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常識を破壊する物語がここに。不条理文学の名作選
不合理・非常識を意味する不条理はマイナスイメージのある概念ですが、フィクションの世界では前衛的な表現方法の源となり、数々の不条理作品が生み出されてきました。ここでは小説に焦点を当てて、常識を破壊する文学的不条理のおもしろさを物語る名作を紹介します。自分自身の理性を打ち崩されていく快楽を味わってください。
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城 改版
カフカ(著) , 前田 敬作(訳)
未完ながらカフカの代表作として愛されている長編小説です。寒村の城に雇われた測量師のKは、夜更けに伯爵の所領である宿屋に到着します。事情を説明して酒場で夜を明かしたKですが、その後は想定外な事態が重なり城に近付けないまま時間だけが過ぎることに。眼前の目的地が遠ざかる理不尽な展開に、恐怖すら覚えます。
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幸福な死 改版
カミュ(著) , 高畠 正明(訳)
不条理文学の最高峰であるカミュが最初期に執筆し、生前には発表することのなかった幻の作品。富裕層の不具者を殺害した後、女たちと共同生活を送り始めた男の放浪と思惟を描き出していて、物語の所々に後の作品を想起させるテーマが盛り込まれているのが特徴です。カミュ文学の起源を知ることができる一冊と言えるでしょう。
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夢野久作が死去する前年に発表し、今では日本探偵小説の三大奇書に数えられている問題作です。九州帝国大学の精神科病棟に入れられた記憶喪失者が、自分自身と関わりのある過去の事件に迫ります。物語の視点は真相を解明するより主人公を取り巻く狂気的な環境に向けられていて、読者まで混乱させる複雑怪奇な構成が特徴的な小説です。
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