見事で、謎解きの要素も魅力の一冊。

風が、靴を履いて大海原を駆けていく―。受験に失敗した海生は、亡くなった祖父の愛用していたディンギー（小型ヨット）に乗りこんで海へ。祖父の思いと「秘密の入り江」、自分の生き方をめぐる、夏の海の冒険。アーサー・ランサム作品の翻訳で有名な神宮輝夫氏による解説も興味深く、繊細な鉛筆画による挿絵も秀逸。

「海流発電」を利用して東京湾に建設された実験都市・千葉県海中市。そこで生まれ育った夏波たち高校生の青春模様、やがて彼らに訪れる運命が不思議な緊迫感をもって描かれます。現代のエネルギー問題も考えさせる内容で、海中高校の校則一覧や校歌、架空の「JR海中線」の路線図など、詳細な物語設定の説明も面白い。