ブックキュレーターhonto編集員
ただの知識で終わらせない。人の心から戦争とジェノサイドを知る本
戦争やジェノサイド。現代日本に生きる我々には、それは単なる知識、もしくは数ある悲劇の一つにしか感じられないかもしれません。しかし、当時を生きた人々はフィクションではなく、我々と同じ生身の人間でした。今なお戦禍のなかにいる人々に無関心でいないためにも、激動の時代を生きた人々の「心」から、戦争やジェノサイドを再考してみませんか。
- 21
- お気に入り
- 1507
- 閲覧数
-
アウシュヴィッツでの体験が風化することを恐れた著者が、自死を選ぶ1年前に記した本。著者を苦しめた「生き残ったことに対する罪悪感」から、改めてジェノサイドの苛烈さを感じます。ユダヤ人への残虐行為を前にして口をつぐんだ人々と、戦争を遠い国の出来事だと感じている我々に、違いはあるのかと考えさせる一冊です。
-
太平洋戦争末期に日本の学徒兵が遺した手紙や手記などをまとめた一冊。死を積極的に求めるよう強いられた青年たちの、不合理だと憤りながらも己の運命を受け入れていく様子が、目の前に浮かんできます。残される家族を気遣い理性的に書かれた彼らの心の叫びから、戦争の空虚さを感じるはずです。
-
財産や身体的自由、家族と自我、そして尊厳。強制収容所ですべてを暴力的に奪われたにもかかわらず、精神的な高みを保ち続けたユダヤ人たちの姿を、精神科医の著者が冷静な目で記した一冊。極限の恐怖のなかにあっても精神的な自由を放棄しなかった人々の姿は、今なお私たちに「いかに生きるべきか?」という問いを投げかけてきます。
-
各国の思惑が入り乱れて泥沼化したベトナム戦争において、南ベトナム側に従軍したノンフィクション作家によるルポルタージュです。語らずに消えていく物語の多さに辟易としながらも、「真実と思われるもの」をひたすら追い求める著者が記した言葉の端々から、自国が戦場となったベトナムの人々の静かな叫びが聞こえます。
-
戦争における「人殺し」の心理学
デーヴ・グロスマン(著) , 安原 和見(訳)
戦場で兵士が敵を殺害するときどういった心理的プロセスを経ているのか、軍人である著者が答えます。人間には自分が生命の危機にさらされても、他者を殺すのに抵抗する力が備わっていると説明する一方、近年は暴力が娯楽と密接に関わり過ぎていると指摘。戦争をフィクションとして楽しむ社会に警鐘を鳴らす一冊です。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です