ブックキュレーター哲学読書室
コンテナから神話へ、五千年以上を遡る5冊。
かつてなく当たり前に、かつてなく大量にモノと情報が世界を駆け巡る時代に私たちは生きています。今後、ますますその勢いは増していくでしょう。情報とモノの濁流に身を洗われながら、ただ流されるのではなく抵抗するために、押し寄せるその怒涛に目を向けてみるのはどうでしょうか。拙著『書物と貨幣の五千年史』と副読本4冊をご紹介します。【選者:永田希(ながた・のぞみ:1979‐:著述家・書評家)】
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書物と貨幣には共通性がある。紙や金属、植物の皮に、何か文字や図像を刻んだりインクを染み込ませたりしたものであるということ。つまり、何かに何かが書かれている。これによって書物や貨幣は権威を持った。「書かれていること」がブラックボックスを作り、歴史の中でブラックボックスはまた別のブラックボックスに包摂されてきた過程を読み解く。
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貿易の拠点となる各港湾で積荷の陸揚げに時間や費用が余計にかかる場合があることに、荷主たちは頭を悩ませていた。この状態を革命的に変えたのがコンテナの普及だ。中身を問わず箱の数で機械的に作業量が計算できるようになった。外部から内部を透視できないが、透視できない代わりとして「その中に収まるもの」という性質を積載物全てに共通させることを可能にしたのがコンテナだった。
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存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて
東 浩紀(著)
そこにいないと言うことでむしろどこかに誰かがいると言える存在論的否定神学に対して、そこに何かがいるかもしれないしいないかもしれないとしか言えないという郵便的世界観を打ち出した一冊。誰かが誰かに送ったメッセージは原理的に必ず届くという想定に対して、郵便事故で届かなくなる可能性があることを指摘し、「誤配」を可能にする郵便空間なる概念を提唱した。
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コンピューティング史
マーティン・キャンベル=ケリー , ウィリアム・アスプレイ , ネイサン・エンスメンガー , ジェフリー・R・ヨースト , 杉本舞 , 喜多千草 , 宇田理
意識するしないを問わず、手元のスマートフォンからはるか遠くの人工衛星に至るまで、私たちはコンピュータによって何重にも取り巻かれている。本書は、人間が手動で計算をしていた時期から、機械としてのコンピュータが生まれ産業化する過程を描く。とりわけその黎明期、一攫千金の領野を切り開いた先人たちの姿には胸を踊らされる。
ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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