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紙の本
生きる事死ぬ事、そして命。
2007/09/25 11:27
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
命の物語である。
9つの短編は、富士見線という架空の路線で繋がってはいるが、
それ以外には全くつながりは無く、別の話しになっている。
でもそれがまた、すごくうまいのだ。
読んでいて、至極細いけれどもしっかりとした繋がりを感じられる。
それはなんだろう、安心感というのとも違う。
例えて言えば、DNAの螺旋の繋がりのようなものだろうか。
目には見えないし、感じる事もそうそうない。でもある時突然に、
しっかりと命を繋いでいる事を意識させられるような、そんな感触。
読み口は氏の傑作「流星ワゴン」に近い。
でも流星ワゴンでは「ワインレッドのオデッセイ」を登場させる事で、
ちょっとだけSFの香りが漂っていたのに対し、
本作では短編にして一つ一つの物語を研ぎ澄まし、
「命」という重たいテーマに正面からぶつかって、見事に表現している。
9つの物語はそれぞれに読み味が違うのだが、
どの作品もあまりに濃く、深い。
思わず「ぐううう・・・」と声が出てしまう物語ばかりである。
人間生きていれば、必ず出会う命の終焉。誰もが思い悩む生きる意味、
命の重さって何なのか。100の命があれば100の生き方があり、
100の命の重さと感じ方と、大切さがある。
それを、9つの角度から感じさせてくれる珠玉の作品たち。
ぜひにと、オススメしたい一冊です。
紙の本
現代の家族と、少しのホラー要素
2018/07/14 20:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、重松清の本に結構はまっている。するすると読みやすいし、現代の家族を描いていて、色々と考えさせられる。
この作品は、今まで読んだのと少し毛色が変わっていて、ちょっとホラーな?要素もあり、「世にも不思議な物語」的な色があるような作品も中にはある。
それにしても、夫婦の間で、少し隙間風が吹いていたり、家に帰りたくない男とか、夫と一緒の墓に入りたくない妻とか……まあ、どこの夫婦もそんなもんなんだろうなあと思うと、少しは慰められる。