ブックキュレーター石倉洋子
石倉洋子の推薦する名著5冊
石倉洋子の「推薦図書」はこの5冊! ※こちらの推薦文は、クーリエ・ジャポン読者のために寄稿いただいたものを転載したものです。
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副題の「日本社会はなぜ息苦しいのか」を、この数ヵ月の間に海外に行って強く感じた。そして本書を読んだことが、息苦しい日本に今後ずっといるのは心身の健康にもよくないのではないかと考え、今後はある程度の期間を海外で過ごそうと決めたきっかけとなった。
以前から「皆が同調する」「出る釘は打たれる」日本の傾向は認識していたが、「コロナ」でさらに明らかになったこの特性がさらに強くなりそうなこと、ここにいる限りこの閉塞感からは逃れられない、個人がユニークさを発揮する環境にはならないという確信につながったという意味で本書をあげた。「同調」の背景には「個人で判断しない」という、より大きな問題があると思う。 -
本書は若い人へのメッセージであり、今の教育の課題解決への一歩として、ワークショップを通して、個人に自らの持つユニークさに気づいてもらう、それを磨くために著者が地方で実践する活動がわかりやすく記されている。自主独立、自立、ユニークさなどいろいろ議論されるが、本書からは実際に何をすればいいのか、という問いへの多くの示唆が得られる。
タイトルに惹かれた同氏の『下り坂をそろそろと下る』でも、ただ問題を認識するだけでなく、「自分なりに解決へのアクションを」という主張がなされており、実際の活動を促す著者の姿勢を表している。 -
私にとって将棋は、本書にあるように「観るだけ」だが、誰にも頼らず一人で考えて、それぞれの局面で、自分独自の手を求めなくてはならないという将棋の特性は、今個人に求められているリアルタイムでのユニークな思考を奨励すると思われる。
と同時に、本書によって、将棋が「伝統性」「独自性」「大衆性」という日本の文化の要件を満たすこと、海外での発展との違い、「スリル感」「遊戯性」「公平性」を併せ持つものとして進化してきたことを垣間見た。コンピュータの登場によるそれまでの閉ざされた世界からの開放、スピード感の変化など、最近の世界を反映している点は興味深い。 -
直面する課題を捉える上でも、その解決のための多様なアプローチを考える上でもデータの重要性は自明である。特にテクノロジーが急速に進歩するなか、得られるデータ量の加速度的な増加は、分野をよく知る人以外には「ビッグデータ」として捉えられるだけで、どう活用できるのか、何が導き出せるのかはほぼブラックボックス状態ではないだろうか。
本書は膨大なデータをもつYahooのチームが身近な話題を用いて、データで何がわかるのか、どのように示せばわかりやすいのか、などを説明している。大切なのはWhy?から課題を見つけ、データからSo What?を考え、What if?など疑問を持つ、つまり自分なりのユニークな視点を持ち、そこから次のアクションにつなげることだと思う。 -
なぜ学ぶのか、どうすれば創造的な思考ができるか、に答えようとした本書は、数十年前に私がした海外留学中、予定通りにことが進まなかったり、ハーバードでの最初の試験に落ちて挫折感を持ったりしたときに何度も読みかえした。著者と小澤征爾氏の対談(『やわらかな心をもつ』)とともに、今に至る私の考え方を形作ったものである。
アクセスできる情報を探すのではなく、「自分で考えること」を習慣にする。それとともに啓蒙される人を探すこと。技術、思想、抽象性、国際的な数学の特徴から自分の世界を自由に構想できる数学の世界であっても諦めることが必要なときもあること、失敗からの教訓など、具体的な示唆でいっぱいである。
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ブックキュレーター
石倉洋子一橋大学名誉教授。1949年生まれ。専門は経営戦略、競争力、グローバル人材。バージニア大学大学院経営学修士(MBA)、ハーバード大学大学院経営学博士(DBA)修了。青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授などを歴任。資生堂、日清食品ホールディングスの社外取締役を務める。初代デジタル監。
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