ブックキュレーター上智大学総合人間科学部教授・一般社団法人未来研究所臥龍代表理事 香取照幸
日本の社会保障を正しく理解するために
社会保障は社会経済の縮図、国の財政や経済システム、政治システムと密接不可分です。社会保障を理解することを通じて、この国が抱えている経済や社会の問題を理解することができます。入手しやすく、わかりやすい本を選んでみました。
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第一部が必読。社会保障を、それを支える理念や哲学に遡ってわかりやすく解説し、日本社会の変化、抱える課題と社会保障との関係を体系的に論じている。一般読者が社会保障の全体像を理解するのに最適。歴代厚生労働白書の中では出色の出来。
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「人生前半の社会保障」「持続可能な福祉社会」という年来の著者の主張を深掘りし、高齢化と人口定常化が地球規模で進行する中で社会をどのようにデザインしていけばよいかを論じている。環境問題や経済循環、企業行動まで見通して論じる視野の広さ、発想の斬新さに注目。
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社会保障と経済学の関係とは?全ての経済学はその根底に思想があり「政策思想」を内包している。経済学の系譜はそのまま「政策思想―経済政策―の系譜」でもあり、経済学は現実政治・政策選択との接点を持つ。故に、君がどの経済学を手にするかで、問への答は決まる。
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福祉国家比較研究の世界的権威者の一般読者向け著書。社会と家族を守るための個人に対する福祉、とりわけ子どもと女性、そして高齢者に対する公共サービス構築の重要性をわかりやすく解説している。社会サービスの外部効果(経済効果)や「新しい公共」についても言及している。
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スウェーデンの中学校社会科の教科書。社会保障の意味を、個人・家族・地域・国家それぞれの役割と機能から説き起こし、社会の全容を理解した上で政治の仕組みを学び、最後に社会保障について学ぶ。社会保障の重要性についての国民合意、高い政治意識(高投票率)は基礎教育を通じて形成される。
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社会保障についての専門知識のない一般のサラリーマンが通勤途上に読んで社会保障の全体像を理解できるように、というコンセプトで書いた本。ハウツー本、制度解説本ではなく、文字通り「一般教養として社会保障を理解する」ための本。
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日本の病院 その歩みと問題点
菅谷 章(著)
昭和56年刊行の古い本だが、近代日本の医療体制がどのように構築されてきたか、現在の民間病院中心の医療提供体制がなぜ生まれたのかを歴史的に明らかにする名著。最終章「国民医療・病院医療の問題点」での著者の指摘は今なお解決されていない日本の医療政策の宿痾である。
ブックキュレーター
上智大学総合人間科学部教授・一般社団法人未来研究所臥龍代表理事 香取照幸東京都出身。1980年東大法卒。同年厚生省(現厚生労働省)入省。OECD事務局研究員、高齢者介護対策本部事務局次長、内閣官房参事官(小泉総理大臣官邸)、同審議官(社会保障・税一体改革担当)、政策統括官、年金局長、雇用均等・児童家庭局長等を経て、在アゼルバイジャン共和国日本国大使。2020年4月より現職
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