ブックキュレーター本谷有希子
今回の小説執筆にあたり、影響を受けた(かも)しれない本
思い返せば、影響を受けたかもしれないな、と思う本をつらつらと。選んでいて、久しぶりにディストピアものを一気に読みたくなってしまった。これから先、私達は生き物としてどんな風に変わって/変えられていくんだろう。そんな想像をさせてくれる本が、私にとっては良書です。
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23分間の奇跡
ジェームズ・クラベル(著) , 青島 幸男(訳)
教育がいかに簡単に子供の中身を書き換えてしまえるかを、たったこれだけのページで描き出していて打ちのめされる。こんな最後の一文を自分も書いてみたい、と心から思わされた小説。
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すばらしい新世界 新訳版
オルダス・ハクスリー(著) , 大森望(訳)
実は小説執筆のあとに読んだ作品。書く前に読まなくてよかった、と思うほど重なる細部が幾つか。人々の社会階級が生まれる前から決定されるのは仕方ないとして、そのために施される「処置」の過程が衝撃。こうして何の疑問を持たない人間が製造されるのだとしたら、はて、私は「処置」をされてないと言い切れるのだっけ?
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「我が子を幸せにするためなら、なんでもする」。そういう呪いが我々母親にかけられていることは知っていたけど・・・。「母親」というイメージから連想される、あたたかで柔らかなイメージは皆無。私達は親になることで、「正常である権利」を失わされるのかもしれない。
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最近まで読むのを避けていたが、ただの読まず嫌いだったことが判明。人々は「ムード・オルガン」によって気分を機械的に調整し、「エンパシーボックス」のバーを握って世界中の人間と繋がり、ひとつの生命体になる・・・。ディティールも好みだが、限りなく人間に近い存在として描かれるアンドロイドの造形も秀逸。
ブックキュレーター
本谷有希子1979年、石川県生まれ。2000年「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。主な戯曲に『遭難、』(第10回鶴屋南北戯曲賞)、『乱暴と待機』、『幸せ最高ありがとうマジで!』(第53回岸田國士戯曲賞)などがある。主な小説に『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』、『生きてるだけで、愛。』、『ぬるい毒』(第33回野間文芸新人賞)、『嵐のピクニック』(第7回大江健三郎賞)、『自分を好きになる方法』(第27回三島由紀夫賞)、『異類婚姻譚』(第154回芥川龍之介賞)、『静かに、ねぇ、静かに』など。近年、著作が海外でもさかんに翻訳され、『異類婚姻譚』『嵐のピクニック』を始め、世界11言語で出版されている。英語版は The New Yorker、The New York Timesなどで大きな話題となった。
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