ブックキュレーター哲学読書室
気候運動と現代思想
気候危機への対応は、経済・社会・政治・文化の今日的ありようを支え貫く種々の不公正と不平等の根本的な改革なしではありえない。全世界の多数多様な抵抗の歴史と実践と絡み合い、問題意識を先鋭化させる気候運動に学び、そこから思索する手がかりを与えてくれる著作を紹介する。【選者:箱田徹(はこだ・てつ:1976-:天理大学教員)】
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パイプライン爆破法 燃える地球でいかに闘うか
アンドレアス・マルム(著) , 箱田 徹(訳)
温暖化はあらゆる支配関係の交差点にある歴史の問題だ。温暖化が「弱者」に襲いかかる現在、パイプラインなど化石燃料インフラへの実力行使は戦術上の合理的な選択肢ではないのか。解放闘争の世界史と気候変動の科学、倫理学、社会運動論、思想史を横断的に論じ、運動における暴力と非暴力の境界にも再考を迫る。
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これがすべてを変える 資本主義vs.気候変動 上
ナオミ・クライン(著) , 幾島幸子(訳) , 荒井雅子(訳)
地球温暖化と資本主義の関係、それに対抗する気候運動を俯瞰的に捉えた記念碑的著作。化石産業の策動、気候変動否定論、気候正義、採取主義から気候運動までを闘う側の視点で描く。本書最大の問題は、2014年に書かれた内容が現在も通用していることだ。続編『地球が燃えている』(大月書店)も読まれたい。
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石炭火力発電Q&A 「脱石炭」は世界の流れ
気候ネットワーク(編)
世界が脱石炭の早期実現から脱化石へと向かうなか、石炭火力に固執し、発電所新設を続ける排出上位国・日本のエネルギー政策は異様だ。「クリーンな」石炭火力などありえないことを端的に示し、石炭採掘から燃焼に至るプロセスがもたらす環境や健康への被害を含め、石炭火力発電の数々の問題点を明解に指摘する入門書。
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惑星都市理論
平田 周(編) , 仙波 希望(編)
気候変動の加速化は現代資本主義の動向と切り離せない。その金融化やIT化の主たる土台が、自然環境から人間の生の細部まであらゆる資源を吸い尽くす採取-採掘活動と、人・物・金・情報の膨大な往来を支え、管理する広い意味でのロジスティクスだ。地理学、都市論、思想史の交点で気候を批判的に考える一助となる貴重な本。
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気候変動と現代世界の関係を捉える見取り図として「資本新世」を唱え、人新世論に介入するムーアは、ウォーラーステインの議論を拡張し「資本主義的世界=生態」論を描く。自然と社会の関係を巡る認識はマルムらと対立するが、その論争を含め、批判的マルクス主義が気候問題をどう捉えているのかを深く知ることができる。
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ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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