ブックキュレーター哲学読書室
孤読から共読へ:書物の共同体のために
「知の冒険に身を投じ、他者を知るために、書物は最良の道具です。それは誰でも容易に手に取ることができ、電気も必要とせず、移動も収納も簡単です」とル・クレジオは語った。人間が肉体を持つ限り、モノとしての書物も容易にはなくならないのだろう。紙世代の作家や思想家が書物と読書、書店について語ったことを振り返ってみる。【選者:小林浩】
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エーコ曰く「書物はスプーンやハサミと同じようなものです。一度発明したら、それ以上うまく作りようがない。素材の面では進化するかもしれません。ページが紙じゃなくなるとか。でも書物は書物のままです」。ル・クレジオにも書物を完成形と見る発言がある。
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ル・クレジオ、文学と書物への愛を語る
ル・クレジオ(著) , 許 鈞(編) , 鈴木 雅生(訳)
ル・クレジオは「書物によって私たちは、他者をその美点も欠点も含めて知ることができ、異なるさまざまな文化との交流――これこそが平和を約束してくれる鍵です――が可能になる」とも述べた。世界の多様性と多層性を、書物は分断ではなく共生の印となしうる。
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思考の取引 書物と書店と
ジャン=リュック・ナンシー(著) , 西宮 かおり(訳)
ナンシーは「見えないものが見えてくる、そんな経験や危険、チャンスが自由に行き交う空間を、書店は開く」と書いた。また「一冊の書物は、流星だ。散り散りになって、幾千の隕石と化す流星だ」とも。書店員は書物の謎めいた輝きと炎を扱う稀有な技師である。
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行為としての読書 美的作用の理論
ヴォルフガング・イーザー(著) , 轡田 收(訳)
イーザーは「読書行為こそ、テクストが作用し始める場であり、読者こそテクストに生命を与えるものである」と論じた。読む行為が、書架に居並ぶ書物を眠りからその都度目覚めさせ、文字列を新たな意味の連なりへと生成させる。読書は書物の蘇生術である。
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賽の一振り
ステファヌ・マラルメ(著) , 柏倉 康夫(訳)
マラルメは「世界は一冊の美しい書物に至るためにつくられているのです」と答えた。それは世界大戦前夜のはかない夢だったろうか。偶然性について歌った彼の最晩年作は、運命の必然性を打ち砕いて、人間の想像力が達しうる一冊をめぐる共存へと読者を誘う。
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ブックキュレーター
哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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