honto+インタビュー vol.7 堂場瞬一

注目作家に最新作やおすすめ本などを聞く『honto+インタビュー』。
今回は、「堂場瞬一の100冊プロジェクト」進行中の堂場瞬一さんが登場。

書きたいことは、自分のなかにたくさんある。ならば、死ぬ前にそれを全部書きたい。

数々の警察小説やミステリー、また野球をはじめとするスポーツ小説で知られる堂場瞬一さん。今年で書籍刊行点数が、なんと100冊に達する。続々と濃密な作品を生み出し続ける原動力はいったいどこに? 100の、とはいかないまでも、いくつかの問いにお答えいただきました。

――ハイペースで執筆を続ける理由とは?

書きたいことは、自分のなかにたくさんある。ならば、死ぬ前にそれを全部書きたい。単純にそう思ってやっているだけです。数を稼ごうなどと思ったことはなく、欲望に忠実に進んでいるうちに、気づけば100冊になっていたということですね。書くのは楽しいけれど、ラクなわけじゃないですよ。書き終えたときの解放感、その瞬間のためにやっているようなところがある。ゴールや勝利の瞬間に向けて進む運動またはスポーツをやる感覚と、かなり似ているかもしれません。

――堂場流の、「書く方法」はある?

推敲は必ず10回します。書いたものをあれこれ転がし直していくのは楽しいことでもあり、半ば趣味といってもいい。6、7回目の推敲までは、書き足りないところを書き足したりするので、すこし分量が増えていく。でも、残りの推敲でまた削っていって、最終的には推敲開始前とほぼ同じ枚数になることが多いです。奇妙な作業ですが、やらなければいい作品にはならないと思っています。
どの作品でも、書きはじめる前には、編集者とかなり入念に打ち合わせをします。それが終わると、もう半ばできたような気になる。あとはひとり、がんばって書けばいいんですから。書いている途中で行き詰まったり、進むべき方向があやふやになると、あとが大変だし無駄が多くなる。ならば事前にしっかり揉んでおいたほうがいい。

――豊富な題材のアイデアはどこから生まれる?

特別なネタ元やニュースソースがあるわけじゃありません。日々のニュースをよく見て、実社会がどうなっているかを丹念に眺めていれば、そこから何か見つかります。作家専業になる前は新聞記者をしていたので、そのときに古い事件をひっくり返して勉強した経験は、もちろん生きているとは思います。
取材を重ねるのかどうか、ですか? 現場を見たいときには、出向きますね。その場の匂いや、食べものの味は、やはり体験しないとわかりませんから。スポーツものを書くときも、現場へ取材に行くこともありますが、観察したり話を聞くのは競技の運営について。スタート地点で選手はどれくらいの時間待つものなのか、マスコミとの距離感は、といったことです。選手に心境を聞いたりはしません。モデルのいる小説にはしたくないのです。登場人物のキャラクターは、あくまでもこちらが創るもの。ゼロからつくり上げないと、小説を書いている面白さが奪われてしまいますから。

――これから堂場作品に親しもうという人におススメの一冊は?

入りやすいという意味では『アナザーフェイス』や『チーム』でしょうか。ただ、決めるのはなかなか難しいですね。自分の作風が一色に染まらないようにと心がけてやってきたので、それぞれ読み味がまったく異なります。100冊目にあたる本も、これまでのどの作品とも似ていない一冊になりそうですしね。小説を書くうえで、いつも冒険はしていたいのです。これからもぜひ、その冒険に付き合っていただけたら嬉しいです。

新刊のご紹介

誘爆 (中公文庫 刑事の挑戦・一之瀬拓真)

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堂場瞬一 (著)

出版社:中央公論新社

爆破事件が起き、狙われた企業で事情を聴き脅迫事件だったのではないかと直感する一之瀬。シリーズ第3弾。

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高速の罠 アナザーフェイス6

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堂場瞬一 (著)

出版社:文藝春秋

大友鉄の一人息子・優斗が行方不明に。100万部突破の大人気シリーズ、大友鉄が新たなステージに!

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば・しゅんいち)

1963年茨城県生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。新聞社勤務のかたわら小説の執筆をはじめ、2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞。 主な著書に「アナザーフェイス」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓真」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズのほか、『誤断』(中央公論新社)、『ルール』(実業之日本社)、『夏の雷音』(小学館)、『逸脱』『歪』(角川書店)、『警察(サツ)回りの夏』『複合捜査』(集英社)、『衆』(文藝春秋)などがある。近著に『黄金の時』(文藝春秋)。2015年10月に著書が通算100冊に。

主な著作

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