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あなたの人生の物語

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ちんぷんかん魔術だぞ。チャン。

評価5 投稿者:SlowBird

 この短編集は、1990年からの12年間でテッド・チャンが発表した全作品8作を集めたもの。ほとんどの作品が各種の賞を受賞したり、候補になったりした傑作揃い。各作品のアイデアは、突飛なものから、ほんの明日にでも実現するかもしれないようなものまで多様。個人的には、この本が2003年のベスト。
 だいたい文学っていうのは、一人の人間の経験を通して新しい世界認識の切り口を提示するもの、という見方もできると思う。これがチャンの場合、新しい認識をほんとうに確定させてしまった人の経験とその内面が中心になる。
 特に気に入った作品は「72文字」。設定のアイデアを書いても普通はネタバレということにはならないと思うけど、チャンの場合は日常的な風景の中から少しずつ奇妙な設定が立ち現われてくる過程に一番の楽しみがあると言ってもいいぐらいだと思うので、書かないでおきます。えーっと、当世風に言えばナノテクってことになるのだろうけど…(うずうず)。ただ登場する職人の親方が、短い出番ながら非常にいい味を出しており、特に技術系の人間なら激しく共感できるんじゃないだろうか。
 らしさが典型的に現われているのは「ゼロで割る」だろう。数学(数論)に基づく世界認識の話で、読んでいる最中は、なにかすごくヤバイものを読んでしまったような感覚にとらわれた。ディティールや主人公の内面の描写が緻密で的確なため、これは架空の話なんだって後で自分に言い聞かせなくてはならなかった。
 評判の高い表題作や「72文字」のように、言語の性質を特異な形で利用するところが特徴的かもしれない。中国系アメリカ人であることや、本業としてフリーのテクニカルライターをしているということなどで、言語に対して独特の視点と造詣があるのだろうか。
 どの作品でも、科学にしろ宗教にしろ難解な説明に走らず、登場人物の受け取った印象と、変わっていく人生を描いている。新しい世界認識を人類というレベルで語ることもなく、個人の問題にとどめていても、それ以上は言わないでもワカルって気にさせる構成や表現も魔術的なのだけど、結局は科学による新しい未来なんてものを信じていないのかもしれない。たった8作の短編で作家を語るのも無理があるけど、その意味で実はすこぶる現代的な作家と言えそうだ。
 パチパチピチンコ。

イーガンを初めて読んだときと同じ興奮!!!少々難解じゃないと、やっぱSFは楽しめないのだ。

評価5 投稿者:山 

 とはいえ、この本はSFなのだろうか!? 読者は皆そう思うはず。そもそもSFの定義付けが「SFとして発表された」とか「初出がSF誌だから」とか「SF界の賞を受賞している」だとかくらいの形式的な場合も多いため、グレッグイーガンやこの本の著者テッドチャンなんかにはカテゴライズなんて無意味なのかもしれない(当然だけど、これは純文学とエンタテインメントなんかの違いとも同じで、科学と哲学の領域の異種混合なんかにも通じるし、ビジネスのインテグレーションなどとも相違しないはず)。
 しかしやはりSFなのである。というのは「SFを書く」という初期衝動がなければ絶対に書かれなかったであろう自由度や世界展望そして難解さがあり、読者の側も「これはSFなのだ」という前提のもとで読んでいるからこそ理解でき、かつ楽しめる小説世界なのだ。むろん僕だってイーガンと並ぶSF界の新精鋭という評判がなけば読まなかった本であることは確か。

 短編小説というのはアイデア一発勝負であったり、プロットそのものの独創性、簡潔性が勝負となるわけだけど、くどくどタラタラと冗漫な長編SFが多い中、本書の短編としての割り切りというか潔さというのは、難解さに隠れてしまっているけど、ほんと気持ちいいものがある。
 この混沌とした現代というか世界を、どう解き明かすか!? この命題はSFだけでなく小説という文芸に架せられた大命題であり、テッドチャンは例えば冒頭『バビロンの塔』(あの地上から天空まで突き抜ける「バベルの塔」のことですね)では“宗教”というツールを用いてバッサリ切り取っている。すなわち「世界とは『上』に行こうとする人間達の幻想で成立している」と。
 「上」というのは「下」のことでもあり、中庸にとどまって分相応に「中」ほどで生きているのがフツ〜の人間。夢とか希望とか、さらに日常的な諍いや戦争なんて揉め事から逃れられない僕たちは、ある一定の役割が与えられており、それは「上」に行っても「中」ほどにいても「下」で嘆いていても同様であり、特権的な役割を与えられて(あるいは夢が叶って)「上」に行って戦ったり活躍したりできたとしても、それは「下」に行くための戦いなのだ、そこではまた「上」を目指す人々の欲望とか闘争心が渦巻いている。

 科学や数学、哲学などの引用というか構成要素がストーリーを難解に見せかけているけど、テーマやプロットは単純明快というか、いや単純ではないんだけど着地点は明快そのもの。読むのに手こずる部分もあるけど、そもそも「難解さ」を楽しむのがこの手のSFというか小説の醍醐味なわけで、頭の中に異物を突っ込まれて掻き回されているような快感が充分に味わえる(もちろん判りやすい話が好きな人には勧められない本だけど)。
 イーガンのような叙情性こそないが、収録作8本はどれもこれもフツ〜の小説では絶対に楽しめない要素がふんだんに詰まっている。それだけでも凄いと思う。つまり、こんな短編集は世界にひとつしかないということ。似たような本は僕の知る限りどこにもない。

SF性も強く、ファンタジー性も強い

評価5 投稿者:コスモス

純粋なSF作品だけでなく、神や天使が登場する作品もあるので、人によって(特にゴリゴリのSFマニア)には作品の好き嫌いが分かれるかもしれません。
ただ一つ一つの作品は、長すぎることも短すぎることもないと思うので、内容に関わらず比較的読みやすくなっていると思います。

難解な物語に挑む喜びがこの本にはありますが、その難解さ故に途中で音をあげても大丈夫、短編集ですからいどこでも止められます

評価4 投稿者:らせん

中国系アメリカ人の若手作家、テッド・チャンの傑作SF中短編集です。
寡聞にして知らなかったのですが、このテッド・チャン氏は現在のSF界では最も評価されている作家のひとりで、この本に所収の8編の作品の内、表題作とデビュー作「バビロンの塔」でネビュラ賞受賞、「地獄とは神の不在なり」でヒューゴー賞を受賞している、すごい人なのだそうです。
8編の作品の中から、私が気に入ったものを幾つかあげてみたいと思います。
巻頭の『バビロンの塔』は、天まで届けとそびえたつバベルの塔の、頂上を目指す職人の視点で描かれた物語です。
頂上に辿りつくまで2ヶ月はかかるほど巨大な塔の描写が実に魅力的です。
上へ上へと天の高みを目指した果てに、行きつく場所は宇宙であるのか神の座であるのか?
これを読んで漠然と、ブラックホールとホワイトホールの関係を思ってしまいました。
最初は哲学的に空間を捉える認識論めいたことを考えたのですが、これは一種のワープを描いたのかもしれない。
今までこういう語り口の作品を読んだことがなかったので、とても新鮮に感じました。
『あなたの人生の物語』は、突然地球に訪れたエイリアンとのコンタクトの物語です。
エイリアンとの対話を担当した言語学者ルイーズは、彼らの人類とはまったく異なる言語を理解するにつれ、新たな世界認識を獲得します。
その世界認識とは、原因があってそれによって生じた結果を知覚する<因果的世界認識>ではなく、その動機から結末までを同時に知覚し、その中の事象のひとつひとつを照らしていくような、<同時的世界認識>とでも呼ぶものです。
これは時間を縦方向によってのみ見る見方と、横方向から全体を見る見方の違いとでも言うものでしょうか。この世界認識を持つと、人は未来を見とおせる予言者にもなれると言えます。
過去も未来も現在も一度に知覚できる認識。この驚くべき世界観を、物理の「フェルマーの原理」をひきあいに、徐々に明確にしていく腕は実に見事です。
ルイーズが獲得した<同時的世界認識>の世界では、未来は未知ではなく既知のものであるが故に、人には未知の人生を選び取る苦難より、既知の人生を生きていく覚悟のようなものが必要に感じました。
そのイメージから、何となく『銀河鉄道999』に出てくるメーテルを思い浮かべてしまいました。
彼女は多くの時を生き、過去も未来にも生き、にもかかわらず永遠に銀河鉄道のレールの上を生きる定めの女性で、その在り方は正に<同時的世界認識>下にあるように思えるのですが……(-_-)ゞ゛ウーム
「地獄とは神の不在なり」は、天使が実際に人々の目の前に登場し、数々の奇跡と災厄を起こし、天国や地獄を見せてくれる物語で、あなたは神を信じることができるか?と言う問いでもあります。
この作品に出てくる神と天使は驚くことに、漫画家の萩原一至さんが描く天使のように化け物じみていまして、キリスト教的世界観のない身にとっては、ちっともありがたくない存在なのですが、その異形の神にすがりついていく人間の執念は凄まじいと感じました。
主人公は旧約聖書のヨブの焼きなおしですね。そして彼の運命はヨブほどに救いはありません。
宗教・数学・哲学・物理と様々な分野から、色んなエッセンスをもってきた作品ばかりで、テッド・チャンは本当にアイデアの宝庫とでも言うべき作家ですね。
奇抜な世界の設定と、ストーリーの上手さでどの作品も頭をひねりつつ面白く読めました。
ちょっと、いえかなり難解と言えなくもないのですが、SFですからこれくらい骨のある作品の方が読み応えがあるってもんです。

認識の臨界点をつきぬけた哲学的感動

評価4 投稿者:オリオン

 SFはめったに読まない。でも、読めば必ず、傑作にめぐりあう。ここ数年ではグレッグ・ベアの長編とグレッグ・イーガンの短編にまいってしまった。そのベアの絶賛の言葉「チャンを読まずしてSFを語るなかれ」が、本書の腰巻に印刷されている。山岸真の「解説」には「形而上学の領域へ科学が手をのばし、人間の問題をハードSFとしてあつかうことを可能にした」というチャンのイーガン評が紹介されている。というわけで、読む前から私はすっかりチャンに魅了されていた。実際、表題作「あなたの人生の物語」に出てくる非線形書法体系や同時的意識のアイデア、「七十二文字」に出てくる真の名辞による単為生殖のアイデアなどは、途方もない起爆力をもっていた。なによりも、チャンの短編には小説ならではの感動がある。イーガンの作品がたたえる切ないほどの感動とは趣を異にするが、本書に収められた作品群がもたらす認識の臨界点をつきぬけた(哲学的)感動の質は得難いものだ。

地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…ネビュラ賞を受賞した感動の表題作をはじめ、天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、天まで届く塔を建設する驚天動地の物語--ネビュラ賞を受賞したデビュー作「バビロンの塔」ほか、本邦初訳を含む八篇を収録する傑作集。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

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人間は他人を傷つける。しかし愛することもできる。

評価5 投稿者:yjisan

 第3次世界大戦後、放射能灰に汚染された地球。そこでは生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。人工の羊しか持っていない賞金稼ぎリックは、「本物」の羊を手に入れるため、火星から逃亡してきた<奴隷>アンドロイド6体の首にかけられた莫大な懸賞金を狙って、命がけの狩りを始めた!・・・と、粗筋だけ書くと、何やら安っぽいアクションSFのようになってしまう。それが本作である。
 
 映画『ブレードランナー』の原作として有名な作品。相変わらずディック節が爆発していて、読みにくいことこの上ない(ディック作品の中ではマイルドな部類に属するが)。先行SFで使い古された陳腐な小道具。あまりにも嘘っぽく、作り物めいた作品世界。物語の論理的整合性を無視した、勝手気ままで強引な展開。話をまとめることを拒否するかのような、突き放した結末。だが、ディックにプロットの巧みさを求めるのは間違っている。
 ディックの真骨頂はグロテスクな世界が生み出す不気味な迫力と、作品の思索性にあるのだ。「ディックの描く未来世界は我々自身の世界の歪んだ鏡像だ」と言われる所以である。


 本作では外面では見分けのつかない人間とアンドロイドとの識別に感情移入度テストが用いられている。アンドロイドは他者の喜びや痛みに共感することできず、それゆえに残虐であり、自分の生存のためには仲間も平気で裏切る、と言われてきた。しかし感情移入度テストでは判別できないアンドロイドも出てきてしまう。
 
 人間だと思ったらアンドロイドで、アンドロイドだと思ったら人間。そんな経験を続けるうちに、「人類社会の敵」として何の躊躇いもなく逃亡アンドロイドを殺戮してきた主人公リックは、次第に標的アンドロイドに同情し始め、重大な疑問に直面する。自分たち人間と彼らアンドロイドはどこが違うのか?
 
 人間よりも人間らしいアンドロイドがいる。一方でアンドロイドのように無慈悲な人間もいる。アンドロイドであるというだけで、「社会への脅威」として虐殺することは果たして正しいことなのか? 自分の仕事は、この社会は何か間違っていないか? リックはアンドロイド狩りに疑念を持ち始め、あまつさえ自分に協力するアンドロイドを愛してしまうのだ。そんな葛藤の中、リックは……
 
 ここに至っては、神の創造物として自然に生まれてきたか、人工物として造られたかは、本質的な問題ではなくなる。感情移入できれば人間、できなければアンドロイド。逆に言えば、人間して生まれてきたとしても、感情移入能力がない者は真の意味で「人間」とは言えないということである。真の対立軸は人間/アンドロイドではなく、人間性(親切=善)/アンドロイド性(冷酷=悪)なのだ。

 ハインラインやアシモフの作品のような、「よくできたお話」が好きな人には向かないことは確かである。しかし、ぜひ避けずに読んでほしいと思う。それだけの価値がある本であることは間違いない。現実の不条理性と怪物性を縦糸に、人間性を横糸にして織りなす、思索の世界が待っている。

人間は他人を傷つける。しかし愛することもできる。

評価5 投稿者:yjisan

 第3次世界大戦後、放射能灰に汚染された地球。そこでは生きている動物を所有することが地位の象徴となっていた。人工の賞金稼ぎしか持っていない賞金稼ぎリックは、「本物」の羊を手に入れるため、火星から逃亡してきた<奴隷>アンドロイド6体の首にかけられた莫大な懸賞金を狙って、命がけの狩りを始めた!・・・と、粗筋だけ書くと、何やら安っぽいアクションSFのようになってしまう。それが本作である。
 
 映画『ブレードランナー』の原作として有名な作品。相変わらずディック節が爆発していて、読みにくいことこの上ない。あまりにも嘘っぽく、作り物めいた作品世界。物語の論理的整合性を無視した、勝手気ままで強引な展開。話をまとめることを拒否するかのような、突き放した結末。だが、ディックにプロットの巧みさを求めるのは間違っている。
 ディックの真骨頂はグロテスクな世界が生み出す不気味な迫力と、作品の思索性にあるのだ。「ディックの描く未来世界は我々自身の世界の歪んだ鏡像だ」と言われる所以である。


 本作では外面では見分けのつかない人間とアンドロイドとの識別に感情移入度テストが用いられている。アンドロイドは他者の喜びや痛みに共感することできず、それゆえに残虐であり、自分の生存のためには仲間も平気で裏切る、と言われてきた。しかし感情移入度テストでは判別できないアンドロイドも出てきてしまう。
 
 人間だと思ったらアンドロイドで、アンドロイドだと思ったら人間。そんな経験を続けるうちに、「人類社会の敵」として何の躊躇いもなく逃亡アンドロイドを殺戮してきた主人公リックは、次第に標的アンドロイドに同情し始め、重大な疑問に直面する。自分たち人間と彼らアンドロイドはどこが違うのか?
 
 人間よりも人間らしいアンドロイドがいる。一方でアンドロイドのように無慈悲な人間もいる。アンドロイドであるというだけで、「社会への脅威」として虐殺することは果たして正しいことなのか? 自分の仕事は、この社会は何か間違っていないか? リックはアンドロイド狩りに疑念を持ち始め、あまつさえ自分に協力するアンドロイドを愛してしまうのだ。そんな葛藤の中、リックは……
 
 ここに至っては、神の創造物として自然に生まれてきたか、人工物として造られたかは、本質的な問題ではなくなる。感情移入できれば人間、できなければアンドロイド。逆に言えば、人間して生まれてきたとしても、感情移入能力がない者は真の意味で「人間」とは言えないということである。真の対立軸は人間/アンドロイドではなく、人間性(親切=善)/アンドロイド性(冷酷=悪)なのだ。


 ハインラインやアシモフの作品のような、「よくできたお話」が好きな人には向かないことは確かである。しかし、ぜひ避けずに読んでほしいと思う。それだけの価値がある本であることは間違いない。

たかがSF?されどSF!

評価5 投稿者:Rosmarin

命の尊さをテーマとし、全面に訴えた作品は今まで数え切れないほどあります。
だけどこの作品は正反対。
一見命を粗末にしているように見えます。
ところが私にとってこれほど激しく命の尊さを感じさせられた作品は
他にはありません。

映画ブレードランナーの原作です。
映画ではやけに人間くさく存在感の強かったレプリカント達。
小説では彼らには余り感情移入せずに淡々と描かれているのですが、
それが逆にレプリカントという存在、しいては人間という存在に対して考えさせられます。

人間とはなにか

評価5 投稿者:けy

人間そっくりなアンドロイドを狩るハンターの話。序盤のアクションを楽しみ、想いの大切さを謳う終盤で考えさせられる。面白い。

映画とは違った感慨が…

評価5 投稿者:あずきとぎ

1968年発表の作品。
映画「ブレードランナー」の原作小説としても、あまりに有名。
主人公リック・デッカードは、警察に属する賞金稼ぎである。
彼は、植民惑星から地球に逃亡してきたアンドロイドを始末することで懸賞金を得て、生活していた。
映画とは異なり、小説のリックは妻帯者だ。
(戦争のため)半分ほどしか入居者のいない高層集合住宅に、妻と二人で暮らす彼が、ある朝目覚めるところから物語は始まる。
実は、この作品は、彼のほぼ丸一日を描いている。
朝から妻と口論になり、彼女をなだめ、屋上で隣人と会話し、ホバーカーで出勤する。
この最初の場面で、物語世界の背景が巧みに織り込まれる。
核戦争による放射能汚染、世界的な生物の激減と人口の減少。
人々は、引き続く放射能灰による汚染に肉体を侵されるにとどまらず、その過酷な環境により不安や孤独などを日々感じていた。
この精神の不安定さを補うため、各世帯には二つの装置が備えられていた。
情調(ムード)オルガンと共調(エンパシー)ボックスである。
これらは、機械的(電気的)に人の精神に作用し、前者は自在にその気分・欲求をコントロールすることが出来、後者は人類他者の存在を感じ交感・共感することが出来る。
放射能汚染により、人類の一部は精神に障害を持っている。
彼らは、テストにより峻別され、俗に「ピンボケ」と呼ばれ、差別される。
しかし、適格と判断された人々も、上述のような機械に頼って、その精神を保っている。
はたして、その違いはあるのか。
さらに、精巧に造られたアンドロイドもその対比に加わる。
精神の異常・正常とは、何を持って言えるのか。
この命題は、物語の進行と共に、「人間とは、何か」という問題へとつながる。
人間とは?
人間らしさとは?
発表から四十年以上が経つが、作品のテーマも、描かれている近未来の人間像も、まったく色褪せないどころか、むしろ現在を生きる我々にこそ肌に感じるものがあると思う。
映画とは、また違った感慨があった。

第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しか飼えないリックは、かくて火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド八人の首にかかった賞金を狙って、決死の狩りを始めた! 現代SFの旗手が斬新な着想と華麗な筆致で描く悪夢の未来世界!

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