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 honto限定書下ろし! 豪華執筆陣による特別寄稿エッセイ 「ずっと、本と」 第1弾

10周年を迎えたhontoに、豪華な著者の方々からお祝いのエッセイをご寄稿いただきました!
電子書籍やhontoについて、ご自身の読書体験など、普段なかなか知ることのできない、充実した内容となっております。
hontoでしか読めない貴重なエッセイを、ぜひお楽しみください!

  • 阿部智里 先生
  • 謙虚なサークル 先生
  • むらさきゆきや 先生
  • 羽田圭介 先生

しばしば、電子書籍と紙の本は、間に「VS.」を挟んで語られてきたように思う。

曰く、どちらが優れているか。曰く、どちらがより魅力的であるか。

書店さんや流通の問題、新しい図書館の在り方などにも関わる話であり、一応は出版業界の片隅でご飯を食べている人間としても無関係ではいられない。

そんな私は、以前はバリバリの「紙の本」派であった。
小学生だった私に、この世に「作家」という職業があると教えてくれたのは『ハリー・ポッター』シリーズである。いつでもどこでも持ち歩き、カバーが擦り切れてボロボロになるまで読み倒した『ハリー・ポッターと賢者の石』の匂いを嗅ぐと、ハグリッドが扉をぶち破って登場した瞬間の興奮をありありと思い出し、その度に腰が抜けて恍惚としたものだ。

紙の本は、装丁のデザインは言うに及ばず、ページの手ざわり、香りを含めての「作品」であり、ある意味、それ自体が宝物なのだ。電子書籍は便利であると分かっていても、中々に手を出そうとは思えなかった。
それが変わったのは、上京してずっと住んでいた大学の寮が手狭になったことがきっかけであった。紙の本は宝物という意識に全く変化はないのだが、それはそれ、これはこれである。本にスペースを奪われ、ラジオ体操すら出来なくなったと気付いた時、電子書籍を試してみようと、ある意味諦めがついたのだった。

そうして実際に使ってみた感想はこうだ。「めっちゃ楽!」。
特に、巻数が多く、場所を取るような漫画などは非常に便利だ。続きが気になる作品は発売日になった瞬間に読むことが出来るし、タブレット一つあれば、いつでもどこでも読み返すことが出来る。文字数のやたら多い資料も、気になった単語ですぐに検索出来るのは強い。すでに紙で持っているのに、わざわざ電子書籍で買い直した本もある。

さんざん語りつくされた話ではあるだろうが、やっぱり、紙の本と電子書籍、それぞれに長所短所があって、人と時と場合によって、どの媒体が最適であるかは全く異なるのだろう。

先日、電子書籍で購入した漫画をたまたま紙の本で読む機会があり、見え方に違いがあることに驚かされた。同じ内容で、しかもタブレットのほうが画面は大きいはずなのに、紙のほうが分かりやすいというか、読みやすいように感じられたのだ。だが、明るさの調整機能やズーム機能を鑑みるに、電子書籍のほうが読みやすいと感じられる方も絶対にいらっしゃるはずだ。

大学院生の頃に「自分の学術書には書き込むもの」という習性を得た私は、内容を覚える必要のある本は今でも紙の本を買っている。でも、きっとデジタルネイティブの世代は、電子書籍ならではの機能を使いこなし、より効率の良い覚え方を身に着けているのだろう。

個人的には、「最適な形を読者が選べる」ということが、とても大事なのではないかと思っている。現実から目をそらした理想論かもしれないけれど、どっちがいいかではなく、どっちもいいよね、と「いいとこどり」が可能な仕組みが出来てほしいものだ。そして、より多くの人が、その人にとって最高の読書体験が出来ますようにと願ってやまない。

著者近影

阿部智里(あべちさと)
1991年群馬県生まれ。
2012年、早稲田大学在学中に史上最年少の20歳で『烏に単は似合わない』が松本清張賞を受賞。
デビュー作『烏に単は似合わない』から最新刊『追憶の烏』に至る「八咫烏」シリーズがベストセラーに。
2022年は記念すべきデビュー10周年の年となる。

はじめまして謙虚なサークルと申します。
本日は自分と本との関わりについて話させて貰おうかと思います。

幼い頃の記憶を辿っていくと、まず思い出すのはよく寝る前に絵本を読んで貰っていたことでしょうか。
『おばけのてんぷら』とか『からすのパンやさん』とかが記憶に残っていますね。タイトル間違ってなかったかなと検索したら、まだ現役の人気作なんですね。息が長いなぁ。
成長に伴い一人で本が読めるようになると、やっぱり王道の図鑑ですね。これが一番好きだったし、今でもたまに読みます。
次の記憶は小学校低学年の頃、その時に仲が良かった友人から漫画というものを知りました。元々本好きだったのですぐに夢中になりましたね。
「少年サンデー」が一番最初だったかな。『GS美神 極楽大作戦!!』『YAIBA』『うしおととら』他にも沢山ありますが、この辺りが記憶に深く刻まれています。
それらが連載終了する辺りで「少年ジャンプ」を読み始め、中学に上がる頃には「少年マガジン」、「少年チャンピオン」、「少年ガンガン」にも手を出し始めました。

今思えば本当に漫画ばかり読んでいたのですが、その頃ようやくラノベというものの存在を知りました。そう『スレイヤーズ』です。
その少し前くらいに『ダイの大冒険』のポップが好きだったこともあり、魔法使いというものに強い憧れを持つようになりました。
これが多分僕の創作の原点なのでしょう。ファンタジー、バトル、魔法、今でもそんなのばかり書いております。

作家になったのは「小説家になろう」がきっかけで、一度腰を据えてファンタジー作品を書いてみたかったという思いからキーボードを叩き始めたわけです。

そうして気づけば10年経つわけですが、相変わらず本が好きで毎週3~40冊くらいは読んでいます。……いや殆ど漫画なんですけどね。(少しは小説も読みますが、週に1冊か2冊くらいでお恥ずかしい限り)

流行が変わり、好みが変わり、読者が変わり……それでも在り続ける本というのは本当に素晴らしいものだと思います。
これからも沢山の本に触れられるよう、いずれの作者様、読者様、それに関わる方々に感謝の意を表します。
作者として読者として、これからも末永くよろしくお願いします。

著者近影

謙虚なサークル(けんきょなさーくる)
『効率厨魔導師、第二の人生で魔導を極める』でデビュー。現在色々と書きつつ、『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』連載中。
読書以外の趣味はランニングと温泉、美味しい物を食べること。旅行に行き難いのが最近の悩み。

『hontoと私』

いつもラノベやゲームシナリオしか書いていない私に、エッセイの依頼とは!?
担当者の方は冒険心が溢れているか、名前を間違えたんじゃなかろうかと思ってしまうわけだが……
せっかくお話をいただいたのでマジメに書いてみたい。

皆様ご存知のように、hontoは丸善書店と連携したサービスである。
丸善といえば、私は丸善津田沼店によくお世話になっていた。
当時の津田沼駅は5分歩けば5つ書店があるという夢のような激戦区で、某ベストセラーファンタジー児童書の発売時には、どこも店頭に特設販売所を作っており、お祭りみたいだった。
なかでも丸善津田沼店は2階まであってとにかく広く、ディープな専門書にも強かった記憶がある。コミックでも参考書でも丸善になかったら諦める――くらいの品揃えだった。

そんな丸善が始めた電子書籍サービスがhontoだ。
どれくらい便利かは、私がくどくど説明する必要もないだろう、このエッセイを読んでいるような向きは、きっとhonto熟練者にちがいない。

私は田舎暮らしで2部屋くらいが本で埋まっていたのだが、都内に引っ越してからは場所を取らない電子書籍に助けられている。
ポイントも貰える。割引のおかげで、より多く本が買えるのでこれまた助かる。
さらに、ちゃんと紙の本も買えるのが良い。私はコミックや雑誌は電子だが、小説だけは紙で読む、付箋を貼るのが癖になっているからだ。
honto、ホントに便利! …………ああ、書いちゃった、このダジャレだけは書かないつもりだったのに。

最近は文字の多い本を読むと目が疲れるようになってきた。歳のせいか? ビタミン不足か? 趣味は楽しめるうちに楽しむのが良い。
まるで人生のように。エッセイのラストはこの1文を入れると良いって師匠が言っていた。

著者近影

むらさきゆきや
ラノベ作家。
ライター事務所テイルポット所属。
『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』講談社ラノベ文庫や、『覇剣の皇姫アルティーナ』ファミ通文庫など、著書50冊以上。
猫2匹と暮らしている。

もう数年間、電子書籍を活用している。出張時等、本を何冊も持ち歩くより、電子書籍リーダーやスマートフォンの中にデータとして収めてしまったほうが便利だからだ。ただ電子書籍が普及する前は、旅先に厳選した一冊だけ持って行き集中して読めたし、なんなら数冊持って行ったりした。わざわざジムに通い百数十キロのウェイトを持ち上げたりしているのに、たかだか数百グラムしかない本を二冊以上持ち歩きたくないとは、おかしな話なのだが。

電子書籍に関しては、他の利便性もある。紙の本だと倉庫の奥深くにしまった際に取りだすのが億劫で、なかなか手に取らないということがある。電子書籍だと、簡単に探せる。

ただそれに関しては、そのまま弱点にも転じる。電子書籍リーダー等であまりにも簡単に所蔵本を一覧できるから、読む予定のなかった本をつまみ読みしてしまったりするのだ。

加えてもう一点、僕は紙の本を読む際、赤ボールペンでかなり書き込みをする。電子書籍でもメモ入力はできるが、手書きよりリズムは崩れるし、あとで見返しにくい。だから結局、僕は一冊の本に対し、メモ書きしながら読む用途としての紙版と、携行用の電子版を両方買うことがけっこうある。我ながら、出版業界に貢献するかなり良い読者なのではないかと思っている。

著者近影

羽田圭介(はだ けいすけ)
1985年、東京都生まれ。
明治大学商学部卒業。
03年「黒冷水」で文藝賞を受賞しデビュー。
15年「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。
他著に『成功者K』『Phantom』『滅私』、エッセイ『三十代の初体験』など。

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