ブックキュレーター立命館大学グローバル教養学部教授 前川一郎
歴史認識問題、歴史修正主義にどう向き合うべきか
歴史修正主義という妖怪が世を徘徊している。戦争や植民地主義の過去に対する「反省」を口にするだけで、罵倒され、精神的に追い詰められる。そんな世の中でいいわけがない、と誰もが思う。だが、どうすればいいのか。現状を知り、未来を展望する手助けとなる良書を選定した。
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タイトルの通り、「歴史認識」問題の構図と実態を幅広く概観した好著。著者は、アジア女性基金の活動に深く関わった著名な国際法学者。行間に若干の日本びいきがにじむが、それも本書の味である。歴史問題を客観的に論じるうえで最初に読むべき必読書。
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今日、一昔前では想像もできなかった「一線越え」が横行している。政治の不祥事の数々然り、メディアを徘徊する歴史修正主義然り、街中を闊歩するヘイトスピーチ然りである。「右傾化」現象を手掛かりに、そうした日本社会の現実を多面的に分析する入門書。
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歴史認識から見た戦後日韓関係 「1965年体制」の歴史学・政治学的考察
吉澤 文寿(編著)
徴用工問題は国際法上「解決済み」とされた問題を掘り起こした、と言われている。しかし、近年の韓国大法院判決は、1965年日韓請求権協定と日韓外交が置き去りにした「被害者」の存在をあぶり出したのだ。国際法を盾に過去を封印する議論の陥穽を突く研究。
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記憶の政治 ヨーロッパの歴史認識紛争
橋本 伸也(著)
ドイツは「過去の責任」に向き合ってきたのに、日本はダメだ、という声を聞く。だが、それは間違いだ。ドイツどころかヨーロッパのあちこちで、歴史問題は政治と社会の分断をもたらしている。現代ヨーロッパの「記憶の政治」を解き明かした名著。
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イギリスの歴史 帝国の衝撃 イギリス中学校歴史教科書
ミカエル・ライリー(著) , ジェイミー・バイロン(著) , クリストファー・カルピン(著) , 前川 一郎(訳)
戦争や植民地支配の過去がもたらした負の側面を、歴史教育でどう伝えるかは難しい。歴史教育は「国民史」涵養の場であり、過去を全否定するわけにはいかないからだ。だから両論併記となるわけだが、そこに問題はないか。イギリスの歴史教科書を通して考える。
ブックキュレーター
立命館大学グローバル教養学部教授 前川一郎1969年東京生まれ。博士(人文学・創価大学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、創価大学准教授・教授、ロンドン大学(LSE)客員研究員等を経て現職。専門はイギリス帝国史・植民地主義史、歴史認識論。
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