ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
物語が生まれる場所・・・山
生命を育み、時には脅かしもする場所。古来から人々の信仰を集めてきて、「こちら側の世界」と「むこう側の世界」との境界でもあるとされてきた、天に近い場所―。そんな様々な顔を持つ「山」という場所をテーマにした、5冊の児童書を紹介します。自分にとって身近な山も、これらを読んだ後は違った視点で見ることができること請け合いです!
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ことりをすきになった山
エリック=カール(絵) , アリス=マクレーラン(文) , ゆあさ ふみえ(訳)
渡りをする一羽の小鳥に恋をした、岩だらけの山。時をこえて受け継がれゆく普遍的なものを描きだした、「壮大なラブ・ストーリー」とも言える珠玉の絵本。作者のマクレーランは、アンデス山脈などを調査したこともある文化人類学者。『はらぺこあおむし』などで人気のエリック・カールによる印象的なイラストにも注目を。
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富士山にのぼる 増補版
石川 直樹(著)
2001年に七大陸最高峰登頂を達成し、今も新たな「旅」を模索し続ける若き冒険家による、子どものための写真集。誰もが知っている富士山も、登れば必ず新たな世界を見せてくれる―。登山に必要な装備や食事、途中の風景などが詳細に紹介されていて、自分も富士登山をしているような臨場感にあふれています。
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山人奇談録
六条 仁真(著)
巡る季節の中、6年生の「あたし」が山人(やまんど)であるじいちゃんに導かれて体験する、数々の不思議な出来事をおさめた奇談集。この世ならざる幻獣、人外のものたちの集う夜市、祭り、神域―。読んだ後は、「自分も山に入れば『人知をこえた何か』とすれ違えるかも?」と思えてくる、幻想的な連作短編集です。
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わたしの山の精霊ものがたり 山の神さまにまつわる24と3つのお話
オトフリート・プロイスラー(作) , ヘルベルト・ホルツィング(絵) , 吉田 孝夫(訳)
リューベツァール―中央ヨーロッパの大山脈・リーゼンゲビルゲに棲まう山の精霊―にまつわる数々の伝説をおさめた短編集。奇妙な話や恐ろしい話、愉快な話、切ない話など、日本の山の物語とも共通する雰囲気があります。『クラバート』などのファンタジーでも有名なドイツ人作家による、不思議な魅力にあふれる短編集。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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