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全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2017 本屋大賞 大賞受賞作発表!!!

「2017年本屋大賞」大賞作品はこちら!

蜜蜂と遠雷

紙の本

蜜蜂と遠雷

最後のページは絶対に先に読まないように気をつけてください

評価5 投稿者:まこと

ストーリー等は、たくさんレビューされている方がいらっしゃるので、省きますが、最後のページは先にみないように気をつけた方がいいです。
私は、読んでいる途中で、作者の恩田さんが「なんてたくさんのピアノ曲に造詣が深いのだろう。何か参考文献があるのかな?」と思い3分の2程読んだところで、一番後ろのページをめくってみたら、コンクールの順位表が載っていました。これは、誰がコンクールで優勝するのかがお話のすべてのストーリーではありませんが、最後の感動は半減したと思いました(泣)。
それにしても、作者の恩田さんは凄いですね。本職は小説家なのに、こんなにピアノ曲の知識があるなんて。曲を全部こんなすばらしい文字で表せるんんて。

私は高校3年生まで趣味でピアノを習っていましたが、聴いたことがある曲は7割弱くらいです。
恩田氏のそれぞれの曲の描写を読むと、まだ聴いたことのない曲に俄然興味が沸き、全部聴いてみたいと思いました。
弾ければもう最高なんですが、それはレベルが完全に違う話で夢のまた夢です。

今年一番の小説!

評価5 投稿者:GORI

恩田陸さんの小説しばらく出ていないなあと思っていた時の新刊。
5年の歳月をかけて書き綴ったと何かで読んで、少し心配していた。
しかし、本作は5年間恩田さんが一曲一曲、
一人一人の演奏を表現するために書き綴ってきた集大成。

ピアノコンクールで優勝を目指すコンテスタント達。
無名の謎の蜜蜂王子、突然舞台から去った元天才少女、楽器店店員28歳の高島明石、そして元天才少女の幼なじみのマーくん。
みんな素敵で、みんなを応援したくなる。

最初、表紙を捲ると推薦状と書かれている。
ユウジ・フォン=ホフマンって誰?
読んでも意味が分からないので、さらに分かりづらい目次が続き、いよいよエントリーを読む。
ここで初めて推薦状とユウジ・フォン=ホフマンが重要な意味を持つ事を知る。
一次予選、二次予選、三次予選そして本戦。
それぞれの予選の演奏、結果にハラハラドキドキしながら読むのが楽しい。
そして一曲一曲を描く恩田さんの表現に体が宙に浮かんだり天に昇ったり幸福な気持ちにさせられる。
4人のコンテスタント達がそれぞれの演奏に進化され、
そして同時に共演している。
この本から世界中に音楽が溢れ出して来るようです。
長編だが読むのを止められず、いつまでも読んでいたい一冊。
私の今年のベスト。

言葉で奏でる音楽

評価5 投稿者:j_j_ichi

言葉でこんなにも音楽を奏でられるものか

というのが、読み終えて、いや読みながら、感情を高揚させられながら、感じ続けた率直な気持ちだった。2段組500頁のボリュームにもかかわらず、物語が終わってしまうのがとても惜しかった(近しい興奮を覚えたのは、『ピアノの森』『のだめカンタービレ』そして『BECK』。全部マンガだが)。
そして、祝!直木賞!!(つーか、恩田さんまだ直木賞とってなかったんい、という感があまりにも強い)。

ピアノ・コンクールで熱戦を繰り広げるコンテスタントたちが主人公。違ったタイプの複数の天才的なピアニスト、天才的なピアニストを見守るヴァイオリニスト、世界的ピアニストの卵を発掘する審査員、コンテスタントをステージに送り出すステージ・マネージャー、調律師…彼女ら/彼らの言葉と感覚が絡み合い、積み重なって、物語の中で音楽は立体的に鳴り響く。
こうした表現が見事にエンターテイメントとして昇華しているのは、この物語の基底に音楽への敬意と畏怖、そして音楽がこの世界に存在すること、それを人間が奏でられることへの感謝と祝福が満ちているからだろう。それゆえに音楽をすることの喜びを大前提としながらも、関われば直面せざるをえない厳しさなども的確な表現でしっかりと描かれている。
ちょっとだけなのだけれども、演奏する側として楽器を触ってきた人間として、共感できる言葉がたくさんある。

例えばあるコンテスタントは、

「一流のアスリートの動きには、美しい音楽と共通するものがあるし、音楽が聞こえるように感じる時もある」

と感じ、別のコンテスタントは、

「演奏者たちの中に、その自然はあった。彼らの故郷の風景や心象風景は、脳内に、視線の先に、十本の指先に、唇に、内臓に蓄積されている。演奏しながら無意識のうちになぞっている記憶の中に、彼らの豊かな自然は存在していた」

という心地を覚え、コンクールの審査員は、

「編集、という言葉はいろいろに使えるが、こんにちの音楽家には絶対に必要なものだ。自己プロデュース能力と言い換えてもいい。どういう音楽家になりたいか、どういう音楽家としてみせたいか。そういう客観的視点を備えている音楽家だけが他と区別され、生き残ることができる」

と分析し、別の審査員は、

「オリジナリティなんて言葉、ある意味幻想なのにね。やたらとみんなが口にするのはほとんど呪縛だわね」

と溜息をつき、そして本選に残ったファイナリストは、

「目に見えず、現れてはその片端から消えていく音楽。その行為に情熱を傾け、人生を捧げ、強く情動を揺さぶられることこそ、人間に付加された、他の生き物とを隔てる、いわばちょっとした魔法のようなオプション機能なのではないか」

という1つの答えを見つけ出す。…キリがないのでこれくらいで引用はやめておく。

恩田さんの作品はこれまでいくつか読んできたけれど、今作は何というか、ある種の頂点にまでいった感がある。抽象的な文章表現も多々あるけれど、それがコンテストの展開やコンテストを巡る人間関係のドラマティックな要素を邪魔することなく、非常に良いバランスで溶け合っていて、とんでもなく読みやすい、というかグイグイ引っ張られる。
色んな場面で色んなキャラクターに感情移入して、吹き出してしまったり、泣いてしまうところもあったりした。
ということで、なんか面白え小説ないかなぁ、と思っている人も思っていない人もとりあえず最初の50頁くらいを読んでみてほしい。そしたらもうきっと最後まで読むだろうから。

久しぶりに面白い本

評価5 投稿者:runrun

大学2年の娘 女房 自分の順で読みました 展開が面白くてはまりました 。直木賞を受賞すると思います。

蜜蜂と遠雷

評価5 投稿者:じぇりい

コンクールの話なのにギスギスしていないのが良い。文字を追いながら浮かぶ風景、音、匂い、全てにイマジネーションを掻き立てられる作品だった。
塵が雨の中師匠との約束の意味を求めてさまようシーン。遠くでなる雷。ここでタイトルが集約される。一見変化はないようだがこの後の彼は約束の意味を掴んで確かに成長した。
一気に読み終えるのがもったいなくて静かな環境で少しずつ読了。いつまでもこの余韻に浸っていたい。

読みごたえあり!

評価5 投稿者:雨かんむり

『チョコレートコスモス』を読み返したくなったというコメントを書かれていた方に感謝、です。
恩田作品の中で『チョコレートコスモス』はお気に入りの一冊。ならばと購入したところ夢中になって読み進めました。同じような充足感が味わえます。
ちなみに私は自分の音楽鑑賞の耳にさっぱり自信はありませんので、小説だからこそ大いに楽しめたと言えると思います。作者さんの表現力のお陰。
ところで「塵」の命名の由来が気になります。作中、塵の口から、これこれこういった意味合いで親は名付けたらしいというようなことが語られるかなと思っていたのですが、そんなことはなく残念。どんなふうな意味づけができるだろうなぁと考えてみるのも楽しいけれどね(笑)。

【1位】
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年、かつての天才少女、サラリーマン…。ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、音楽を描いた青春群像小説。

予約購入について
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2位~10位はこちら!

みかづき

紙の本

みかづき

満月にあこがれる途上の月

評価5 投稿者:チップ

昭和36年、小学校用務員だった大島吾郎は勉強を教えていた児童の母親・赤坂千明の強引な押しによりともに学習塾を立ち上げる。
ベビーブームと高度経済成長を背景に吾郎と千明の塾は順調に成長していく。
目まぐるしく変わる文部省の方針に翻弄され、保護者からは目の前の成績を上げる事を要望されて吾郎と千明の方針の違いは埋めがたいものになっていく。

昭和から平成の塾業界を舞台に3世代の家族の物語を描く長編

「カラフル」や「DIVE」など児童文学の世界で数々の賞を受賞した森絵都さんが「塾」を舞台に教育と子供を描きました。

最終章の「新月」で千明と吾郎の孫 一郎の成長には目を見張るものがありました。

教育は子供をコントロールするためにあるんじゃない。
不条理に抗う力たやすくコントロールされないための力を授けるためにあるんだ。

タイトルの「みかづき」の意味も最終章の吾郎のスピーチでわかる。
教育とは何か家族とは何か
感動の長編でした。

人生観を考えさせられました。

評価5 投稿者:翠

舞台は昭和36年から平成20年にかけて。変遷する社会情勢の中、親子孫らがそれぞれの思いを抱いて教育に携わるドラマチックなお話しです。

物語の中心人物=千明は教員免許を持ちながらも、ある強い思いで塾を立ち上げます。軍国教育から民主主義教育、詰め込み、ゆとり、脱ゆとり…唐突に方向転換を突きつける国の教育指針にいきり立ち、反骨心を露わにします。

塾経営、文科との対立、理想の子ども教育への執念が強い千明は衝突も多く翻弄されます。

千明はやがて家族も増やしていきます。同じ目標に向かっていると思っていた家族とも いつしか溝が生じますが、千明は志の実現を夢見てひたむきに奮闘します。

しかし、塾の経営という非常な現実に、いつしか大切な思いがぶれていきますが…。

登場人物の個性がすっきりしていて、相互関係に味付けも効いているので、どの場面もすんなり頭に入って来ました。

また、それぞれが頑なな主張をぶつけ合う場面も多いですが、互いが抱える事情の厳しさを丁寧に描かれているので、各々の譲歩しがたい気持が易く伝わってきました。

充実する仕事の成果とは裏腹に、乖離していく縁ある人たち。 年齢を重ね、老いた千明の胸の内は…。
病床で人生を俯瞰した千明が己をみかづきに重ねる辺りは、キーンと私の琴線に触れました。
人は感じ、考える事で原動力が生まれ、たとえそれが悩める事であったとしても、その人の支えとなっているのかなと思いました。

教育というキーワードで本筋が整えられていますが、理想が成就したかという興味もさることながら、登場人物の絡み合う絆が深まったり疎遠になったりと、起伏に富む有様が味わい深かったです。それぞれの心情に思いを馳せ感情が揺れました。

エピローグに近づくにつれ、「みかづき」のキーワードが増えると共に、じんわりと温かな気分に誘われました。しっとりとした余韻を残しながらも、晴れ晴れとした締め括りがとても素敵でした。

家族と仕事

評価5 投稿者:にんじん

『みかづき』なぜこのタイトルなのか、
私はよく分からないまま読み進めていたのですが、
それが最後の方に気が付かされ、ハッとしたのと同時に大いに納得させられました。

登場人物はひとつの家族を中心に、独身時代から結婚、孫の世代まで広く長く描かれています。

本書は教育業界を中心に描かれていますが、あるゆる業界、あらゆる世代に通ずると思います。

変わり行く時代の中で得られたものや失われたもの、
生涯を何かに熱く生きることは良いことばかりではないことを改めて痛感させられました。

それでも私は、彼らのようにいつまでも『みかづき』を仰ぐ人間でありたいと願いました。

みかづきGood!

評価5 投稿者:タッキーy

作品のレビュー
読み終わって、一番に思ったこと、
終盤の上田一郎の無償教育について、
言いたい筆者が、その前までの章は、
たんに、飾りの意味で、書いた章で、
感動も喜福も期待していないのが、
わかる小説でした。

まちがってるけど、許して!

でも、一郎が、教育者が嫌で、
しかし、血が騒ぐという、表現が
全体のバランスを保ってる気がします。
そもそも小説もその売りが重要ですが、
後半まで、よく耐えたなぁって感じます。
後半は、涙なしで、読むのに苦労させられました。
涙、涙、涙ですよ。
特には、シングルマザーが 
どれくらい子供に我慢をさせているのか?
周りは、何ができるのか?
単に足長おじさんでは駄目なんですよね?

大島吾郎から大島(赤坂)千明へ、
千明から国分寺へ
結局、千明よりも吾郎が永く生きること、
それも、なにか、期待を裏切る作品になっています。
千明から上田一郎へ
教育のバトンが素晴らしい。
第七章くらいからが、面白いので、
そこから、読み出して、興味がわいたら、
第一章から、読み直すのが、いいかも?

終わり方が最高

評価5 投稿者:てつ

初読作家さんでしたが、他の作品も読んでみたい。塾という面から教育を語っており、新鮮。教育は人それぞれで想いは違うので、途中で組織の分裂があることは想像できる。その中で、気持ちいい終わり方で、名作として推薦します。読みやすさもグット!

教育の力

評価5 投稿者:やっこ

満ちることのない教育の仕事、時々本質を見失いそうになる現実に、熱い気持ちを思い出させてもらいました。

【2位】
「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」昭和36年。人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。

罪の声

紙の本

罪の声

事件にかかわってしまった子供たち

評価5 投稿者:チップ

グリコ森永事件の脅迫電話に子供の声が使われていた事からインスピレーションを得て書かれたフィクション
実際のグリコ森永事件を丹念に取材して事実とフィクションを巧みに織り交ぜた渾身の作品

グリコ森永事件により人生を狂わされてしまった子供の話は作者のフィクションだが、本当に人生を狂わされてしまった子供がいるのかもしれないと思わされる秀作です。

いたくなるほど心締め付けられる

評価5 投稿者:OTTER

大きな事件の中で踏みにじられた人生の辛さをつくづく思う 人の命は思いとか 尊厳などという言葉がいかに上滑りな事なのか辛さこそ助長されるが 救いには結びつかない

グリコ森永事件

評価5 投稿者:Sota

を題材にした小説は、「レディージョーカー」が面白かったですが、これも、それに匹敵するくらい面白かったです!
阿久津が、2度目にイギリスへ行くあたりからは、一気読みでした。そして、ラストは、号泣してしまいました。
読んでいる間中、ずっと、NHKのドキュメンタリー「未解決事件」のテーマ音楽が、頭の中で、BGMのように流れていましたが、、、
「ハイネケン誘拐の代償」も、見てみたくなりました。

罪の声

評価5 投稿者:エスターク

本屋に入ると必ず目に入ってきた。
装丁とタイトルが私に読むよう告げてきた。


最近本にかける金額が多くなってきた事もあり躊躇してしまっていたが、やっとの事で購入に踏み切る(笑)


全くの予備知識もなく先入観もないまま二日かけて読み終えました。


本書がフィクションでありながら、実際にあった事件を出来るだけ再現し、明らかにされていなかった部分を捜索し一つの結末として描き切っている。


一言、凄い。


題材とされている「グリコ森永事件」の事をお恥ずかしながら私は名称以外全く知らない。
が、本当にあった事件、それ以上に現実感がある。


そう、本当にその事件が実際に起きており、報道される前に記者や警察が事件の全容、全貌を明らかにする為にあたりをつけて情報を少しでも引き出そうとしている様子がありありを描かれている。


それもそのはずで著者は当時の事件を調べるために一年間の全ての新聞に目を通し、場所を訪れるなど調査量に圧倒される。


その調査の過程が本書をより現実に感じさせる。


事件を一つずつ追っていく描写が本当に今事件が起きているように感じる。


登場人物には事件に関係したとされる家族とそれを追う新聞記者が出てくるが、各々の取材する姿が素晴らしい。


事件の断片が少しずつ集められ、少しずつ組み合わさっていく。


それと並行して明らかになるにつれて周りの人間や家族の心情が変化していく様子に心が締め付けられる。


時効が成立しているがそれは単純に法で裁く事が出来なくなるだけで事件そのもの、罪そのものには時効はない。


それは起こした犯人にも残された家族にも。
社会についてもだ。


400頁程の分厚い書籍にはなるが読んでみる価値はあると思う。


報道にする考え方であったり罪に対する意識や様々な事件、とりわけこのグリコ森永事件など、何かしら読者に影響を及ぼす書籍だと思う。


私もこれを機に本当にあったグリコ森永事件に関する書籍に触れてみたいと思います。

読んでよかった

評価5 投稿者:たか

昭和の未解決事件
グリコ森永事件がモデルの
ノンフィクションと錯覚するようなフィクション小説

主人公と同世代で娘がいる身として
魂が揺さぶられました。

たくさんの人に読んでほしい本です。

グリコ・森永事件を題材にした小説

評価5 投稿者:Freiheit

昭和の時代に起きた未解決事件。これをテーマに追いかけている筆者の執念というものが感じられる作品である。

【3位】
父の遺品の中からカセットテープを見つけた俊也。幼い自分の声の音声は31年前の未解決事件で恐喝に使われた録音テープと全く同じだった…。「グリコ・森永事件」をモデルにした長編小説。

ツバキ文具店

紙の本

ツバキ文具店

代筆屋としてのこだわりが素敵

評価5 投稿者:Andy

依頼された人を想って紙の種類から文字の形、インクの種類までを選定して代筆する様子に心を動かされました。
鎌倉にこんな代筆屋さんが本当にあったらいいなあと思ってしまいました。

お茶を飲みながら ゆっくりと読みたい本

評価5 投稿者:卯月

この小説を読んでいると、日々を大切にしたくなる。
普段の生活や、出てくる小物等どれも試してみたくなる。
手紙の部分が手書きで表現されているのが新鮮に感じた。その筆跡から色々と想像出来るのも面白い。
何もかもが愛おしく感じる内容で、こんな暮らしができたらいいなと思った。

本屋大賞を逃すも素敵な小説

評価5 投稿者:うりぼう

2017年の本屋大賞は恩田陸の『蜜蜂と遠雷』でした。打倒直木賞を謳い文句に2004年にスタートした本屋大賞も今年で14回目。同作品が直木賞とW受賞したため、知られていない本を発掘するという本来の意義が失われたと揶揄する声も聞こえています。直木賞へのアンチテーゼとしての役割に徹して欲しいと自分も思います。

密かに本年度の本屋大賞受賞を期待していたのが昨年4月に上梓された小川糸さんの『ツバキ文具店』でした。結果は惜しくも4位でした。『ツバキ文具店』はぶらっと本屋に立ち寄ったときに買い求めた小説です。選書の決め手はずばり装丁の美しさでした。昭和レトロ風のタイトル書体とペン書きの表紙イラストだけでも衝動買いに値すると思いました。さらに頁をパラパラめくると、薄墨で書かれた手紙や万年筆書きの原稿用紙が目に飛び込んできます。風変わりな構成に興味をそそられました。

手に取って読み始めると、鳩子さん(通称ポッポちゃん)という主人公の女性が先代の跡目を継いで店番をする傍ら、代書屋を営むという筋書きでした。舞台は鎌倉、目次の裏には素敵なイラストマップまで添えてあります。妻に先立たれたカフェの店主とその幼娘、隣家のバーバラ婦人、正体不明の男爵というあだ名の先代の茶飲み友達といった脇役たちが新米代書屋ポッポちゃんを優しく見守ります。

メールやLINEの普及で手紙を書く機会は減る一方です。お世話になった人に贈り物をするとき、一筆箋を添えるくらいが関の山です。そんなご時世に、ポッポちゃんのもとには次々と代書の依頼が舞い込みます。お悔やみの手紙、離婚を伝える手紙、借金お断りの手紙などなど、ポッポちゃんは、その都度、居住まいを正して沈思熟考、文机に向かいます。手にする筆記具や用箋も手紙の内容にふさわしいものを選んで、投函まで依頼人の気持ちに寄り添って工夫を重ねます。このあたりが文房具好きには堪らない描写です。誰にも何度か訪れる人生の転機にこんな手紙を認めることが出来たなら、送り手も届いた手紙を受け取った人も心が豊かになること請け合いです。

NHKがドラマ化(全8回)したので毎週楽しみに視聴させて貰っています。配役といい古都鎌倉の風情といい、ドラマの方も出色の出来栄えです。

癒される一冊

評価5 投稿者:いなみの

癖のない素直な書き方で日常と非日常の間を往来する主人公の生きざまに共感できる場面もあり、最後厳しかった祖母の本心を綴った手紙に見えた心の行き違いが強い祖母と言ふ鎧の下の繊細な弱みをさらけ出した場面に人の弱みを見た気がしました。久々に読後感の素晴らしい一冊を手にした気がします。

たい・たい・たい!

評価4 投稿者:あかんべ

終始、まったりとゆったりとした気分で読んでいました。
で!たくさんのやりたい事、したい事ができました。

便箋や封筒を集めたい!
字が上手になりたい!
文具を見て回りたい!
鎌倉散策に行きたい!
物語に出てきたお店を回りたい!
文通がしたい!

さて、どれから始めるかな〜♪

あたたかさが伝わる本

評価4 投稿者:オラフ

「ツバキ文具店」はほっこりするような小説だ。
鎌倉で代書屋を営む鳩子の日常である。

私は手紙を書くほうだと思うが、最近は自分ですきなことを書くのは少なくなってきている。文字を書くのは、せいぜい仕事のメモ程度だ。
ここで文章を連ねても、丸っこい筆跡やでこぼこするような筆圧は伝わらない。文字はそのひとの体を表し、今そこにいるという存在感を示す。
ここで、主人公は代書屋という設定であるが、筆者も鳩子と同様、登場人物に投影して丁寧に言葉を紡いでいるのだと思った。

日記はハードルが高くて無理だけど、誰かにちょっとしたメッセージを書いたり、はがきを出したりしたくなる本だ。肉筆は文章だけでない、心意気や遊びゴコロ、あたたかさが伝わるから。

【4位】
伝えられなかった大切な人ヘの想い。あなたに代わって、お届けします−。ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元に、今日も風変りな依頼が舞い込みます。

桜風堂ものがたり

紙の本

桜風堂ものがたり

『桜風堂ものがたり』

評価5 投稿者:百書繚乱

風早の街の銀河堂書店で文庫を担当する「宝探しの月原」こと月原一整
ある本を売り出そうとするが万引き事件がきっかけで店をやめることに

消沈のなかおとずれた地方の書店で出会ったのは...

「タカラモノヲサガシニ、イクンダヨ」

リアルにネットがほどよくブレンドされた極上の味わい

書店員と
本屋さんと
本を愛するすべての人に贈る死と再生と奇跡の物語

穏やかな

評価5 投稿者:タンタン

とても静かで、でも人の力強さ、人の温かさ、人と人の繋がりの大切さを改めて感じた1冊です。
風景が目に浮かぶ…桜が満開に咲いてて心地よい風が吹いて…
辛い現状でも時が経てば過去になり…また人は誰かの為に頑張れる活力が湧く!
読み終わって暖かい気持ちになれました。

温かい物語です

評価5 投稿者:フィン

読み始めたとき失敗したかな、と思いました。なんだかちょっと重たいな…と。読み終わったときに、心がほっこりするようなホンを読みたいのに、と。
でも、途中からガゼン「ほっこり」路線に切り替わり、あとは怒濤のような感動の嵐!(笑)

実は、仕事に行き詰まっていて、すごくネガティブになっていました。自分が空回りしてる感じで。投げ出したくて、逃げることばかり考えてました。
勇気をもらいました。誠実であることを辞めてはいけないとおもいました。

本との出会いは不思議です。私を助けに来てくれる。この物語は、まさにそんな1冊でした。

本を好きな人に読んでほしい物語

評価5 投稿者:ねこすき旅人

誰にも気づかれないが魅力を持つすばらしい本を探し出す才能がある青年が、ある事件をきっかけに長年働いた本屋さんを離れることになります。
本当に売りたい本を、本屋さんで売り出すことが出来なくなった、失意の青年がとある過疎地域の本屋さんで偶然働き出すことで、奇跡のような出来事が起こり始めます。
彼が勤めていた本屋の人たちが、彼が愛して売り出そうとしていた本を、自分たちの出来る限りのことをして、彼の想いを引き継ぐ形で実現させていきます。
それにあわせ彼が新しく働き始めた本屋さんでも、彼の本や本屋に対する想いに応えるかのように、奇跡を思える出来事がおこりはじめます。
ひとつひとつの本に様々な創意工夫をして、読者に送り出そうとする本屋さんや出版者の人の想いが、温かく伝わってきます。物語に描かれる人物の心理や背景が手に取るようにやさしく描かれており、読んでいて、自分も売り場で本を売り出す気持ちになることができました。本が大好きな人には是非手にとって読んでほしい本です。

誰もがすごい書店員で、すべてがうまく...

評価3 投稿元:ブクログ

誰もがすごい書店員で、すべてがうまくいく。現実には難しい話。逆に、絶対にハッピーエンドなはず、と安心して善意の流れに身をゆだねられた。
書店員が、本を愛する人たちが、どのようにして本を世に送り出すのか。みんなの思いにじーんとくる。あたたかい涙。

 本屋大賞ノミネート作らしい作品だな...

評価0 投稿元:ブクログ

 本屋大賞ノミネート作らしい作品だなと思った。本屋の店員だった主人公がある事件がきっかけで、町の小さな本屋をまかされることになる。本屋の店員発のムーブメントが起こるまでも、同時進行していく。
 ちょっとマニアックなんだけど、でも、本と本屋が好きな人だったら、この雰囲気はたぶん好きだろうと思う。たぶん、続きがあるよね。この先の人間関係のごたごたがどう関係するのか楽しみでもあり、このままの雰囲気が好きでもあり。

【5位】
万引き事件がきっかけで、長年勤めた書店を辞めることになった青年。しかしある町で訪れた書店で、彼に思いがけない出会いが…。田舎町の書店の心温まる奇跡を描いた長編小説。

暗幕のゲルニカ

紙の本

暗幕のゲルニカ

鮮やかなタペストリー

評価5 投稿者:夏の雨

「本作は史実に基づいたフィクション」と、最後に記されている。
 どこまでが史実でどこからがフィクションなのか美術史に疎いので判然としないが、それがこの作品の傷になるかといえばそんなことはない。
 圧倒的な面白さはそういうことさえ忘れさせる。
 まったく原田マハという作家は『楽園のカンヴァス』以降、美術にまつわる作品を描かせたら絶品である。

 タイトルにあるとおり、この長編小説はあのピカソが描いた名作「ゲルニカ」をめぐる物語だ。
 「ゲルニカ」については作品の中にこう記されている。
 「一九三七年、ナチス・ドイツがゲルニカに対して行った人類初の無差別空爆。その暴挙に憤怒の炎を燃え上がらせて、ピカソが描ききった巨大な一枚の絵」と。
 モノトーンで描かれたこの絵、悲鳴をあげる馬、倒れる兵士、幼児を抱えて泣く女、を実物ではなくとも目にした人は多いだろう。
 ピカソはどのようにして「ゲルニカ」を描き、戦争に突入していく欧州の戦火の中をどう生き延びていったのかを縦糸に、2001年9月11日に起こった米国での同時多発テロで愛する夫を失ったニューヨーク近代美術館のキュレーター瑤子が自身企画したピカソの展覧会に「ゲルニカ」を出展させようとする姿を横糸にして、物語のタペストリーは編まれていく。
 二つの糸をつなげる人物として描かれるパルドという裕福な青年とルースというこれも裕福な女性は作者の想像であるが、この二人が縦糸のピカソを、横糸の瑤子に密接に絡んでいく。
 同時に縦糸と横糸をつなげる重要な役どころである。

 史実としてピカソの「ゲルニカ」にまつわる物語を現代にどう蘇らせるか。
 戦争にノウを叩きつけた「ゲルニカ」の持っている意味合いを表現するにはどうすればよいか、瑤子の物語はフィクションであるが、それがあることにより「ゲルニカ」が暗幕から姿を現したといえる。
 エンタテインメントに分類されるであろう作品だが、読者を十分に満足させることはいうまでもない。
 拍手をおくりたい。

感銘を受けた重厚な作品

評価5 投稿者:kansha

原田マハさんならではの、マハさんにしか書けないような、真骨頂ともいえる作品でした。表紙のゲルニカの絵を何度も観ながら、読み進めました。

ピカソの生きた時代や、ゲルニカ制作に秘められたものが胸の奥に迫ってきます。ピカソの心がひしひしと伝わりました。

バルドとマイテの存在が物語を奥深くしてくれていて、感動的でした。ドラの心の変化していく様子も胸の奥に響きました。

素晴らしい作品。超おすすめです

安定の

評価5 投稿者:あや

安定の原田マハ先生。
キュレーターでもあるマハ先生だからこそのものがたりです。読み進めていくほど、どんどん引き込まれます。
時代が交互に移りますがそれぞれの場面で、自分がそこにいるような気にさせてくれます。
安定の面白さ、感動を与えていただきました。

かっこいい

評価4 投稿者:きよたろ

MoMA職員・ピカソの研究者であるヨーコとピカソの恋人であるドラ・マール、二人の女性の視点から物語が描かれています。
自分のすべきこと、自分に与えられた使命に誠実に向き合って必死でがんばってる人の姿はやっぱりかっこいいなと思いました。ヨーコもドラもそしてピカソもみんなかっこいいです。
いつかゲルニカを見に行きたい。この本を読んでからゲルニカを見たらきっとピカソからのメッセージを一層色濃く受けとることができるだろうと思います。

アートの力

評価4 投稿者:ムジクムジカミュージック

美術にほぼ興味がないのですが、原田さんの本は大好きで、わからないなりに楽しんでいます。音楽の力、アートの力ってよく聞きますが、それって受け取る側にもその素養があってこそだと思う。けれでも、それでも絵で世界に戦いを挑んだ芸術家の魂が、伝わり、受け継がれ、同時代の人達を、未来の人達を突き動かす様が描かれています。
私が書きたかったものが書けたとマハさんがこの本を出す時に言ってたような記憶が・・・違ったかな。今まではあくまでその人の内面の葛藤と自立とその周りの人々との関係性を丁寧にやさしいタッチでえがく個人の生き方に対する小説が多かったし、私はそれが好きです。しかし、今回はもっと大きな訴えたいことが背後にずんとおかれている、それは暗幕をかけているのかもしれないし、かけていないかもしれないそのテーマがこの小説の毛色を少し違ったものにしているようです。
それがいいとか悪いとかではないのだけど、ちょっと雰囲気が違うってことだけ。

期待しすぎた!

評価3 投稿者:imikuto

たしかに興味深いことがたっぷり記載してある。
おそらくマハさんにしか描けないのだろう。
でも、おもしろ要素がたくさんありすぎて、収拾がつかなくなった感じがする。
ピカソだから気合を入れすぎたんだろう。
前ミステリー作品、「楽園のカンヴァス」のほうがずっといい。
あれはシンプルにまとまっていて、それでいてあっと驚けた。

ということで、面白さは平均的。
期待しすぎというところもあるが・・・

【6位】
国連本部のロビーに飾られていた名画「ゲルニカ」のタペストリーが、2003年のある日、忽然と姿を消した…。大戦前夜のパリと現代のNY、スペインが交錯するスリリングな美術小説。

i

紙の本

この世界に絶対に必要な存在

評価5 投稿者:mino

待ちに待った、西さんの新作です。
残酷な現実が溢れる世界に対して、私たちは一体どう生きればいいのか。
答えはこの物語が教えてくれます。
鮮やかで苦しくて優しい答え。
それが、『i』。

西さんの作品にはいつも「救い」があります。今回の作品も、幼い頃抱いた悲しみや葛藤に優しく寄り添う答えをくれました。

主人公のアイは、養子として両親の元に迎え入れられ、恵まれた境遇で生活しています。
そのことに生き辛さを感じているアイは、自らに呪いの言葉をかけてしまいます。
「この世界にアイは存在しません。」

彼女は世界中の悲しい事件や親友に起こった出来事に心を痛め、呪いを深めていきます。
しかし、次第にその苦しみを通して自らの存在を肯定し、残酷な現実に立ち向かう「救い」にたどり着くのです。

西さんは何故、毎回こんなにすごい物語がかけるのでしょう。
この小説は、
『i』は、
この世界に絶対に必要な存在です。

西先生、ありがとう!

評価5 投稿者:Nacco

年末にサラバを読んで、とても感動し、その勢いで手にとった今作!読み終わった後は、西先生に直接ありがとうと言いたい気持ちでいっぱいでした。当分は西先生の作品をいろいろ読んでみたいと思います!

生命の躍動

評価5 投稿者:GORI

西加奈子さんの小説は言葉が大切に選ばれていて、
音楽のようにリズムがあって、
言葉に表情がある。

冒頭から不安な気持ちを感じながら読み始め、
主人公アイの不安定な心と同じように読み続ける。
両親と血がつながっていない自分という存在の意味、
両親から注がれる愛情の不安、
世界中の死、
選ばれなかった人たちの運命。
その全てをアイは自分の内側に潜り込むように考え続ける。

その思いは届かないのかもしれないが、思ってくれる人がいるという確かな世界があることが、大切なんだとあらためて気づかされた。

生きている実感を見つめること。

評価4 投稿者:たけぞう

ポプラ社HPの刊行記念インタビューに、LGBTについて
書こうと思ったとありました。確かにそういう要素もゼロでは
ありませんが、それだけ読むとおおいに誤解してしまいます。

この作品は、自分の存在意義を問い、
ひるがえって生きている感覚を見つめているのですから。

差別を扱っているようにも読めますが、わたしは個々の
区別についての並々ならぬこだわりを感じた次第です。

ワイルド曽田アイ。アメリカ人の父と日本人の母を持つ、
シリア人の養子です。父のダニエルは、アイという言葉が
日本語の「愛」に相当することを気に入ったし、
母の綾子はアイが英語で「I」、自身のことを指すことを
気に入ったのです。

自分をしっかり持った愛のある子に育ってほしい、
何とも素敵な意味です。

小学校卒業まではニューヨークのブルックリンに
住んでいました。あらゆる人種の子どもたちがいる
カラフルな街。
個性あふれ、われ先にと主張する子供たちの中にいて、
アイは息苦しさを覚えていたのです。

恵まれた家庭にいたアイは、子どもながらに自らの境遇と
出自のギャップに悩む日々を送ります。
何をしたいのかと聞かれると、何でもしてみたい気がするくせに
何も言えない子ども。誰かが決めてくれればいいのに、
そんな思いを持っています。

中学校からは日本です。同じ制服、同じ体操着、同じ給食。
外見の目立つアイは、何者でもないことを突きつけられ
孤独になります。
人種のるつぼのニューヨークで翻弄され、みんな同じの日本で
永遠のお客様扱い。

そうです、アイはどこにも居場所のない人なのでした。

高校に進むと、一人の友人ができます。
自分を一人の存在として、なんの色眼鏡もかけずに見てくれる人。
その友人の存在を通じ、アイの心は徐々に養われていきます。

人種、家庭環境、性格、学力、数え上げればいくらでも
出てくる人との違いが、自分にとって何の意味を持つのかを
見つめています。

サラバのあとにこんな重量級の作品が出てくるとは
思いませんでした。ひと皮むけた感じがします。
直木賞受賞は、ちょうどいいタイミングだったように思います。

弱い社会派

評価3 投稿者:テラちゃん

主人公は、シリア生まれのアイ。アメリカ人の父と日本人の母、つまり養子である。国際的には、富裕な人々が貧困な国の子供を養子に迎えることは珍しくない。ただアイは、自分が養子になって幸せ故、他のシリア人の誰かが不幸になったのではないか、極端に言えば紛争の犠牲になったのではと悩み続けている。物語はアイの中学時代から始まるが、彼女は高校に進んでミナと親友になる。ミナは同性愛者。ここで血の繋がりという問題が生じる。ベースには9:11、東日本大震災、ハイチの地震など、世界的な悲劇が背景になる。直木賞を獲った「サラバ!」に似た、社会はと言えるが、掘り下げが浅いのが難点か。

西さんはまぶしいなあ。感想は西さんに...

評価4 投稿元:ブクログ

西さんはまぶしいなあ。感想は西さんに伝えたい。きいてほしいこと、いっぱいある。だから手紙を書くよ。みんなには言わない。みんなには言いたくない。自分で直接読んでほしい。

【7位】
「この世界にアイは存在しません」 入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは…。

夜行

紙の本

夜行

“恒川光太郎”的な雰囲気漂う快作

評価5 投稿者:タンポポ旦那

「きつねのはなし」を読んだ時、モリミーにはホラー風の作品は合わないのかも……と感じたものだったが、著作を重ね、やはり期待に応える力量に感心した。「ペンギン・ハイウェイ」で全く新しいモリミーを見せたのと同様に、どこまでその世界を拡げていくのか、いま最も目が離せない作家の一人だ。
本作は恒川光太郎の「夜市」を思わせる雰囲気を漂わせながら、夜に魅かれ、朝に焦がれる独自の美世界を構築している。銅版画に魅かれる主人公達と、不可思議な画家との関わりが、魅力ある物語を紡ぎだしている、と感じた。

洗練されたストーリー

評価5 投稿者:ぎんまる

とても面白かったです!
いつも物語の構造が理系的なのに、表現力が細やかで大好きです。
ストーリーがパラレルだけで終わらず、収束、また分岐という今までの森見さんと違う展開で、何回か読み返して反芻したいです。
夜と朝の世界の対比に、「世界はつねに夜なのよ」、ガガーリンの「地球は青かった」が解釈のキーワードである気がしました。
続編、というか裏写しのストーリーも読みたいお話しです。

夜行

評価5 投稿者:やぎ

待ちに待った森見登美彦さんの10年目の作品はミステリアスであり、登場する女性に毎回心踊らせています。

ちょっと不気味で不思議なお話し。

評価5 投稿者:咲耶子

異次元に足を突っ込んだような、異空間を覗き込んだようなお話でした。
森見さんの明るくてあっけらかんとしたお話も大好きですが、今回のようなちょっと不気味なお話も大好き。
きっかけは鞍馬。現代の京都でもちょっと不気味な雰囲気を残してる地域ですよね。
いまでも神隠しがあっても可笑しくない感じ。
不思議な絵、消えた女、記憶の齟齬、いろいろ織り込まれ上手い具合に調和し不思議な結末へと向かいます。

夜の世界

評価5 投稿者:D

森見先生の作品はこれまでに何度も読んでいますが、『夜行』ほど読者に不安を感じさせるものはなかったと思います。夜の世界の不気味さが、視覚、聴覚、嗅覚、触覚から伝わってきます。自己の存在が揺るがされ、自分がいったい世界のどこにいるのか何度も考えさせられました。夜が明けて欲しいという思いからついつい夜更かしして読み終えてしまえるものでした。

不思議な世界

評価4 投稿者:やっこ

夜行が主題だと思って読み進めていたが、それが裏の世界だったとは。不思議の世界に、どんどん引きこまれ、一気に読めた。絵が頭の中に浮かび、次第に様々なことが繋がって行くのが興味深かった。

【8位】
僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。長谷川さんが姿を消した夜から10年。僕ら5人の仲間は、鞍馬の火祭りの日に再会した。「夜行」とは何か。彼女と再会できるのか−。

コンビニ人間

紙の本

コンビニ人間

一気に読めました

評価5 投稿者:玉

芥川賞を受賞しても、・・・・・・という作品が多かったのですが、今回はもろ手をあげて評価しましょう。おととい買って、昨日、一気に読めました。文体のなめらかさ、読みやすさ、なんともいえないユーモア、それでいて、うん、ありそう、でも、・・・・・・、の繰り返し。現代をみごとに描写してくれました。私も、この主人公のようなところがあり、それでいて、まわりの人間のようでもあり、『何者』と通ずる、現代社会の怖さみたいのが、軽やかに描かれています。『火花』よりも、こっちを、ドラマ化、あるいは、映画化してほしいです。

マニュアル

評価5 投稿者:テラちゃん

大学1年以来コンビニで18年間、アルバイトを続けている女性が主人公。コンビニにはマニュアルがあり、そこから逸脱することは出来ないのだが、マニュアル通りの生き方も、またある。それを歯車に例えるななら、さしずめチヤプリンの映画か。取り分けて台詞がユーモラスであり、「火花」など比ではない。優れた書き手が現れたと思う。

最強コンビニ店員

評価5 投稿者:GORI

コンビニが作られて私達の生活は一変した。
最初はこんなに影響があるとは思っていなかったが、今はコンビニが無ければ生活が成り立たない。

本作は周りの人と違ってどう生きていいのか分からなかった主人公が、コンビニの「店員」という役を与えられ生き生きと18年間過ごしていた。
しかし、コンビニのアルバイトで独身という社会の肩書きでは、いろいろ言い訳が面倒で生きづらい。
そこで安易に結婚の型を選んで丸く収まる事を期待したが・・・。
この辺りから物語は奇妙で面白く展開し、生きる力を失った主人公がコンビニで生き返る姿が最高潮に盛り上がる。

現代の生きづらい社会の中で、それぞれの「役」を学校や会社、家庭などから与えられ、その「役」を演じる事で社会の中で普通だと安心している人たちが多いのでしょう。
そんな社会をテンポ良く、おかしく描ききり、白羽さんという誰もが目を背けたくなるような毒をスパイスに効かせた作品は芥川賞にふさわしい出来です。

芥川賞受賞の作品でこんなに面白く読めた作品は初めて。

コンビニが冷蔵庫

評価5 投稿者:Massagnan

かつてコンビニが一階にあるマンションに住んでいた、私。当時は、自宅に冷蔵庫を置いていなかった。そう、コンビニを我が家の冷蔵庫とみなして生活していた。本書は、コンビニで働く店員の視点で、人間がその生活/人生をコンビニ・システムに組み込まれる状況を描いている。当時の私は、その逆で、コンビニの利用者として、コンビニ・システムに組み込まれていた。毎朝目覚めて、決まった時間に一階のコンビニに行き、朝食を買う。在宅時は、昼のランチも一階のコンビニ。外出後、夜の帰宅時に一階のコンビニに立ち寄る。眠れぬ深夜に、トイレに行くついでに、一階のコンビニ詣で。これだけ、一階のコンビニに行き詰めると、自然に、店員とも顔見知りになる。店員のシフト時間まで、おのずと把握してしまった私。けれど、世間話はしない。おきまりのフレーズを繰り返す、おきまりのやり取りだけ。これが逆に気持ちよかったりする。適度な距離感。全くの他人ではないが、知人でもない人間関係。コンビニは、そんな新しい人間関係を社会に追加してくれている。そんなことを、あらためて実感させてくれる本が、『コンビニ人間』ですね。

普通とは何か

評価5 投稿者:ウキウキさん

普通ではない人間が普通になりたくて、でも普通になれなくて。そんな主人公に自分が会ったら変な人だと思うかもしれない。でも、そんな判断をする権利も、ましてや介入する権利などないのだなと考えさせられる、気づきの詰まった一冊でした。

自分よりも「下」の人を探してしまう

評価5 投稿者:トコトコくん

本当はいけない事だけど、心のどこかに眠っている気持ち。「あいつよりも俺の方が上だな」
自分が属する小さなコミュニティーの中で、無意識に作ってしまう人間の序列。ひきこもりよりバイトの方が上。バイトより正社員のほうが上。コンビニ店長よりも銀行員の方が上。30台独身会社員女性よりも30台既婚子持ち専業主婦の方が上。
世の中に蔓延している「なんとなくの空気感」。読んでいて、とっても疲れますが、読み応え抜群です。

【9位】
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。

コーヒーが冷めないうちに

感動

評価5 投稿者:やえ

人生において何が一番大事なのか考えさせられる内容でした。後悔しないように、毎日目の前のことをこなしていくことがいかに大切か考えさせられました。

喫茶店でタイムトリップという面白い設定

評価5 投稿者:美佳子

タイムトリップができる喫茶店という設定が面白いと思いました。そしてタイムトリップしても特定の席から動けない、動くと現在に強制的に戻されるというルールで、SF的タイムトリップとは一味違います。現実は変わらないけれど、人の心の裡は変えられます。そこにスポットを当てた優しい物語だと思います。

会いたい人がいます

評価5 投稿者:フィン

過去に戻れるなら、ぜひ会いたい人がいます。会って、確認したいことがあるのです。
それは、きっと私だけじゃないと思うのです。もう会えなくなっちゃった人に、会って、伝えたいことがあるとか、謝りたいことがあるとか。
そうしたいと思っていたのに、できなくて、あとで後悔してしまう。そういうことのないように、今目の前にいる人たちとの絆を大切にしなくちゃな。。。と思う物語たちでした。

良かったです!

評価5 投稿者:ふとまきすし

とても泣ける話が5話、どれも凄く面白かったです。
全ての話が最後で繋がり暖かい気持ちになりました。
全ての人に読んでほしい。

結構こういう系好きだな

評価4 投稿者:梨奈

4回泣けると言うのに引かれて購入。
確かに良かったが、読みにくい(ん?と思う)所もあり2度ほど、その文を読み直して、あぁ…そう言うことか…!と理解する所もありました。

スラスラ読めました

評価4 投稿者:読者K

とても読みやすく、アッと言う間に終わってしまいした。
4回泣けるとありますが、泣けませんでした。
泣くには最後の一押しが足りなかったのですが、ゆったりした気持ちになり満足はしています。
本書を購入する際に、ほぼ題名と表紙だけで買ってしまいましたが、良い買い物をした気分です。

【10位】
お願いします、あの日に戻らせてください―。「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。

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2017年翻訳小説部門受賞作はこちら!

ハリネズミの願い

紙の本

ハリネズミの願い

気弱なハリネズミ

評価5 投稿者:ベニテングタケ

ひとりぼっちのハリネズミがお茶会を開き、みんなを家に招待したい。
けれど本当はみんな来て欲しくない。
傷つくのを異様に怖がるあたり、現代の若者と一緒だなと思う。
でも、誰でも自分の中に気弱で臆病なハリネズミはいるんじゃないかな?
人付き合いにちょっと疲れてしまった時に、読み返したくなる本だろうな。

ハリネズミのジレンマ?

評価4 投稿者:kobugi

どうしよう、どうしようのスパイラルの中で、リアルにシミュレーションするハリネズミに、いつのまにか惹きつけられていく。お茶の用意をするのに相手を慮った想像力があるというのは、ハリネズミが皆の特性を知悉しているからでは?そんな思いを抱きつつ読了。人間関係に疲れた時に手にしたい一冊。

何度も読み返したい

評価4 投稿者:390

親愛なるどうぶつたちへ。きみたちみんなをぼくの家に招待します。……でも、誰も来なくてもだいじょうぶです。

こんな気弱な招待状を「投函できない」ハリネズミ。
投函できないまま、来て貰っても「うまくおもてなし出来ないかも」、「かえって相手に迷惑をかけてしまいそう」、「怒らせてしまうかも」……と先回りして心配と不安の中でぐるぐるして、結局、フトンをかぶって隠れてしまう。
そんなハリネズミが愛おしくて、「大丈夫だよ」とぎゅっと抱きしめてあげたいけれど、相手はハリネズミ……。

招待状は投函できるのか、お客様はやってくるのか――ラストはぜひ本書で!

本屋大賞第2位ってなんで?~森の中の...

評価1 投稿元:ブクログ

本屋大賞第2位ってなんで?~森の中の一軒家に暮らすハリネズミはすべての動物に招待状を書いたが心配性で出せず、来たらどうなるか想像する~ 印象的なのはカメとカタツムリのコンビ、バイソン、象、アリ、キクイムシ、リス、クジラだけど、途中で別の想像が広がって話が入ってこない。全体が52に分かれているのは休暇中に娘のために書いて週代わりのカレンダーに仕立てた為らしい。ま、それが判れば納得できるが、書店員は先に解説乃至あとがきから読むのだろうか。そうする人が多いのは知っているが、私はちっとも楽しくなかった。好きじゃない

「〈いまは〉と〈まだ〉はテーブルを降...

評価0 投稿元:ブクログ

「〈いまは〉と〈まだ〉はテーブルを降りて、どうしていいかわからず床にとどまっていた。(略)〈いまはまだ一度も〉、とハリネズミは思った。踊っている言葉たちが突然、輝かしく見えた。そのまま踊り続けて、とハリネズミは思った」物語の最初の方で、人が訪ねてくるのを待ってるハリネズミのことを、こんな風に描写する。ひとりでいるときに頭の中で言葉が止まらなくなる経験はあるし、その経験の描写としても、言葉の使い方としても印象に残った。自分しかいないより、自分の言葉と自分しかいないという描写のほうが、ひとりを表現できる気がした。

だれかに訪ねてきて欲しいけど、実際に...

評価3 投稿元:ブクログ

だれかに訪ねてきて欲しいけど、実際に訪ねて来られたらどうして良いかわからず不安なハリネズミ。
書いた招待状を机の引き出しにもしまい込み、もし〇〇が訪ねて来たら…とネガティブな妄想が次々と湧き出てきます。

ネガティブすぎてちょっと笑ってしまうけど、これは自分自身の姿かも。

最後の最後に、ほっとしてニッコリしてしまう。

また会おうって良い言葉。

【1位】
自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたち、招待状を書き始める。でも、手紙を送る勇気が出なくて…。臆病で気むずかしいハリネズミに友達はできるのか? 深い孤独によりそう物語。

すべての見えない光 (CREST BOOKS)

この上ない詩情

評価5 投稿者:j_j_ichi

第二次世界大戦下で、フランス人の盲目の少女と、ドイツ人の少年兵との物語。究極的に短縮してしまうとそんな話なのだけれども、一読しただけではとてもくみ取れない程の豊かさと美しさを備えている。
 まず、手にしたときにはその分厚さ(500頁超)に少しびっくりすることになってしまうのだけれど、読み始めるとそれは特に気にならない。というか、読み進めるにつれて、頁数が減っていくことが惜しくなる感覚に襲われることになると思う。
 文章は本当にすみずみまで神経が行き届いて、張り巡らされている。時制の前後を含めた細かく多めに“途切れて"いる章立ては、過剰ではないけれども確かなスリリングさをもって読み手を導き、断片的な文章の並びから立ち上がる空白には、想像力を刺激する詩情が多分ににじんでいる。おそらく、「1文のコスト」はとてつもなく高い。それが500頁以上も続くのだから、それを堪能できるのは非常に幸福なことではないか。
 主役2人以外の登場人物や、ラジオ、パン、貝、宝石といった小物にも確かかつ重要な存在感と役割が与えられており、物語の立体性に寄与している。とりわけラジオに関しては、目に見えない電波がまるで2人の運命の糸として作用しているように思える。
 戦争がテーマ故、何かしらの重さや読みにくさなどを想像してしまうかもしれないけれども、そんなことはない。この世界にある確かなきらめきを捉え、それを練られた文章に昇華させて紡いだ物語からは、当然のように心が打ち震える感動を覚える。「感動」という言葉はもはや押しつけがましさを内包した陳腐なものになってしまっているきらいがあるけれど、それとは明らかに違った、淡く優しいけれども、確かに心に響く感動を覚えた。

美しく儚い

評価5 投稿者:yxxy

読み終わったあとすぐ日常に戻ることが難しく感じたくらい、マリー=ロールとヴェルナーの隣で同じ時を生きたような気がした。
戦争によって出会い、戦争によって別れる。あまりにも美しくあまりにも儚い人生の物語。

Twitterなどで流れてくる本書の...

評価5 投稿元:ブクログ

Twitterなどで流れてくる本書の感想に、ときどき「読み終わるのが惜しい」という言葉を見たが、たしかに読み終えるのが惜しい、けれど読み進められずにはいられない本だった。
「物語の力」という言葉はよく聞くけれど、これこそがその力なのだろう。
 父親や周囲の大人たちに深く愛され、盲目ながら世の中というものを信頼しているフランス人の少女。両親に先立たたれ貧しい孤児院に身を寄せながら、同じく院の先生と妹からの愛をよりどころに、厳しい軍事訓練を耐えて前線に出るドイツの少年。
 彼らにはどうしようもないところで誰かが始めた戦争が、じりじりとそれぞれの生活を侵食していく。
 接点などないはずの二人が、いつどうやって出会うことになるのか、そこまでの道のりを、私たちは時に息をのみ、小さな喜びにほほえみ、そして涙しながら一緒にたどる。
 ページをめくるだけの私の指先にも、盲目のマリー・ロールが感知するにおいを、感触を、空気の動きを察知させるその文章の見事さよ。
 彼女を疎開先で受け入れるマダムが素敵だ。物資の少ない戦時下で手に入るもので美味しい何かをこしらえては、近所の弱った人たちに配り歩く。不安に震えるマリー・ロールの顔を温かな両手ではさみこむ。想像の中で、昔むかし私が下宿していたリスボンの大家さんが彼女の姿に重なる。
 戦場ゆえのつらくむごい場面も容赦ない描写で私たちに見せるし、決して大団円のストーリーでもない。それでも温かなものが胸に深く残るのは、人の善意のうつくしさと尊さをゆるぎなく伝えているからに違いない。

短編集のように、ジグソーパズルのよう...

評価3 投稿元:ブクログ

短編集のように、ジグソーパズルのように、編まれている。二人の子どもに寄り添って息苦しく厳しい戦争を体験する。

ウンベルト・エコーの自伝的最後の小説...

評価4 投稿元:ブクログ

ウンベルト・エコーの自伝的最後の小説を読んで、第二次大戦時のドイツが知りたく、行きついた本です。文がとにかく綺麗でこの調子大戦を書くのかとびっくりさせられます。無線機を隠している事と、博物館の宝物である宝石を隠している事の両方からそれぞれのドイツ兵が(片側はドイツに協力させられてる者)符合したように、大叔父とマリー・ロールの所にやって来ます。ここが圧巻ですね。  ところで地雷除去はドイツ兵がやったのでしょうか?

短編小説が積み重なったように綴られる...

評価4 投稿元:ブクログ

短編小説が積み重なったように綴られる、静かな物語である。
物語の主な舞台は第二次大戦下のフランスの港町、サン・マロ。
戦火で壊滅状態になった街にわずかに残った建物の屋根裏で、盲目の少女が息を潜めている。パリから逃れてきた彼女は、今、ひとりぼっちだった。階下に侵入者がやってくる音がする。見つかったら命はない。
一方、別の建物、<蜂のホテル>の地下室には、生き埋めになった若いドイツ軍兵士がいた。年若いが利発な彼は、機械を扱う能力を買われ、国家政治教育学校から軍に送られていた。孤児としては異例の「出世」だった。爆撃のために仲間と閉じ込められ、出口は見つからない。このまま飢え死にするのを待つしかないのか。
およそ異なる境遇の2人の間に、無線の音声が行き交う。その発信器は、奇しくも、遥か以前から、少女と兵士をつないでいたものだった。

物語をつなぐもう1つのものは、「炎の海」と呼ばれるダイヤモンドである。海のように鮮やかな青だが、中心がわずかに赤味を帯び、しずくに炎を宿したように見える。その宝石には不思議な伝説があった。宝石を手にする者は永遠に生きるが、それを持っている限り、持ち主の身近な人々の身には禍が訪れる。博物館に静かに眠る貴石は、戦禍を逃れることが出来るのか。

少女と兵士の過去・現在と物語は行きつ戻りつし、あるいはパリに、あるいはドイツの炭坑地に、あるいはまたサン・マロにと飛ぶ。ときには彼女の、ときには彼の小さなエピソードは、それ自体が短編小説のようでもあり、詩のようでもある。
優しい父、生真面目な妹、博物館の職員、孤児院の先生、先の大戦で心を病んだ大叔父、癌に体を蝕まれ宝石を追う将校、レジスタンス活動に身を捧げる市民、鳥を愛する心優しい少年、脂ぎった香料商、ラジオから流れる謎の「先生」の声。
少女と兵士に関わるさまざまな登場人物が物語を紡いでいく。
大半が現在形で書かれた物語は、戦争の破壊をさえ静謐に描き、深い郷愁を誘い、悲しみを湛える。

少女と兵士はサン・マロで出会うことができるのか。

すべてが過ぎ去り、記憶を持つ者もいずれ消える。
けれどどこかに、その気配は残る。
美しい、静かな強い物語である。

【2位】
目の見えない少女と、ナチスドイツの若い兵士。2人の運命が、フランスの海辺の町で交差する−。時代に翻弄される人々の苦闘を、彼らを包む自然の荘厳さとともに、温かな筆致で繊細に描き出した感動巨篇。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

日本が戦争で勝った世界という設定のS...

評価2 投稿元:ブクログ

日本が戦争で勝った世界という設定のSF。描かれる世界はブレードランナーやパシフィックリムといった映画で見たような世界観。想像を全然超えてこなかった。ストーリーにもキャラクターにも魅力を感じられず、著者が書きたいシーンを繋げたような印象を受けた。

太平洋戦争で日本が勝利したあとのアメ...

評価4 投稿元:ブクログ

太平洋戦争で日本が勝利したあとのアメリカ。
もっとコミカルな話かと思ったら、かなり暗いディストピアものだった。
てっきり表紙絵のパシリムぽいメカが出るのかな、と思ったら日本軍将校と憲兵隊員のコンビが陰謀に立ち向かう話で。
1988年でありながら、スマホよりもっと高性能な「電卓」を持ち歩いてそれを使う。
義手に装備したアームガンなんかもかなりテクノロジーが進んでいるんだよね。
キモとなるのがテレビゲームっていうのもポイント。
大日本帝国ばんざーーーーい!っていう世界観に、日本のメカやゲームをぶちこんだ感。
帝国軍人がどうこう言いつつも、水中ゲイシャなんかで楽しんでいるあたりジャッパーン!だよなあ、ってなった。

ともかくディテールも面白くて、人名がかなり独特だし、食べている料理もおもしろいんだよね。
天ぷらバーガー……おいしいのか、それ?!って。

もしかしたら外国文学に「伊勢うどん」...

評価3 投稿元:ブクログ

もしかしたら外国文学に「伊勢うどん」が登場するのは初めてじゃないかな?若名将軍とベンとの会話。

「わたしは伊勢うどんが食べたいな。好物なのだ」
「食べたことがありません」
「いつか連れていってやろう。伊勢志摩でも正しい伊勢うどんを出す店は数軒しかない」
「楽しみです」

場所は、ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン(USJ)の首都ロサンジェルス。若名が言っていることは事実。ネットで知名度の高い店でも、かまぼこが入っていたり、卵をのせていたりする。伊勢うどんには、薬味として葱、好みで一味。あとは、ひたすら箸を使って、あの濃いたれをうどんに絡ませる。麺に白いところがなくなったら準備OK。一気にすするのみ。

歴史改変SFとしての面白さはあまりない。作者は日本のアニメやゲームのファンらしい。表紙のイラストに出ているメカの活躍に期待すると裏切られる。

拷問や嗜虐的な快楽への言及があって、人によっては嫌悪感を持つことがある。評者もどちらかといえばそうらしい。人間の身体を弄るのは、好きではない。(☆は厳密には二つ半。四捨五入で三つになっている)

第二次大戦に日本が勝利した世界線のS...

評価0 投稿元:ブクログ

第二次大戦に日本が勝利した世界線のSF。『高い城の男』へのリスペクトを明確にしているのは正しい判断だろう(半端なオマージュはパクリと区別がつきにくい)。戯画的でないディストピア描写は『ゲームウォーズ』が楽しめたらお勧め。

面白かった! エキセントリックなジャ...

評価4 投稿元:ブクログ

面白かった! エキセントリックなジャパネスク、「電卓」や肉電話(!)などのトンデモガジェット。イロモノっぽいが史実を踏まえたちゃんとした歴史改変SFで、一気に読ませる。

タイトルといい表紙のメカといい、軽薄...

評価0 投稿元:ブクログ

タイトルといい表紙のメカといい、軽薄なキワモノと思って読み始めたが、なかなか重厚なデストピアの物語であった。

ひとつひとつ細部の練られたステージを経巡りながら、物語が進んでいく感じはゲームっぽい。

バイオでグロい汁気の多い暴力シーンがたくさん出てくる。拷問と回想がセットになって描かれるシーンが反復されるのが、読んでても苦しくて痛い。

将軍にもっと凄みがあれば、よかったなあとは思った。

【2位】
第二次世界大戦で勝利した日本がアメリカ西海岸を統治して40年。帝国陸軍の石村大尉は、かつての上官が改変歴史世界を舞台とするゲームを開発し、アメリカ人抵抗組織に協力しているらしいと知り…。

熊と踊れ 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

スウェーデンの銀行強盗ミステリー。D...

評価4 投稿元:ブクログ

スウェーデンの銀行強盗ミステリー。DV親父の元で育った3兄弟&幼馴染が、統制のとれた銀行強盗を連続で行う話。翻訳の文体が少々読みにくいが、異国情緒と思って読めば慣れてくる。登場人物たちの内面キャラの書き込みは物足りない。しかし、話の展開はスピード感あり。過去と現在を行き来するストーリー展開も映画のごとし。

本作に関しては…「スウェーデンの小説...

評価5 投稿元:ブクログ

本作に関しては…「スウェーデンの小説の翻訳」ということで“フィクション”として愉しんだ。勿論、それで大変に結構なのだが、読後に「訳者あとがき」に触れると、「“ノンフィクション”と“フィクション”との境目」のような性質を帯びている一面が在ること、「起こった事実をバラバラなピースにして、パズルを組上げるように構成して創った物語」なのだそうだ。1990年代に実際に起こっている事件をベースにしているのだという…

実話を本にしているというからびっくり...

評価4 投稿元:ブクログ

実話を本にしているというからびっくり.それぞれの人物が暴力に何らかの形で強く影響を受けて育ったことと,この銀行強盗の関係.この視点が面白い.追い詰める警部の方もまた暴力にさらされて育ったことで,犯人に迫っていく.下巻が気になる.

若い3人兄弟と1人の幼馴染が起こした...

評価5 投稿元:ブクログ

若い3人兄弟と1人の幼馴染が起こしたヨーロッパ史上稀に見る連続強盗事件.事実をもとにしているらしい.犯人はもとより,事件を追うブロッンクス刑事,それぞれの家族などすべてのキャラクターが見事に書き分けられ,映画を見るようなスピード感も味わえる.

理由は分からないけど,実話ってことは...

評価4 投稿元:ブクログ

理由は分からないけど,実話ってことは捕まっちゃうんだろうなと残念な気持ちになりながら,むちゃくちゃはまって読み進めた。
「その女アレックス」に似た,全体的に寒い雰囲気。原文で読んでもそうなんかな。

なにやらおもしろそうだったので買って...

評価3 投稿元:ブクログ

なにやらおもしろそうだったので買って、途中まで読んではやめしてた本(そんなの、何冊目だろ……)。

なんとか銃を盗んだ後まで読み進めたら、そこからは一気に上巻を読み終えました。

実際の事件をモデルにしたらしいけど、それはどの辺までなんだろう?

レオがなんでそんなに銀行強盗にこだわるのかがやや不思議でしたが(単にお金が欲しいだけか)、おもしろかったです。

お父さんが何より不気味。
絶対下巻で何か仕掛けてくるよね……。

【3位】
暴力的な父との確執を抱えたレオ、フェリックス、ヴィンセントの3人の兄弟たちは、軍の倉庫から大量の銃器を入手する。その目的とは史上例のない銀行強盗計画を決行することで…。実際の事件をモデルにした北欧ミステリ。

熊と踊れ 下 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

大作揃いだった2016年度ランキング...

評価4 投稿元:ブクログ

大作揃いだった2016年度ランキングのトップを独占した話題作。タイトルは、父が教える大きな敵にヒットアンドアウェーを重ねるけんか技からのもの。90年代初頭にスウェーデンで実際に起こった銀行強盗をベースにしているが、フィクションではなく、「現実をバラバラにしてパズルのように繋ぎ合わせた(作者)」小説。フィクションかと見紛って読まないように。

上巻は銀行強盗を繰り返す兄弟たちと、それを執拗に追う刑事の鬼ごっこ。テンポのよいストーリー運びで進んでいくが、些細な描写にリアルさが垣間見えて徐々に緊張感が高まっていく。正直、上巻読了時はランキング総ナメの実感はなかった。

現在と過去を交互に語る構成は下巻になってから効いてくる。圧倒的な暴力で家族の結束を説く父親と、彼に反発していたはずの長男がタブって見える展開に唖然とする。兄弟は団結し、常に冷静な対処で切り抜けてきたが、結局は暴力から逃れられないということか。彼らの進む方向性に綻びが見え始めたところからの疾走感は読み応え抜群。後半、弟が兄の本質を言い放つシーンは、ぐさりときた。と同時に、実は巧みに構成されたストーリーなのだと気付かされる。追う側の刑事もまた暴力という過去に苛まされているという、徹底的に「犯罪」を描いて見せたその筆力には感服する。

残念に感じたのは、映像を意識した描写が多かったことかな。そのせいであまり重く感じなかったのは良かったのかそうでないのか微妙だけど、もう少しどっしりした雰囲気でも良かったと思う。評価は星四つだが、ランキング発表前に読んでいたら違っていただろうし、ランキング結果の先入観なしに読みたい作品でした。

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