紙の本
言葉はいらない
2004/08/28 18:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:吉田照彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
事業に失敗し、多額の負債を背負って進むべき道を失った男。愛する妻ひとりを道連れに、彼はワゴン一台を駆って長い長い逃避の旅に出る。22年の結婚生活の果てに、初めて恵まれた「二人だけの時間」。それは夫婦にとって至福の瞬間(とき)だった。だが、妻はそのときすでに「早ければ3ヶ月以内に癌が再発する」と告げられた病身だった。次第に病魔に蝕まれていく妻の身体。「病院へ行こう」と勧める夫の言葉にも、「いっしょにいられなくなる」と頑固に首を振る妻。そうしてある冬の寒い朝、洗濯に出かけた夫のつかの間の留守中、妻はひとり静かに息を引き取る……。
本書を語るに多くの言葉はいらない。
ただ自分のそばにいる大切な人の息吹を、いま、改めて感じてほしい。その人が生きていることの素晴らしさを、その人の存在のかけがえのなさを、しっかりと感じ取ってほしい。
一人でこの世に生れ落ち、一人で死んでゆくのが生きとし生けるものの運命(さだめ)。だがその末期(さいご)の瞬間を、愛する者の温もりとともに迎えることが出来たら、これ以上の幸福はない。
これほど世の中にものの溢れる時代であっても、そんな死に様を望むことは、きっとものすごく贅沢なことなんだろうと思う。
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読み終わった後に、「あー、これ実話だったんだな」と思い出した時の空虚感がたまりません。何度も泣いた。夫婦って人間関係以上の何かがあるんだなと思った。
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とっても良いです。当事者の手記なので文章がうまいとか、そういうことでは無いのですが、伝わってくるストレートな気持ちに泣きそうでした。エピローグを読むと、人生は死ぬまでピリオドが無いのだなと思います。
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あおり文句ほどはガツンとこなかった。今は。自分が同じ立場ならどうしたかなー。病院に連れてくんじゃないかなーたぶん。中年ぐらいになったらもう一度読んでみたいですね。
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とても切ない本です。真面目に生きてきたであろう著者の真面目であるが故の不器用さ、妻への思い、妻の夫に対する思い、
胸を打ちます。
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客観的な報道と主観的な事実がこれほどまでに異なるのか、と思い知らされる実話。清水さん夫婦、家族の在り方がとても素敵である。
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離れたくない妻の気持ちがすごく切なく、そんな状況になってから後悔しているオッサンは馬鹿だなぁ…と思いつつ…男なんてそんなもんなのか…??とも思いつつ…いろいろ考えさせられた。
でも、結局、夫婦は良いものだと思える、寂しくもあり、あったかい話だった。
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末期癌の妻と逃避行物語。泣けるか?と聞かれれば「そうでもない」て感じ。友人の保証人になってしまって、金が回らず、借金に借金を繰り返し、でも自己破産はせずに逃げまくる男。彼の人生は「逃げる」ことで成り立っている。妻への思いは認めるし、「夫婦の物語」ととればそれなりにいいんだけれど、「男の逃避行」ととらえるとイラつく話。逃げててもどうしようもないでしょうに。現実を見られない人なんだなあと。でもそんな人、結構ゴロゴロいるんだよねえ。この人だけじゃなくて。困難にぶち当たった時、どんな対処をするかで人間の価値って決まると思う。なぜ自己破産しない?なぜゆっくり、畳の上で妻を死なせようとしない?そのへんが謎。あたしが「死にゆく妻」なら、静かな最期を送りたい。
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2007.12.20 設定からして絶対泣けると思っていたのに、ちっとも泣けない。優柔不断で無責任な主人公に感情移入できなかった。
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ベタではありますが、やはり泣けます。
堕落しとるな、あほやなあと思いつつ、共感できます。
弱いから、人間は素晴らしい!
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まだこんな事を考える年齢ではないのかもしれないけど、私は時々自分の最期を考える。
誰に看取られ、誰に支えられ、どんな最期を送るのだろう。
けど、どんな最期であれ、大好きな人に見守られて逝きたいと思う。
このお話は本当のお話です。
高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくも充実した日々を送っていた。
長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽きた時、妻のガンを知る。
「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの50万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった。
このお話の中の私は、結局妻を病院に連れて行かなかった―。
正しくは連れて行けなかった…
「病院は嫌。オッサン(私の事を妻はそう読んでいた)と一緒におれるだけでいいの。」
そんな妻の言葉があったから。
放浪に出て9ヶ月間、私は妻の看病をした。
妻の最期から目をそらしていた私も、妻の苦悩を知り、逃げずに向き合った。
そして、二人はいつも一緒だった。
妻が最期に望んだコト。
それは自分の愛する人と一緒にいること。
それだけで良かった。
そして私も、妻を一人にしないと約束した。
妻は古ぼけたワゴンの中で息を引き取った。
私は「保護者遺棄致死」という容疑で警察の取り調べを受けた。
延命だけじゃなくて、"自分が望む最期を選ぶ"
そんなことが言われている今だからこそ、読んで欲しい。
本当の幸せな最期って何なのだろうか。
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死に行く妻と一緒に車で半年逃げ続ける。癌よりまったく仕事がない悲壮感がつらい。ただ、最後は希望がある
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200507
ノンフィクションだけに、「面白い」という感じはしなかった。しかし、こんな最期ができたらいいなと思うが、自分は妻に看取られる方がいい。この本を読んで、退職後は妻と日本全国を時間をかけて回ってみようとひそかに計画をし始めました。
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なけなしの50万、古ぼけたワゴンに末期癌の妻ひとみを乗せて、オッサンは最後の旅に出る。彼女との22年の時を埋めるように静かに綴られていく旅の記憶。はじめから、その時を迎える覚悟をしながらページをめくらなきゃならないけど、北陸の美しい山並みと静かな海。そして夕焼けの空が穏やかな気持ちにさせてくれる。
旅する本屋 放浪書房
http//horoshobo.com/
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<高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくとも充実した日々を送っていた。が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時、私は妻のガンを知った…。「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった―。 >否定も肯定もできない。ただただ奥さんの冥福を祈るのみ。