鷲田清一『ちぐはぐな身体』(ちくま文庫)によると、自分の<からだ>は、一番近いようで、最も遠い…
じかに見ることが出来るのは表面のほんの一部だけだし、知らない間に勝手に変わっていく。
情報が断片的で、ろくに統御も出来ない身体は、創造の中でしかその全体像を現さない。
つまり私の<からだ>とは、ささいなことで簡単に揺らいでしまう像=イメージでしかありえないのだ。
そこで人は、そのもろさを補強するために衣服を着け、化粧やピアスや刺青をほどこす。
それは体に境界を引いて、いくつもの「意味」をまとう作業だ。
男性と女性の境界。隠蔽と露出の境界。<わたし>の内と外。
生身の体より先にモデルがあるから、私たちは身体を演出し、加工し、変形さえする。
イメージでしかないのなら何でもアリのはずだけれど、一方で身体は切れば血が出る。病んで、老いて、死ぬ。
身体は意識を裏切る。<からだ>の変容はいつまでも終わらない。
世界のヴァーチャル化がどこまで進んでも、<からだ>はその中でなお、たゆたい続ける。
※「<からだ>のゆくえ」でご紹介した書籍は、ジュンク堂書店池袋本店と福岡店、丸善名古屋本店と京都本店にて、11月10日~12月9日までフェア展開中です
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